安穏
こういう、タイトルのつけかた好きです。
霧が晴れたら月が見えるはずだと笑いながら
なにも映さず揺れる濁り酒 呑み干すのさ
一寸先にも光と闇は待つが 悠長に構えて
寝首をかかれた うなじ さする指には
割れた爪 かろうじてはりついた
知らないことは 幸せだとしても
隣人の涙 足をむけて眠るおまえに
忍び寄る不知なるもの
月が隠れりゃ つぎは 雲のかたち楽しめばいい
憂いひとつ浮かばぬ 真水が酔いを醒ますけど
一丁前に背負った闇の濃さに 神妙な顔して
背後をとられちゃ のどもと かき切られる
花片のように刃は舞えども
知らないことは おそろしいもんだ
対岸の火事と 枕高くし眠るおまえの
傍らに不知なるもの
安穏
UNKNOWN
めったにできないけど。