一つの恋の⋯⋯火種
その日友人になった令嬢三人と共に学園の図書館へと訪れていた。
入学して二か月が経とうとしていた。
学園生活にも随分と慣れ、其々気が合うグループが出来た。
放課後、授業の課題の為資料を探しにやってきた
友人達は辺境という環境で育った為、其々が個性的な女性だった。
マリアン様は少々お転婆で剣や自衛としての格闘術を得意とし独立心の強い方だ。
エリーゼ様は大人しい方で刺繍と読書を好まれ、セシーリア様はお喋り好きでお菓子作りを得意とされている。
四人で手分けして資料作りの参考文献を探していると本棚の奥まった所に有り得ない物を見てしまった。
必要以上に身を寄せた男女?その独特な感じから男女だと推測がついた。
二つの影は何やら小声でクスクス笑い、他のことが目に入らない様だった。
慌ててその場を離れようと後退りした時、もう一つの影に気が付いた。
少し離れた所から二人の様子を窺う影。
びっくりして固まった私にもう一つの影が近づいて来た。
シッと唇に指を立て手首を掴んで反対方向に連れ出された。
明るい照明の下で同じクラスでハワード様の婚約者のメリッサ様だと気付いた。
同じクラスでハワード様の婚約者としてご紹介を受けた時と違ってどことなく目が座っていた。
どう切り出したらと気まず気に声を掛ける。
「あ、あの⋯⋯」
彼女は顔を奥の書庫に向きおざなりな頷きをしながら
「レポート提出の資料探しですの?」
と、どうでも良さげに聞いて来た。
そして何事もなかった様に今度は強引に手を引いて元いた方に声を若干大きくして戻って行く。
「えぇ、帝国史の棚で探そうと思っておりますの」
「此方でしてよ、ご案内いたします」
「⋯⋯」
すると其方からハワード様が出ていらした。
「やぁ、お二人で珍しいね」
「ハワード様、ご機嫌よう。レポート提出の参考資料探しですわ」
メリッサ様が遮る様に早口で喋る。
「ご、ご機嫌よう。ハワード様」
私はそう挨拶するのが精一杯だった。
「何だか珍しい組み合わせだね」
「先程お会いしましてテーマが似ているので情報交換していた所なんですの」
「ふーん、そうなのか。まぁ頑張って」
「あの、エドモンド殿下はどちらに?」
「生徒会長に用があるとかで別行動なんだよ」
「そうなんですか。では友人達を待たせておりますのでこれで失礼致します」
そう言った所で奥から見慣れない女子生徒が出て来た。
年上らしき女生徒は意味あり気な視線でハワード様を見て足早に去って行った。
「じゃあ、またね。お二人さん」
そう言って後を追うようにハワード様は去って行った。
「びっくりされたでしょう?」
「⋯⋯」
はい驚きましたとも言えず、困って固まっていると他の三人が探しに来た。
「では、ご機嫌よう」
メリッサ様は真顔でそう言って足早に去って行った。
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