色々あるけど、女子会します
遊びに来て頂きありがとうございます
テーブルに様々な宝飾品が並び、それを男女関係なく面白い程に売れているようで、人がひっきりなし訪れ、定員二人では賄えず本人も接客に勤しんでいる。
「あれが社長だね」
「凄い売れてるみたい」
「で、どうするつもりだ?」
「とりあえず、日にちもないしわかる範囲で潰していくしかないかな。そんなんで、私はちょっと離脱して、ここから近い森まで行ってくるよ」
「何かあるの?」
「ああ。魔女の住む集落があるんだ。公にはなってないけどね。そこでもしかしたら、魔具について何か知ってるかなと思って。彼女達はそういうの精通してるから」
「どのくらいで行けるんだ。猶予は事実上一日半だぞ多分」
「うん、どうにかするよ。でも手、借りる場合あるかもしれないからこれ渡しとく」
すると、胸ポケットからイヤカフのような物を取り出す。
「これ着けている人同士は離れていても話せるし、他の相手には聞こえない様になるから着けておいて」
そう言い、各々に渡すと足早にそこから立ち去った。それを見送り、私達は再度村を一周し様子を伺った後、先日からお世話になっている宿屋へと向かう。木造二階建ての赤い屋根が目印で非常に目立つ外観の前で、女性が掃除をしている。
「カテリナ」
三角巾を被り、三つ編みをした女性に声をかけると、彼女は振り向き笑みを見せた。
「おかえりなさい。こんな所見せてごめんなさいっ、帰りもうちょっと遅いと思って掃除始めちゃって。でも部屋掃除は終わっているので使えるから」
「カテリナ凄い助かるよ」
笑みを浮かべる私に彼女もそれに応え笑顔を溢す。雰囲気的にひとなつっこさと年のわりに童顔のせいもあり、カテリナは非常に親しみを感じる。ましてや私のような若い同世代の女性が泊まりに来ること少ない事もあり、初日からこんな調子なのだ。
「そうそう。私さっきクッキー焼いたから持ってくね」
「嬉しい!! ありがとう」
そう言うと、既にズカズカと先に行くセルリルの後を、私は軽く彼女に手を振りながら後を追うと、二階の部屋へとたどり着く。
今回は空き部屋もあり、各々の個室で休んでいるのだが、セルリルが何故だか自室に入らず立って待っている。不思議に思いつつ中に入ると、一緒に入室してきたのだ。
「ちょ、ちょっと!!」
「今後の話しだ」
すると、ベッドの上にドカリと座り込む。
「なんで私の部屋なのよ」
「一番近いからだ」
「はあ? 何それ。ったくもう!!」
半分キレ気味で、端においてあったディスクセットに腰を下ろす。
「そういえば、タスラム一人で準備なくいっちゃったけど大丈夫なの?」
「香月が他人の心配か。偉くなったな」
「毎回の事とはいえ、頭くるわーー」
「タスなら大丈夫だ。商人とは言っているが、実際スキルから言って賢者だからな」
「賢者!! 全くそんな雰囲気ないよね」
「だがスキルは並の賢者以上はある」
確かにサーベルキャットでのセルリルの張った結界を難なくクリアしてしまった所からいって、それなりの実力があるという事は理解していた。が、賢者と言われると自身の概念もあり違和感が先行してしまう。だが腐れ縁の状況である彼が言うのだ。間違いない事実なのだろう。
「成る程」
「それにタスが魔女の集落を知っていると言う事は、一回は面識があるのだろう。初対面でなければ彼女達も彼に害を与える事はない」
「なら良いけど。で、どうするのこれから」
「そうだな。多分失踪に合わせて尾行が有力だな。一番は魔具の機能を無効にするのが手っ取り早いが……」
「セルリルでも出来ないの?」
「出来ない? 俺が? 愚問だな。だがあれも手順がある。ましてや精神系の魔具を強引に破壊すれば、所持している人間に何が起こるかわからない」
「そっかーー タスラムからの情報次第かーー」
背もたれに寄りかかりながら声を上げる。するとドアがノックされると、廊下からカテリナの声がした。私が『どうぞ』と声をかけるとドアが開いた。
「お話中だった?」
「うんん。大丈夫。どうしたの?」
「さっき言ってたクッキー持ってきたんだけど……」
伺い立てるように彼の顔を見ると、『好きにしろ』と一言言い放つ。
「カテリナ良いって。入って入って」
