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第3話 キラーアイ



 さってと、涙も拭ってきたところでお話をさせて頂きましょう。


 最初からいきなりなんですが、ぼく、近藤 巌には友達がいません。有り体な表現でいうと「ボッチ」です。ですが、色々と誤解があるといけませんので詳しく申し上げます。


先ず最初に、


・ボッチが気に入ってる?

……気に入ってたら皆さんにこんなお話なんてしてません。


・ボッチを気にしたことがない?

……ロープにぶら下がり、重力を感じたいと思ったことは結構あったりします。


・脱ボッチを目指したことは?

……手足の指の数では足りないぐらいやってみました。



 僕の願いは昔から今までずっと変わりません。


―――友達欲しいです。むっちゃ欲しいです。



 最近、周囲から聞こえてくる声に耳を立てていると、このような会話が多く聞こえてくる。


「俺達、もう高校2年生か… さすがにそろそろ彼女欲しいよな?」


「そーだよな。早くしないと『彼女いない歴』がどんどん更新されてしまう。悲しいよな…」



 恋について語り合う仲の良い友人達。


 僕は彼らの会話聞いていて涙が出そうになりました。


―――僕には恋を語り合えるような友人すらいない。



『彼女いない歴』どころか『友達いない歴』を先に何とかしないといけない僕。だから今の僕には恋愛なんて異次元のものであり、一番の目標は友達、出来れば親友と呼べる男の友達を得ることです。



 僕からすればみんな贅沢だ。

どんなにモテない男子でも男友達ぐらいならいる。僕にはそれすらもいない。


………あっ、すいません。ちょっとトイレに行ってきます。(号泣タイム)





 ごめんなさい。戻ってきました。


 確か… 小学校の4年生ぐらいまでは仲の良い友達がいました。ええ、確かにいたと思います。でも6年生ぐらいになると何故だか近くに誰もいなくなり…。 やがて中学生になると周囲にさえ誰も来なくなり…。高校に入ると僕の周りには明らかな異空間が出来上がってました。いわゆる次元の狭間というやつでしょーか?



 何故そうなるのか?

理由は分かっています。ええ、もう十分過ぎるほどに。


 みんなが僕に近付かない理由、それは僕がおっかないからだと思います。所謂「強面こわもて」ってやつですかね。



 僕は身長も大きく体格も割とがっしりしています。僕の父親は体育大学卒業で現在は高校の体育教師。父が大学時代に所属していたのは柔道部であり、かなりの成績を修めたらしいです。


 そんな父は僕に柔道を強要することはしませんでしたが、子供の頃は基礎体力だけは鍛えたいと言って、僕に柔道を教えました。大きくなるにつれ、凄く見込みはあると父は言ってくれましたが、僕の性格上、柔道は向いていないと思っていたので、中学生の中ごろから柔道を習わなくなりました。



 父に柔道の練習を断ったのは、確かに向いていないと思ったこともありますが、本当の理由は周囲の人が僕を怖がって段々近寄らなくなってきたことです。



 一度、自分の姿を鏡に映して確認したことがありました。


………う~ん、これがそんなに怖い?


 全然自分ではわかりません。

だけど、妹の美玖ちゃんが悲しい顔をして何故か1枚の写真を僕のところに持ってきました。


 その写真を見てからもう一度鏡を見て見ると……そこには恐ろしいモノが映っていました。



 美玖ちゃんが渡してくれたのは、小さかった頃の僕の写真。

対比すると一目瞭然って感じです。



「お、お兄ちゃんは優しいもん。怖くなんかないもん!」


優しい美玖ちゃんはそう言って必死に庇ってくれました。僕にはそれが凄く嬉しく思えました。………



 だけどね、美玖ちゃん。それってね……フォローになってないんだよな。


 「怖くなんかないもん!」その後に続く言葉ってさ、「私はね」でしょ? するとですよね、「私」以外の人は怖がることが前提って感じになっちゃうんだよね…。



 はぁあああ~ それにしても……


 鏡に映る自分を見てると、やるせない気持ちになっちゃう。


 高身長でがっしりした体格。輪郭がくっきりした劇画チックな顔。止めは異常に鋭いこの目つき。簡単に表現すると尖りまくっている。目つきなんて冷静に見ると自分でも怖い。



 何となく自分で分かってきました。

僕の顔は柔道家の父譲り。父も確かに厳しい顔をしています。だから僕の目つきが怖いのは仕方のない事なのですが、ただ、これほど鋭くなったのにはもう少し訳があるんです。




 中学に入り、周りに人が寄り付かなくなってきた頃の事でした。


 ある日、僕に近寄ってくる人が突然現れました。初めての経験です。僕は嬉しくなり、直ぐにでも友達になろうとしましたが、その人は僕に近寄ると一言だけ告げて、直ぐに居なくなりました。



