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6.危険な使い魔

「……。……蓮、燔。……蓮燔。」

「ちゃんと聴こえてる。……大丈夫か?」


 やっと落ち着いてタオルを外すと蓮燔がまた驚きと悲しみが混ざった驚き方をする。

 辞めてくれ。その顔……その顔が、嫌いだ。


「……酷い顔してる。何か思い出したのか?」


 きっと……これは話さない方が良い。……そうだ。


「……何か、急に止まらなくなったんだ。……悪い、何も思い出してない。」


 思い出してはいない。嘘は言っていない。


「……そっか。さ、飯にしようぜ。」

「これも俺が好きな物……?」

「俺も好き。まあ、簡単に作れるし……。ほら。」


 先程と同じ席に就き、「頂きます」と言ってからスプーンを手に取り、口にする。

 ……美味い。


「シーフードチャーハン。美味しいだろ?」

「ああ。凄く、美味しい。」

「(ホッ)久々に作るから不安だったんだが、まぁ良かった。」


 ……あ。


「なあ、俺に使い魔……?らしき奴は居なかったのか?」

「居るぞ。かなり凄い奴が。」


 かなり凄い?


「でも、お前に相応しい。」

「見てみたいんだが……どうすれば?」

「名前。お前が付けた名前を呼んでやれば良いんだよ。ただ、主以外が呼ぶとすっごい怒るんだよ……。俺のも、お前のも。嫉妬深いって怖いなwwwほら、ペン持てよ。……本当は食事中だから嫌なんだけど行儀悪いとか言ってられねぇし。ほら。」


 俺がペンを持っても分からねぇんだけど……?

 一応指示通りにペンを持つと蓮燔が少し躊躇いながらペンを持つ俺の手の上からペンを持ち、紙に一緒に名を書いてくれる。

 え……書いても怒るのか?どんだけ嫌いなんだよ、そいつ。

 書き終わったのか俺の手を離し、再び無言で食事に戻る蓮燔。少し怯えているようにも見える。

 え、何に怯えてるんだ?


「蓮燔……?」

「……ほら、呼んでやれ。そのまま放置しとくのも怖い。」

「え、お、おう……。……レイ。」


 背後でボンッと言う控えめに何かが爆発する音と周りが見えなくなるくらいの黒い霧が一瞬だけ広がり、怪我をしている右足と左脇腹にフサフサと、フワフワとした綺麗な毛並みの尾が優しく絡められ、肩に軽い重さが加わる。

 ふと顔を上げると恐らく九尾と言われる類の何かが嬉しそうに残りの7本をユラユラと揺らしながら此方を見ていたので、何となく頭を撫でてやると「クルル」と喉を鳴らす。

 ……よ、喜んでる……?


「え……こ、これが……俺の?」

「種族名は妖夢の支配者、ルーアー・ミステリアスドリーム。主であるお前が1番好きで、1番安心出来る姿に変化して主の元に馳せ参じる。異常な魔力持ちで、何をするにも主が動機だ。だから、主の為に、とか主の為なら、って感じだな……ううっ。」


 説明を終えて恐る恐るレイに目を向けた蓮燔は顔を蒼くする。

 先程まで機嫌の良かったレイは蓮燔を無表情で、無感情で静かに睨んでいて、少し驚く。


「だ、駄目だからな。こいつは、俺の大事な親友だ。手を出すな。」


 そう言うとスリスリと甘えてきて、膝元に頭を置いて大人しくなる。頭を撫でながら蓮燔に視線を戻す。


「……お前の使い魔も見たい。」

「今俺がお前に感じてた感謝と感動を返してくれ。……悪いけど、ここじゃあ狭過ぎる。まぁ……そのうち。お前のより凶暴だし、結構危険な奴だから。」


 ふーん……?

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