パパはぬいぐるみ
雪の降りそうな
冬の季節の
ある日
今年も、パパは
モコモコの服を着て
のんびりとソファーに座る
ずっと前から
こんなふうに、パパはこんなふうに
モコモコの服を着て、ソファーに座っていた
「ただいま〜寒い寒い」
と、ママが帰って来た
そして、
ソファーの所まで来ると、
ニッコリ笑って、パパに近づく
そして
何も言わずに、パパにスリスリしていた
とても、幸せそう
そして、決まって僕に
「おいで」
と言う
僕、気づいたんだ
何か、特別だねって
だから、今年は
勇気を出して聞いてみた
いつもは、とても嬉しくて
パパとママのところに、飛び込んで行っていたのだけれど…
「あのね、僕聞きたいことがあるんだ」
と
パパとママは、少し驚いて
「お話してみて?」
と、ママが聞いた
「あのね、冬の始まりみたいな日に…
何でパパは、『ぬいぐるみ』になるの?」
と、
すると、パパは少し考えて
「おいで」
と、言った
『この日』は、パパが『ぬいぐるみ』の日だから
僕は少し驚いた
でも、パパに近づくと
パパは、僕をひざに乗せて
「今日はね…
ママがぬいぐるみを卒業した日なんだよ」
と、耳元でナイショ話のように教えてくれた
「だから、パパは
この日は、ママのぬいぐるみになろうと決めたんだ」
「ふーん」
と、僕は言う
「よく分からないな」
と、言ってみる
僕は、パパが
僕に、答えの『かけら』をくれた
と思うことにした
『納得』はしていないけれど
少しだけ、気持ち良かった