表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/11

少女の目覚め

 基本的に原稿を書き直すことが多いため、完結させてから投稿し始めるタイプなのですが、今回は「もうこのへんは書き直さないだろう」と判断して更新することにしました。


 ……それでも改稿が発生したら、ごめんなさい( ˘ω˘ ;)


     *



 り切れた天井のはりが見えて、少女は身体を起こした。それだけで、全身がきしむようだった。

 脚は折れているのかと思うほど痛む。

 無理もない。川に流され、坂を転げ落ちながら、あの険しい山道をまる一日逃げてきたのだ。自分に回復魔法を掛け続けていなければ、五体がバラバラになっていただろう。

 簡素なベッド。自分のではないチュニック。見たことのない小さな部屋。まるで自分が一瞬にして別人になったような感覚。

 これが、ラーライも話していた“転生”というやつだろうか。だとしたら、彼もどこかに……


「お母さん。お姉ちゃんが起きたよ」


 ベッドのそばにいた見知らぬ幼い少年が、部屋の外にいるであろう母親を呼んだ。

 お姉ちゃん? 私に弟はいない。やはり私は死んで、別世界の別人になったのだろうか。

 それにしては、話に聞いた“転生を司る神”とやらにまみえた記憶もないが……


「ああ、よかった。ようやくお目覚めね」


 三〇歳ほどの女性が戸口をくぐって入ってきた。腹のふくれ具合で、妊娠しているのだと分かる。

 手にした木製のマグカップから、湯気に乗って甘い香りが鼻をつく。


「さぁ、まずは一杯。ゆっくり飲んで」


 そう言ってマグを少女に渡してきた。

 ミルクだ。

 唇の先端で触れると、暖かさと柔らかな甘さ、そして爽やかな草の香りが、じんわりと舌に伝わる。蜂蜜、それからハーブとスパイスも少し混ぜているようだ。

 思い切って少女は飲んだ。

 ゆっくりと、と言われたが、浴びるように喉へと流し込んだ。

 カップの端から滴る水滴を名残惜しそうに舐めとり、ようやく顔を下へと戻した。腹の底で蝋燭が灯るように、ボッと身体の芯が熱くなる。


「それだけの元気があるなら、もう大丈夫ね。私はニーダ。こっちは息子のディオム」


 少年がはにかんだ笑みを見せ、軽く手を上げて挨拶する。


「それから、今は出かけてるけど、山のなかであなたを見つけてここに運んだ、私の旦那のロッカ」


「ここは?」


「ガウル王都から北に二千カリォ、アンビサール川流域にある、名も無い村、の我が家──の、この子の部屋。あなたの名前は?」


「私は……」


 少女は躊躇った。

 認めたくなかった──自分がまだ生きていることなど。


「ナフィ……ですッ……うぁ……あああ──ッ!」


 名乗るや、少女は大声で泣いた。

 認めたくなかった。認めるしかなかった。

 これが現実なのだ──愛する者を失った、この世界が。



 まだまだ話は動きません(苦笑)


 次回は主人公の農夫に視点が映り、世界観などの説明も入ります。そのため、やや長くなるかと思います。


 よければ感想評価、よろしくおねがいします

“(_ _ )

 誤字報告も受け付けております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