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女子的な趣味をオープンにしたら似たような趣味の女子達と仲良くなれて親友まで出来ちゃったお話  作者: いちくん
第一章:女子的な趣味をオープンにしたら似たような趣味の女子達と仲良くなれた話
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俺と同じ趣味を持つ者を探して

 県立北高校1年2組。出席番号男子の9番。


 氏名『竹中遼太(たけなかりょうた)

 

 俺には家族以外には誰にも知られていない秘密がある。


 クラスメイトが知ったら多分誰もが驚くだろう。

 そればかりか皆こぞって馬鹿にしてくるかもしれない。


 俺はこの秘密を誰にも話す気はない。

 誰にも知られたくない。

 知られるのが怖い。


 だが、誰にも知られていないことが寂しい。

 誰か俺と同じ秘密を抱えてはいないだろうか?

 誰か似たような秘密を持っていないだろうか?


 俺は男だ。

 誰が何と言っても男だ。

 俺はちゃんと女子を恋愛対象として意識している。

 かつて友達と好みの女子について語り合った事もある。


 俺は言葉遣いだって男らしい。


 だが俺には、家に帰ると我慢できなくなってしまう程、大好きな趣味がある。


 俺は、手作り造花やペーパーフラワー、コサージュ作りなど、紙や布を使った本物そっくりの綺麗な花を手作りするのが好きだ。


 他にもビーズアクセサリーで、デフォルメした犬や猫などの動物を作るのが好きだ。


 植物園などで、綺麗な花の写真を撮ったりするのが好きだ。


 小学校の低学年だった頃は、材料も折り紙や広告紙なんかの手軽なもので作っていた。

 本格的ではなかったし、子供のころ故躊躇せず皆に披露していた。


 だが、小学校高学年に差し掛かった頃からクラスメイトから馬鹿にされることが多くなった。


「男のくせに変な奴」

「女みたいな奴だ」

「ダセー」

「気持ちわりー」


 それらの言葉は俺の心に深く刺さった。


 俺の趣味を否定されて悔しかった。

 男ではないと言われて怒りが燃え滾った。

 女子にも気持ち悪く思われているような気がして恐ろしくなった。


 馬鹿にされたその日から、俺はこの趣味を自宅以外では封印した。

 そして学校では、何事もないかのように振舞った。

 たとえ登下校時に綺麗な花を見かけても、魅入ったりしないようにして、後でこっそり写真を撮った。近くに誰もいないことを確認せずにいられなかった。


 中学の3年間は、誰にも気取られること無く、俺は趣味を隠しおおせることが出来ていた。


 そして今、高校に進学。


 俺は未だに造花を作り続けている。

 コサージュを作り続けている。

 ビーズアクセサリーも作り続けているし。

 花の写真も撮り続けている。


 技術も工夫も上達し、素材を厳選し細部にまでこだわるようになった。


 造花は本物の花束にも負けないように作れるようになった。


 コサージュはオーガンジー布に嵌ってから、かなり上品な仕上がりになった。


 ビーズアクセサリーはかなりリアルになり、ミニチュア動物園を作れるほどには数が増えた。


 写真も構図やフレーミングにこだわるのはもちろんだが、シャッターを押した際に起きるわずかなブレが気になり、セルフタイマーで撮影するようになった。

 三脚も当然使うが、木や椅子、ベンチ、手すりなど、ブレを防ぐためなら何でも利用するようになった。

 そしてついに『マクロレンズ』にも手を出した。これは、20Cm以下の近距離でもはっきりとした写真を撮るためで、花の蜜を吸う蜂などを接写したくて購入した。お値段4万9800円(+税)


 




 上達したことは嬉しいし、満足もしている。

 だが、俺はこれらの趣味を誰にも知られずにいることが、寂しくなった。

 誰かに伝えたい。だけど、誰にも知られたくない。


 他人に知られるのは怖い。

 馬鹿にされたくない。


 けれど、誰かに認めてもらいたい。

 正直に言おう。本当は褒められたい。

 凄いと言われたい。

 同じ趣味を持つ同志が欲しい。

 仲間が欲しい。友達が欲しい。




 そうだ。

 俺が、こんなに『ガチ』であることまで知らせる必要はない。


 この際女子でもいい。

 造花やビーズの話題が聞こえたら。


 かる~く


「あ、俺もこういうの割と得意かも」みたいな?


 軽いノリで会話に入って行けたら?


 ちょっとだけ趣味の会話が出来んじゃね?


 俺は機会を伺い続けた。


 似たような趣味を持つものを探し続けた。


 探し続けて3週間。


 ついにその時が来た!!




☆★☆ 1学期 5月8日(月) 昼休み ☆★☆




「ねえ、亜子ちゃん?これって何?造花?」


「うん。手作りコサージュのサイトで調べた簡単なやつを自分でアレンジして~、カバンのベルトのアクセにしてみたんだ。目立たないようにカバンの色に合わせて作ったんだけど、よく気付いたね、詩織」


「えへへ、なんか付いてるな~って思ってよく見たらお花だったんで、もしかしてって、思ったの」


「バレちゃしょうがない。アタシの趣味。最近嵌ってるんだ。布を使った造花コサージュのオリジナルアレンジってやつ?」





 来た来た来たぁーーーー!!

 造花に嵌ってる女子!

 造花に気付ける女子!

 是非この二人と!お友達に!なりたい~~!!

 じゃぁ、話かける~?話かけてみる~?って、あれ……?


 でも、女子に話かけるって?どうやって?

 なんかハードル高くね?

 どんなタイミングで話かける?

 なんて言って話かける?

『どーも』『やぁ』それとも『はじめまして』?


 あれ?あれれ?かる~い感じって、どういう感じだっけ?

 やべ、なんか、腋の下に汗かいてきた。なんか冷たい。


 あ、これ、無理だわ。

 聞こえる範囲で聴いて楽しむしかないわ。

 俺、リスナー。いつかリクエスト曲のお便りでも出してみよう。そうしよう。





 造花のお話もっと聞かせて、俺聴いてるから。





 とりあえず、弁当食おう。いただきます……

 



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― 新着の感想 ―
[良い点] 竹中君の話しかけたいけどきっかけないし怖いから無理という気持ちめちゃくちゃわかります。それが異性なら尚更、いいやり方とかないですかね? [一言] 竹中君、頑張れ!
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