思い通りにはいかないらしい……
遊びに来て頂きありがとうございます
「こうやって同じ世代の同性と寝るの久しぶりだよ」
ベッドに寝っ転がりながら笑みを零し、隣に並び同じような状態のカテリナに声を掛ける。
ここは一階カテリナの自室。客室より気持ち広い部屋ではあるが、今は簡易ベッドを持ち込んでいるせいか、室内はベッドの真ん中に細い通路があるだけである。まあ今夜は寝るだけであり、何の問題はない。ただやはり、カテリナの表情はどこか曇っている。私との会話で笑みを浮かべ答えるも、やはりいつもの弾けるような笑みではない。そんな中、彼女が枕元にあるランプシェードに手をのばす。
「消すよ。香月」
「どうぞ」
照明が消されると、二人の枕元の先にある曇りガラスをはめ込まれた窓からの青白い光が室内を照らす。はやり満月に近いせいもあり、室内は思っていた以上に視界がはっきりしていた。互いにベッドに寝転がり天井をみつめていると、カテリナから声がかかる。
「どうした?」
「今日はありがとね。何か無理言っちゃって」
「そんな事ない。私は十分に楽しんでいるから」
「良かった……」
「カテリナ」
私の呼びかけに彼女がこちらを見た。
「大丈夫だから」
「…… うん。ありがとう」
「だいぶ、話しこんじゃったし、寝よう」
「そうね。明日もあるから」
「お休みカテリナ」
「お休みなさい香月」
その言葉の後、ゆっくりと瞼を閉じ事暫し。薄目を開け彼女を見る。昼間の疲れもあり、寝息を立て眠っているようである。その姿を確認し、うつらうつらと眠りにつき始めていた時だった。
ガラムボールの様な音が耳に届き重たい瞼を開けると同じくして微かに甘い匂いが鼻に届くと共の目が霞む。
その時突如として寝ていた筈のカテリナがいきなり起きあがったのだ。思わず飛び起き、彼女の様子を見る。すると、ベッドから降りると靴を履き歩き出す。
「カテリナ?」
声を掛けるが反応がない。慌ててベッドから降りると、彼女の肩を掴む。すると、カテリナにその手を冷たく払われた。今までの彼女からは想像が出来ない態度だ。
(多分これって)
話に聞いていた失踪事件が始まったのかもしれない。
「カテリナ!!」
その声には全く反応を示さない彼女は尚も自室を出て玄関へと向かっていく。慌てて後を追いカテリナの前へと立ちふさがり、彼女の顔を見ながら、再度両肩を掴む。
「カテリナ聞こえる?」
真正面を向く彼女の瞳孔が非対称に大きさになり、こちらに焦点を合わせることなく、また彼女は私の手を払いのける。そしてフラリフラリと外に出ていってしまったのだ。すぐさまカテリナの後追い外に出ると、数十人の村民がフラフラと歩き、皆同じ方向へと歩いていく異様な光景が広がっていた。
(予想以上にいるし、尾行するしかないか)
慌てて宿に戻り、彼女の両親に声を掛けようと探していると、フロントカンター奥の事務所で二人が倒れていた。
「大丈夫ですか?」
二人を壁に寄りかからせ問いかけるも、意識は戻らず、深い眠りについているようだった。ざっと二人の身なりを確認してみたが、装飾品の類は着けていたい。
(全くどうなってるの?)
とはいえ、今はカテリナ達を追うのが先決である。カウンターにおいてあった膝掛けを二人にかけ、すぐさま外に出ると、夢遊病のように歩く列に混じり、暗がりの森の中へと足を進めた。
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