あの場所へ帰る為に
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こんな状況化においても、いつもと変わらない彼の行動に、目の前のセルリル父からの覇気に気負気味だった感情が微かに失せた。
それは目の前の彼も同じ思いだったようで、一瞬顔が綻ぶ。だが、すぐさまいつもの表情になると投げられた剣に近づきそれを手に取る。そして背後にいる私の名を呼ぶ。
「物陰に隠れていろ」
「…… わかった」
そう返答はしたが、セルリルにとっては剣術自体畑違いの分野なのは明確。心持ちはどうにか立直す事が出来たとはいえ、彼にとっては武が悪いのではなかろうか?
そんな心許なさが思わず返事に滲じむ。するとセルリルが私の方を見た。
「大丈夫だ。俺が負ける訳ないだろ?」
その言葉にタスラム同様、いつもの彼だと思うと共に、思わず笑う。
「はいはい、そうでした。本当タスラムそうだけど二人って一体どんなメンタルなのよ」
そう言い私は後ろに下がり、彼は足下に転がる剣を手にした。その直後風を切るような音がし、剣身を横にした直後、鋭い金属音と共に両者が剣を交えるとすぐさま凪払う。すると、すばやく不死は背後に跳び間合いを取るやいなや、間髪入れることなくセルリルに切先を突き刺す。それをかろうじて回避したのも束の間、今度は刃先を連続して振り下ろした。不死とはいえ、剣豪と称されていた家系。はやり剣劇に無駄がなく、彼が陣を形成する間がない。また彼自身、先までの戦闘体力的にも疲弊している。明らかに劣勢である。だからと言ってこの中に、飛び込める状況ではない。
(何か手立てはっ)
そんな事を思っていた矢先、目の前でセルリルが強い打ち込みを受けると共に、不死が剣を横へと振り切った。それにより彼が剣のグリップを離してしまったのだ。慌てて走り剣を拾うも、身構えもままならい中、振り返ると既に亡霊が剣を振り上げていた。
カッ
火花が一瞬飛んだのが見えたと同時に、膝を曲げ中腰の状態で、その攻撃を受け止めた。そんな中、
不死は圧を強めていく。すると徐々にその力に押され床に彼の両膝がつき、剣を持つ肘も曲がる。それにより、亡霊が追い被さるような格好となったのだ。すると不死は自身の身体の重みを使い尚も圧を強める。次第に銀色の刃は距離を縮め、エッジがセルリルの頬を捉えたのか、彼の頬に赤い線が入るのを目にしたのだ。その直後、私は思わず声を張り上げた。
「セルリル!!」
彼の名を叫ぶと共に、間髪入れずに声を上げる。
「セルリル!! さっき負けないって言い切ってそのザマでどうすんのよ!!」
すると、彼に迫っていたエッジが止まりセルリルの広角が一瞬上がった直後、セルリルが叫ぶ。
「どんなっ、状況だろうがっ!!」
そう彼が言い、続けて吠える。
「俺が負けるわけねーんだよ!!」
絶叫を上げるとその勢いそのままに、剣を跳ね返すと、亡霊が初めて体勢を崩した。それを機に風魔法を片手に構築させたようで、突風が起き、それにより不死が壁へと吹っ飛ぶ。するとすぐさま壁面から両手足の枷の様なモノが構築され固定される。そしてセルリルの持つ剣の剣身が光り、全く動く事の出来ない状態の亡霊に向け全力で走ると剣先を不死の額に突き刺した。全身の力を込め歯を食い縛る彼の姿に、私自身も力が入り、床に着いた両手を強く握り締める。その時、ガラスの割れた様な音がしたと同じくして、彼の足元にオレンジ色の光る欠片が落ち転がる。どうやら、不死の額に例の核があったようだ。
すると一瞬、亡霊が微笑む姿が目に止まると徐々に、身体が砂の粒子になっていく。その直後、剣が甲高い音をたて床に落ち、それを覆うように来ていた衣服が床に広がった。足元に広がる残骸を見つめ、床に剣を突き柄頭に両手を置き、ふらつく足を支えるセルリルの姿を捉える。私はそんな彼の姿に、胸を撫で下ろし、深く息を吐いた。セリルリが勝利したのだ。
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