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一つの恋の⋯⋯欠片

 リリアナは奇跡的に一命を取り留めた。


 しかし(いま)だに目を覚さない。


 ()ずはきっちりと指にめり込んだそれらを取り除かなくてはと悪戦苦闘するも握った形で固定された様になっており、メイドのアンは救いを求めるように家族へと視線を送る。


 医師や使用人達が何とか時間をかけ手放せた髪飾りを見た時母親がぽつりと言った。


「なんだ、おもちゃじゃないの」



 遺書らしきものは殿下宛であり蜜蝋(みつろう)で封がしてあった為読む事が出来なかった。



 リリアナの生家(せいか)であるモンタギュー家は四大侯爵家の一つである。


 国の重責(じゅうせき)(にな)う立場から、娘と言えど将来はそれなりの名家に嫁ぐ事が生まれながらに決まっている。


 幼少時からそれは厳しく育てられた⋯⋯とは言えほとんどを人任せであったが。



 両親と長男は王都の屋敷に拠点(きょてん)を置き、次男とリリアナは領地で家庭教師と共に過ごす。


 両親と長兄に会えるのは年にして数回程度で関係は希薄(きはく)、領地での生活がリリアナの全てだった。



 家庭教師の女性は子爵家の出戻り女性で表情に(とぼ)しく厳しい課題を兄妹に()した。


 限られた環境の小さな世界しか知らないリリアナは同年代の子供と遊ぶ事も無く、子供らしい情緒(じょうちょ)も育たぬ内に知識だけを詰め込まれた頭でっかちの小さなレディとなる。


 そんなリリアナが王太子殿下の婚約者になったのは7歳の時、王妃主催のお茶会に招待を受け王妃に気に入られたからであった。


 王太子殿下のエドモンドもリリアナの見目麗(みめうるわ)しさと万事(ばんじ)において控え目なところを気に入りそれから交流を深めてきた。


 リリアナは勿論(もちろん)、この婚約こそがゴールであると信じて疑わなかった。


 その後は頻繁(ひんぱん)には会えないものの順調に愛を育んでいったかのように思えた。


 ある時、王都城下を散策中(さんさくちゅう)にたまたま目についた雑貨店で見つけた髪飾りを、これが婚約者である自分の色だからと次のパーティーでつけてくる様に……と言って渡される。


 初めての殿下からの贈り物に何度も形を確かめるかのように撫でた後、頬を赤くしてお気に入りのレースのハンカチに大事そうに包んだ。


 この髪飾りはリリアナにとってこれからの人生で大きな意味を持つものとなる。

 そして必ずパーティーでは髪を(いろど)った。





 

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