プロローグ
……え、待って?こんなことある?
せっかく魔法がある異世界へトリップしたのに、魔法が使えない上にこれが特別な能力なの?
超絶クソチートじゃん。
やっぱり、日本で要らなくなった私だからこその能力って事なのだとしたら、そういう事なのかもしれない。
何か専門分野の知識があるわけじゃなく、スバ抜けた創造力があるわけでもない、飛びぬけた能力があるわけでもない私が異世界へトリップした意味なんて、やっぱり要らない子だったから、にしか答えが見出せない。
本当に神様って居るのだろうか?
自分に都合が悪くなると神様って意地悪だとか思ってしまう自分が大嫌いなのに、何かある度いつも出てくるあたりが余計に落ち込む。いや、落ち込むと言うよりは絶望に近い。意識してても出てくるというのは、根底が変化出来ていない現実を突きつけられるから。
そして日課であるように、自分の存在意義を求めた結果、心の奥底にある黒い塊は増えていく一方だ。
必要のない子は、どこへ行っても、生まれ変わっても、必要のない子になるのであれば、いっそのこと宇宙の塵にでもしてくれた方がよっぽどマシだ。
少なくとも、哀しさや寂しさで傷つくことはないのだから。