「放課後、倉庫裏にこいや! 逃げんなよ!」



 がっかりしました。

でも、その後少し考えると、ある事を思い出しました。



「巌、相手とは力一杯戦え! それが礼儀ってもんだ。そうすれば、戦った相手も試合の後は良き友人となる! 昨日の敵は今日の友だ!!!」



 そうだ。父さんはそう言っていた。それに、よくこういったストーリーを漫画で見たことがある。所謂好敵手ってやつだ。


 僕は決心しました。

相手に無礼がないように、精一杯やってみようと…。



 放課後、僕は呼ばれた場所に行きました。

何故か僕を呼び出した人以外にもう2人がいて、向こうは3人でした。


 それを見た僕は……思わず飛び上がって喜びました♡

だって、上手くいけば一気に友達が3人もできるんですよ? こんなラッキーなことは無いですよね?



 それから僕は出せる力を目一杯出しました。限界まで力を出し尽くしました。


 ですがやはり駄目でした。結局、その人達は友達になってくれませんでした。それどころか、それ以後、僕の目の届くところから完全に姿を消しました。



………やっぱりダメだったか。


 何となくそんな気はしてました。

3人と戦った時間はたったの2分。一人当たり一分も無い計算です。これじゃあ分かり合える筈も無いですよね? あと5分あればきっと分かり合えたと思います。仮に、もし30分も与えられたのなら、もしかしたら親友にまでなれたかも…。残念です、本当に。



 すっかり気落ちした僕。

ですか、何故かその勝負の後から、僕の周囲には以前にも増して人が近寄らなくなりました。もう少し細かな表現をすると、まるで磁石のN極とN極のように、僕が近寄ると、その分だけみんなは遠ざかるようになりました。


 何だかそれが恨めしく思い、僕の目つきは更に厳しいものへと変わったのかもしれません。




 そして高校へ入学したのですが…。 結果は中学の時と同じです。



 一見、恐怖を感じさせてしまうこんな顔をしている僕なのですが、実を言うと秘密があります。皆さんには思い切ってその秘密を打ち明けちゃいます。



 実は、僕は、……極度の恥ずかしがりやなんです。


 変な話なんですが、女性に対しては全くそんなことがありません。多分それはいつも妹が傍にいてくれているためだと思われます。話し相手は妹しかいないわけですから、理屈的には女性としか喋っていないことになります。


 ですが、男性、しかも友達になってくれそうな人をみると極度に緊張してしまいます。 「もしかしたら友達になってくれるかも」……そう思うとドキドキします。親友になってくれるなんて言われたら、きっと僕は気を失うでしょう。



 だから席替えの時も近くに男子が来ると緊張してしまう。緊張するとどうしても表情が硬くなってしまう。そんな僕の顔を見た皆は、泣き出しそうな顔になってしまう。


 はっきりいって悪循環です。僕が友達を欲しいと思えば思うほど、周りからは人が消えていきます。



 今の僕が求めているのは「男の友人」です。これ以外にないです。

彼女なんて贅沢は友達が出来てからで十分です。




 僕の夢。

本音で語り合える友人が出来ること。その友人と一緒に色んな事をやってみること。そして……友人と恋愛につて語りあかすこと。


 これぞ青春です。

生きてるって感じがします。

僕は本当に「親友」と呼べる男友達が欲しいです。僕の唯一の願いです。



 でも……もう殆ど諦めてます。

既に高校二年生。高校生活も残り半分です。結局、僕は無意味な高校生活を送ることになるんだろうと思っています。






―――そう思ってました。


 でも、神様はいました。いたんですよ!

も~うほんとにカミマミタ!……じゃない、カミハイタ!



 これから秋を迎えるという時期から、僕の人生は大きく変化します。

今までの人生が薄かった分、それがまとめて濃縮され、自分のところにやってきます。


 どのように僕の人生が変わっていくのか?

是非皆さんにはその様子を見ていただきたいと思います。



 僕は本当に親友を得ることはできるのでしょうか? 期待していてください。



 はい?… 彼女はできないのかって?…  どーなんでしょーかね? タグに「ラブコメ」があったら、なるようになるんじゃないですか?


 あまり興味がないんでその辺の事はよく知りません。ごめんなさいです。


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