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落ち着かないー

遊びに来て頂きありがとうございます

 絢爛豪華なシャンデリアが吹き抜けの高い天井から数灯、均等に配置されている。また白と金で統一されており重厚感もさることながら、品の良さを漂わせる大広間。そんな大間一番奥の壁は半透明のガラスの壁。その前は数段高い場所が設けられ、白と金の刺繍があしらわれたレースカーテンを用した天蓋の下に玉座が置かれていた。

 そしてその椅子に鎮座するのが、リンセント王国国王セイレーン・ファスリナ・フォードである。クリーム色の服に金の刺繍と縁取りを施された服を纏い、短髪の黒髪で非常に凛々しく、王家特有のターコイズブルーの瞳が映えていた。そんな鎮座する王の斜め下の隣に彼と同色の髪、瞳の色をした宰相が牧師の様な白のガウンを羽織っている。その反対側に見慣れた筈のタスラムが直立不動で立っていた。だが、一瞬誰だかわからなかったのだ。と言うのも、武道派賢者使用の甲冑の上から白基調の金縁、そして大きく王家の紋章が描かれたサーコートに腰にはいつもの剣と、肩かけマントを羽織る姿。全くもっていつもの雰囲気と違う事もさることながら、それ以上に見栄えが上昇している。その上、王家の貫禄が漂い、常日頃の空気とはあまりにも違い過ぎるのだ。いきなりの変化とその場の雰囲気に飲まれ、王一族のいる場所から、横に外れた陰の方で苦笑いを浮かべつつ、何気なくその様子を見ていた。

 するとそんな私に気づいた彼が一瞬こちらに視線を送ると、笑みをこちらに送ってきたのだ。慌てて視線を戻す様ジェスチャーをすると、ウィンクし前を向く。


(全く何やってるんだよタスラムは。っていうかいつも思うけど本当こんな状況であんな行動が出来んだよ!!)


 一回溜息を零すと、陰に隠れながら彼と同じ方向に目をやる。入り口から一直線に通路が開けられている大広間には、正装をした貴族が埋め尽くし、誰一人声をあげることなくこちらを見つめていた。こんな端にいても緊張し、思わず生唾を飲み込む。そんな中、宰相が胸から巻物のような物を取り出すと、一気に開く。


「これより、ガンダル・オルフェ・ミトリナ辺境伯逝去に伴い、その嫡男であるセルリル・オルフェ・ミトリナに辺境伯位を継承させる事とする。ミトリナ辺境伯前へ」

 すると、両開きのドアが開かれ一斉に中央を向く人々と共に、遠くの方から足音が聞こえてくる。その音は徐々大きくなっていく。そして暫くして王の前で立つセルリルの姿が目に飛び込んだ。


(おいおいこっちもどうしちゃったんだよ)


 昨夜顔を合わせて以来彼とは式典の準備で会う機会がなかたのだが、正装という事もあり明らかにいつもの服装とは違う。基調は瞳の色と同じ赤色で揃え、縁取りや細やかな刺繍は全て紺で統一している。だとしてもメインカラーが原色のせいか非常に際立つ。それに加え、オールバックにした銀色の髪に整った顔である。それこそいつもは極力目立ちたくはない、人とも接したくない性分のセルリルである。あんな目を引く格好などした彼を見たこともなければ、オールバックなど彼は生まれてこの方した経験があったのであろうか。

 まあ以前から美青年ではあったが、いざこういう格好をした彼を見ると改めてポテンシャルの高さを実感する。


(タスラムもびっくりしたけどセルリルも化けたわね)


 実際の二人を知っている事もあり、この変貌ぶりには度肝を抜かれるも、どこかいつもと違い過ぎることで、私の知っている二人ではない遠い存在に感じてしまう。


(思った以上に空気に飲まれてるみたい……)


 そんな中、セルリルが片膝をおり、頭を垂れた。すると玉座に座っていた王が彼をみつめる。


「ミトリナ辺境伯。王国安定の為人力願う」

「仰せのままに。王と共にこの国の安泰を願い人力致します」

「またこの度のツベルフ伯爵の件。大いに力を尽くし、野党殲滅の功績をあげた。誠に誉れ高き行為。皆よ、ミトリナ辺境伯に称賛の拍手を」


 すると、静まり返っていた大広間に一斉に響く拍手の音。そしてそれに答える様にセルリルは立ち上がり、踵を返すと頭を垂れる。そんな彼の姿を暫く見つめると、ゆっくりとその場から離脱し、広間から長い渡り廊下の方へと出る。そして日差し差し込む廊下で背伸びをした。


(はあーー 疲れた)


 ああいった空気はいくら表舞台に立っていないとはいえ落ち着かない。まあどうせこの後は王主催の午餐会との事で私一人が抜けた所で何も変わらないのだ。それなら城を散策した方がまだ気が休まる。


 結局あのツベルフ伯爵失踪事件は、一部の関係者以外真相を知らないまま、野党による城占拠という名目で一般に公表された。また、今回の案件は特質した事が多く、特に核を粉砕してからの状況は未だハッキリとは結論は出ていない。ただ、セルリル曰く、ライラが血縁であり、亡霊と生活を共にする事で、シンクロ率が上がった。それにより核が彼女に反応したのではないか。また、核の力によりライラの魔法能力が一時的に強化された節もあると言う。セルリルの予測だと、彼女は防御魔法が使えたのであれば、一連の現象は納得いくようだ。ただ、彼女が本当にその魔法が使えたのかというのは不明である。それを問いたくても、彼女はもうこの世界には居ない為、確証が得られず、ほぼ迷宮入り案件確定との事。

読んで頂き有難うございます

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頂ければ幸いです


☆有難うございます



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