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うざっ!!

遊びに来て頂きありがとうございます

「あの端にある氷柱も、さっき見たんだけど」

「あれはサーベルキャットに氷柱にさせられた盗賊の頭。見せしめの為にあのままにするとか言ってたかな」


 実際、今回の結界もあの盗賊がセルリルの所有物に手を出す事がなければこんな結界等張らずに済んだ話らしい。今までも特にそんな事をしてこなかったらしいのだが、彼等に横取りされたのが相当悔しかったのであろう。でも話を聞けば、狩った獲物をセルリルが暫く放置してたらしい。

 それを輩達が持っていったようなのだが、それはそれで、彼等達もそんな背景があるとは知らずであろうし、ましてやその行為で盗賊が解体されるとは思わなかっただろう。


(だいたいそのままにしておく方が悪いだろ)


 一瞬セルリルの餌食になった彼等に同情の念が過るも、他については卑劣な行いをしたのは間違いないのだ。それ相応の報いである。


「因みにタスラム・フォード様はこれから」


 すると彼が私の隣まで一気に足を進め、微笑を浮かべながら私の顔を見た。


「香月、貴方に着いて行こうかなーー 後そんな仰々しい感じじゃなくて私の事はタスラムと呼んでくれて良いだよ」

「今会ったばかりですし…… それに如何せん慣れ慣れすぎで気持ちが悪いんですけど!!」


 その言葉に彼が一瞬驚いた表情をしたかと思うと、笑みを浮かべる。


「いやーー 婦人からそんな辛辣な言葉を面と向かって言われた事ないからびっくりしたよーー うんでも悪くないかも。香月。もう一回痛烈な言葉を言ってくれないかい?」

「い、嫌です」


 セルリルとまた違う意味でどうしようもない男に出会ってしまった事を察し、とりあえず早く彼と別れたい一心で、彼と距離を取り足早に歩き出す。すると、森を抜けても彼は私の後を付いてくる。


「あ、あの…… タスラム・フォード様は」

「タスラムだって言ったでしょ」


 またしてもいきなり私の横に並ぶと腰を掲げ、言い聞かすように私に声を掛けた。思わず溜息をつく。


「タスラム。あなたは、どこまで行くの?」

「私。ああ。ちょっと級友の所に顔出しがてら仕事の依頼かな。村抜けたへん。香月は?」

「私も…… この通り抜けた先……」

「じゃあ途中まで一緒だね。嬉しいなーー」


(嬉しくねえわ)


 思わず心の叫びが出そうになるが、グッと堪えつつ、村の中心部にさしかかり、往来する人も増えてきた。

 いつもと変わらず闊歩する中、背後がやけに賑やかな事に気づき、何気なく振り向く。

 すると、タスラムの回りに、年頃の娘達が群がり、話に花が咲いているのだ。それは通りすがる女性すべてが彼のいる場所で足を止めていくのだから、私にとっては驚き以外ない。


(見た目紳士で顔も美形だとは思うけど、あんなのと話して面白いか?)


 どうみても逆ハニートラップとしか思えないが、彼と距離をおけるのならそれで構わない。とりあえず家路に向かうべく、足を進めて行く最中、背から女性達の声が上がると同時ぐらいだった。


「香月ーー 待って。じゃあ貴婦人方またお会い出来る日を」


 そう言い群がる女性達に先程と同様に前に手を回し頭を下げ、こちらに走ってきたのだ。とてつもないガッカリ感のあまり天を仰ぐ。


「何で先行っちゃうの? 途中まで行くっていったじゃない」

「そんな約束した覚えないけどね」

「香月はつれないな」

「別にそれで良いと思っているので」

「はははは。やっぱり香月は面白いね。私は俄然貴方が気になってきたよ」

「そんなの願い下げよ」

「えーー」


 かみ合わない話を続けながら、彼は私の横に立ち私と同じ道を歩く。そして、脇をそれ、森の中へ入っていく分岐点までたどり着いた。


「私こっちなので。タスラムも気をつけて」


 そう言い森の方へと向かおうとすると、彼は満面の笑みを浮かべて見せたのだ。


「じゃあ私と向かう所は一緒みたいだね」

「はい?」


 怪訝さを帯びた疑問符の声を上げるも彼は、その反応には全く堪えていなようで、そのままのテンションで話続ける。


「成る程ね。そういうことなら氷柱の件は合点いくかな。でも、うんーー 良し。とりあえず香月の件は直接聞いた方が良いかも」


 すると、いきなりタスラムが私の手を取る。


「へ?」

「善は急げって言うでしょ?」

「はあ?」


 いきなりの事で結局彼の勢いに為す術なく、半ば引きづられるように獣道を駆け抜ける。そしてあっと言う間に、セルリルの住処につくや否やドアを一気に開けたのだ。勢いの余り、壁にドアがぶつかり、その音が家に響く。

 流石に部屋中に響いた事により、彼も何事と言った表情でドアの方を見た。そして私等を目視すると、沼のような溜息をつく。

 そんなセルリルの露骨な態度にも全く気にすることなく、家の中に飛び込んだタスラムは声を上げる。


「セル元気にしてた? 相変わらず籠ってるの?」

「普通に入ってこい。タス。五月蠅い」

「ごめん、ごめん。勢い余って」


 そう言い笑う彼をセルリルは不思議そうな表情を浮かべ注視した。


「何?」

「お前等知り合いだったのか?」


 タスラムの背後で全くもって状況が掴めない私は顔を彼の方に向ける。


「なわけないでしょう。って言うかこれどういう状況?」

「それはこっちの台詞だ」


 いつも以上に不機嫌なのか目つきが鋭い。しかし、そんな事は知っちゃこっちゃない。こっちは指示通りに業務を実行したのだ。それにも関わらず、その態度とタスラムの事も重なり、一気に頭に血が上る。


「セルリル、いい加減にしろよ!! あんたが氷柱見てこいって言って見てきて、帰ってきて早々その態度何!! それにタスラムが氷柱の前に居たから声掛けただけで、私が連れてきたわけじゃないわよ!!」


「そうだよ。香月とは氷柱で会ったのが初めてでね。それでたまたま行く場所が一緒だったみたいで」

「侵入者はお前かタス。はた迷惑な話しだ」

「そんなことより、セル。いつも言ってるだろ? 女性に対してもう少し優しく接しろって」

「はあ? お前みたいな事出来るか!! ましてやいつも顔合わせている人間に!!」

「何それ? 私だって好き好んで一緒に住んでるわけじゃない!! 最初は勝手わからなかったっていうのもあるけど、今なら直ぐにでも出てってやるわよ!! そもそもおかしいのよあんたが協力仰いでおいて!!」 


 怒り心頭のあまり無意識に、セルリルの横にズカズカと歩いて行くと互いに睨み合った。するとそんな私達の間にタスラムが笑みを称えながら割り込んでくる。


「二人共。私のせいでそんないがみ合いをしないでくれ」


 緊迫感しかない私等の間に真逆の空気感と共に、お門違い発言を何の悪びれもなく言い放つ。それにより感情がさらに助長され言い合っていた言葉が止まる。そしてそんなタスラムに私とセルリルは今日イチの冷たい視線を送った。

読んで頂き有難うございます

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