その誘いに彼の様子を伺い怖ず怖ずと部屋に入ってきた。それと同時に、セルリルが耳に着けていたイヤカフを触ると共に、表情が先刻よりも厳しくなり、その顔を私に向ける。
「香月、聞こえないのか?」
彼の言葉に促されるようにイヤカフを着け直すも、やはり変化はない。その姿に彼は軽く頷く。
「お前は、この類のアイテムも無効になるのか…… 来て早々だが少し席をはずしてくれ」
その言葉にカテリナは従い退席すると、セルリルが私の持っているイヤカフに触れた。すると、先まで聞こえなかったタスラムの声が聞こえるのだ。
「とりあえず俺の波長に合わせた。香月の声は入らないが俺が耳にしている声は、俺が触れる限り聞こえる筈だ」
「確かに聞こえる」
「すまないタス。でどうだ」
『思った通り、大量の魔具はここで製造しているみたい。因みに今回の魔具は予想通り精神制御特化型みたいで、一つの魔具の複製の上、連動が可能みたいなんだよ。で、そのオリジナルはあの社長が持ってるんだって』
「じゃあこっちでその魔具を破壊すればその他の魔具も機能を無くす。早速社長を」
『ちょっと待って!! それはそうなんだけど、それやっちゃうとちょっとマズいんだよ』
「何故だ」
『それに連動してる他の魔具があるんだよ。魔女の長の首輪がそれっぽくてオリジナルを破壊した場合、長の首を締めてしまう仕様らしい。人質だなこれは』
「やってくれるじゃねーかあの野郎」
『でだ。セルリルこっちに来れる? この長の首輪だけでも解除できるか見て欲しいだけど』
「わかった。すぐに行く」
『了解。よろしく』
すると、声がぷつりと切れる。それと共にイヤカフから手を離す。
「そういう事だ。だから俺は今からタスの所に行く。香月、後は頼んだ」
「わかった」
私は頷き了承すると、彼はすぐさま階段を降りて外へと出て行った。そして暫くののち、戸がノックされ返事をすると、カテリナが申し訳なさそうな顔をしながら、部屋を覗く。
「もう大丈夫? 私悪い事しちゃったかな」
表情が曇るカテリナに笑みを浮かべ手招きをする。
「そんな事ないから。それに私はここで留守番だし、早速クッキーたべさせて」
「勿論、喜んで。それにしてもこんな同世代の人が泊まってくれるなんて本当に嬉しい!! しかも今夜は香月のグループしか客いないの」
「へーー じゃあ女子トーク出来そうね。あの二人は帰ってくるかわからないし」
「じゃあ。もし香月が嫌じゃなければ一緒の部屋で寝ても良い?」
いきなりの提案にびっくりするも、久々に同世代と夜な夜な話せるのは嬉しい。
「カテリナが迷惑でなければ」
「やった!!」
そう言った彼女の顔が満面の笑みを浮かべて見せたかと思うとみるみる表情が曇っていく。
「どうした?」
「うん。あのね実は女子トークも凄く楽しみなんだけど、お願いしたい事もあって」
「私で出来る事なら」
「この時期になると、私、行方知れずになってしまうの…… しかもその間の記憶がいつもなくて。両親も勿論心配しているし、私自信も何が起きているか知りたいの」
「…… そうかそれは心配だね。因みにカテリナは何回ぐらいそういう事があったの?」
「二回あったかな」
相当困っているのであろう益々顔が曇っていく。いつもの明るい笑顔など微塵も感じられない。しかし彼女同様、本人でも理解出来ない所業に悩んでいる人はこの村に大勢いるのであろう。
私自信の事ではないが、私利私欲の為に辛い思いをしている人がいると思うと、怒りがこみ上げ、奥歯を強く噛みしめる。
「わかった。何かあったら私が止める。だから安心して。今夜は楽しい女子会にしよう!!」
すると、その言葉に彼女顔を上げ、いつもの笑顔が零れる。
「うん。そうだよね。せっかくだし楽しもう!!」
その時、大きく首を振る彼女の首もとに光物が一瞬目についた。それに気づいたカテリナがおもむろに首もとから引っ張り出す。
「香月。これ気になった? 今年も来てるけど、商人の人が来て売ってるのよ。かわいいでしょ? 香月も買ってみれば?」
彼女はそう言うとネックレスのトップを掌に乗せた。小さいコバルトブルーの花が三列つらなっている。私はそれをじっと見つめていた。
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