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籠の鳥

遊びに来て頂きありがとうございます

 肌に当たる冷たい感覚に、ゆっくりと目を開ける。辺りは薄明るく、どうにか視界は確保できる範囲。そんな中、私の目に飛び込んだのは自身の手だった。どうやら丸まった状態らしい。服もあのままのようだ。今度は指を動かす。動きはするが、どことなくぎこちなく、いつもの感覚とは違う。


(全くもうっ、何してくれてんだよ)


 明らかに睡眠導入剤的薬物を盛られたのは間違いないが、こんな経験は初めてもあり、私の体に一体何が起きているのかもよくわからない。ただ、この状況は楽天的にとらえて良い状態ではない事は判断は出来る。その時、頭上の方に人影を感じゆっくり顔を上げた。


「やっと起きてくれたのね香月」

「ライ、ラ?」

「目を醒ましたらこんな所でびっくりしたでしょ?」

「そ、そうね」


 未だに色濃く残る薬のせいで、視界がぼやけて見える。そんな中、声の聞こえる方へと顔を向けた。


「でも許してね。あなたがあの兄と仲が良いようだから」

「仲が良いって、同じ屋根の下に居るからだけで親しいって決めつけるのはおかしな話じゃない?」

「まあ、香月がどうこう言った所で、あの兄がそう易々と一緒に住むことないですもの。それとも香月の不思議な能力を知りたくて、被験者として留置されてるとか?」

「はあ?」

「あら。私が知らないとでも思っていたのかしら? 香月が魔法が効かない体質という事は御父様から情報が既に入っていたの。まあ私も最初は耳を疑ったけど本当だったのね」

「…… さあ、何の事?」

「そんな見栄着いた嘘を言っても駄目よ。使用人の事で香月言ってたじゃないの。『皆灰色のローブ来てる』って」

「あれは……」

「私も一瞬びっくりしたわ。一般の人から見たら、正装した従者に見えるのよ。でも香月は実際の者達の姿を捉えていたんだから。まあ以前いた使用人達は用済みだし御父様の力で自宅に帰ってもらってるの。家族も勿論御父様の能力で、いきなり戻ってきた家族を不自然を感じることなく生活できるようにもしてあるのよ。御父様ってお優しいでしょ」


 この周辺で多発する幻覚症状の要因を知ると同時に、自身の異能も周知されてる事に思わず動揺し視線を反らす。


「あら、ちょっと驚いたって感じかしら」

「…… っなわけないでしょ」

「ふふふ。まあ仕方ないわよね。驚くのも当然よ。御父様の力は強大ですもの、あっと言う間に国全土に波及していっちゃうわ。そしたら御父様が王様になるかもしれないわね」


 そう言うとクスクスと笑うライラを、軽く奥歯を食いしばりながら、眼孔を飛ばした。


「あら? だいたいどうしてそんな事知ってるのって思ってる? 特別に教えてあげる。香月この前に、御父様の知人と接触したでしょ? どうやら御父様とその知人はどういう経緯が分からないけど、目にしたビジョンが共有できてたみたいなの。その時に香月の異能を知った御父様が教えてくれたの」


 そう言うとおぼろげな視界でも感じ取れる程の、鋭い視線でライラが睨んだ。


「しかも何故だか、殺すなと言いうものだからびっくりよ。いきなり現れた分際が御父様から慈悲を頂けるなんて、なんて腹正しいの」


 すると、再度眼光を光らせると、踵を返す。


「とりあえず、御父様の興味が削がれるまで、ここにいてもらうわ。まあ、解放する時に、息があったらだけど」


 彼女はそう言い捨て上階に向かう階段を上っていく。そして数段上がった所で足を止め、背後を向き、眼下にいる私に視線を送った。


「私の邪魔をしないで。今居る御父様の寵愛を受けるのは私だけなんだから」


 怒気を滲まさせた言葉を口にし、再度階段を上がっていき足音が空間に響く。 が、それがピタリと止んだ。

 そんな静まり返る鉄越しの部屋で、暫し放心状態に陥るも、一回片手で頬を叩き、息を吐いた。


(さてどうする?)


 とりあえずはここを出なくてはどうにもならない。あの言いぐさだとこのままここで息絶える可能性が高いのだ。再度状況判断を兼ねて、周りの出口の様子を確認する。年期を感じさせる鉄格子には施錠され、その先は上に上がる階段と一本の蝋燭が弱々しい光を灯している状態だ。

 まあ監禁的な感じではあるが、見張り不在と、手足を拘束されていないだけでもありがたい。とりあえず、ゆっくりと体を起こす。だがやはりまだ頭がぐらつき、這うようにして壁まで行く。そして背を壁に預け頭上を見上げた。窓がなく目線の先は漆黒で何も見えず、勿論そんな状態なので時間経過もわからない。

 その時、不意にセルリルの事が頭を過り、思わず手首のブレスレットを見た。


 


読んで頂き有難うございます

星、いいね、感想

頂ければ幸いです

(初☆つけて頂きました!! 有難うございます!!)



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