一つの恋の⋯⋯友愛
その時からメリッサ様の事が気になって仕方が無かった。
ハワード様とあの年上らしき方があの影の正体ならなんて残酷なんでしょうと、心を痛めた。
ご自分の婚約者が他の女性と親密にされている。
考えただけで目眩がする。
偶々居合わせたのに冷静で責める事をしなかったメリッサ様が随分大人に思えた。
「そうですわね、あの場で騒ぐ事はリスクはあってもメリットは無い。どちらにとっても」
小声で呟く。
そう判断されて心の中では嵐が吹き荒れ様とも表情にも出されなかった。
立派だと感心すると共に、ではメリッサ様の苦しみは?と思ってしまう。
自分に何が出来るとは思えないが何か力になれないか?
お医者様でも無い自分に出来る事があるのかと自問自答しながら、リリアナは真剣に考えるのであった。
そしてリリアナが出した結論が側にいて苦しい時、話の聞き役になると言うものだった。
リリアナが両親に会いたい時、辛く苦しい家庭教師の叱責、王都から領地に返される時にはいつも次兄であるサイモンが居てくれた。
手を握ってくれて頭を撫でてくれて歌を歌ってくれた。
今は沢山泣いても良いよ、と何時も慰めてくれた。
サイモン兄様はシャツが汚れてしまうのも気にせず落ち着くまで側に居てくれた。
涙と鼻水でドロドロのクシャクシャになったお洋服を見て最後は二人で笑った。
もし私にサイモン兄様が居てくれなかったらあんな風に暗い目をしていたのかもしれない。
本格的な心のケア等は自分では出来ない。
でも心の内を吐き出せば少しは軽くなるのでは?と思ったのだ。
正式な婚約者なのだから杞憂に終わればいいのだがあの笑っていない目が頭から離れないのだ。
それからリリアナは何かに付けてメリッサ様に声を掛け同じ時間を共有する事が増える。
親友と呼ぶのにそう時間は掛からなかった。
ただ側にいると知りたく無い情報も多くある。
ハワード様は兎に角女性好きだったのだ。
よくよく聞いてみると昔からあのような感じで好みの花には声を掛けずに居られないらしい。
その様なご病気かしらと心配して居たらその火の粉が自分にまで関わってくるとは思いもよらなかった。
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