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蒼竜と少年  作者: しまねこ


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それぞれの予定と勉強会の事

「それじゃあ、食事に行こうよ。午後からは僕達は授業があるからね」

 笑顔のレイの言葉に、マーク達も笑って立ち上がった。

「そうだな。おかげで昼飯を食う時間が出来たよ」

 それを聞いたレイがマークとキムに向き直った。

「お願いだから、ちゃんと食事は食べてよね。駄目だよ」

 真顔で叱られて、二人は肩を竦めて頭を下げた。

「分かった。気をつけるよ」

「解りました。食事と睡眠は疎かにしません」

 二人が宣誓する様に右手を挙げてそう言うのを聞いて、レイも笑顔になる。

「分かってくれたなら良いよ。お願いだから無理はしないでね。僕で良ければいつでもお手伝いするからね」

 笑って背中を叩くと、片付けて立ち上がった少女達の本をまとめて抱えて図書館に返しにいくのを手伝った。



 借りた本を手分けして片付けたら、皆で一緒に食堂へ向かった。

 それぞれに山盛りの料理を取って来て、しっかりお祈りをしてから食べ始めた。

 食事の間は、神殿でのお務め中にあった事や、マーク達の苦労話に花が咲いた。

 皆笑顔で、食べながらお行儀悪くお喋りを楽しんだ。

「そう言えば、あの勉強会の件なんだけど、ディレント公爵閣下にお願いしてディーディー達も誘うってお話しして了解を得てるんだ。えっとお目付役の女性の方をつけてくださるって。それで、勉強会の予定が決まったら、閣下から神殿に連絡してくださるんだって。どうする?」

 食後のデザートとカナエ草のお茶を用意して来て、お茶を蒸らしている間にレイが隣に座るクラウディア達を振り返った。

「ええと、今月は月初め以外は必ず出ないといけない行事や祭事はなかったはずだから、私たちはいつでも良くてよ」

 クラウディアはニーカと顔を見合わせたあと、そう言ってジャスミンを見た。

「私も大丈夫よ。一応ロッシェ僧侶には、レイルズから勉強会に誘われた事を伝えてあるわ」

 ロッシェとは、竜騎士隊の本部に詰めている女神の神殿から彼女の教育係として来ている正一位の僧侶だ。かなり厳しい方の様だが、ジャスミンはとても頼りにしている。

「マーク達はどう? いつが良い?」

 机を挟んだ向かい側に座る彼らにそう尋ねる。

「そうだな。俺達もこの講義の予行演習が終われば、また問題点を洗い出して手直しだからなあ。勉強会をしてもらえるならありがたいよ。いつでもかまわないけどレイルズの予定は?」

 逆に聞かれて、レイは笑って首を振った。

「僕も大丈夫だよ。閲兵式の前にはちょっといろいろあるらしいから、出来れば早い方が良いね。今週ならいつでも良いよ」

 その言葉にクラウディアが小さく笑う。

「じゃあ、皆すぐでも大丈夫って事ね。それならこうしましょう。レイは戻ったらディレント公爵閣下にお願いしていただけるかしら。勉強会の予定ならすぐにでも大丈夫だって。そうすれば閣下が神殿に連絡してくださるでしょうから、その目付役として一緒に来てくださる方にお願いして、予定が合えばすぐにでも始めましょう。どう?」

「良いわね。じゃあそれでお願い出来るかしら」

 ジャスミンもそれを聞いて笑顔で頷いてくれたので、レイは内心で安堵しつつ笑って頷いた。

「じゃあ、帰ったら公爵閣下に連絡するね。それで詳しい日程が決まったらシルフを飛ばすよ」

「ええ、じゃあお願い出来るかしら」

「うん、任せてね」

 笑顔で大きく頷くレイを、ジャスミンは面白そうに眺めていた。

「どうなる事かと心配していたけど、どうやら大丈夫みたいね」

 お茶のカップの縁に座った愛しい竜の使いのシルフに笑いかけたジャスミンは、ゆっくりとカップにお茶を注いだ。




「それじゃあ講義の予行演習頑張ってね!」

「応援してるからね」

「ちょっとくらい失敗しても大丈夫よ。堂々と胸張ってやってね」

 クラウディアの言葉に続き、ジャスミンとニーカも笑いながらマークとキムにそう言って手を振った。

「お前ら、他人事だと思って無茶言うなよ」

 資料の入った籠を置いたマークが苦笑いしながらそう言い、隣にいたキムはカゴを置いて無言で顔を覆った。

「ああ、駄目だ。また緊張して来たぞ。せっかく覚えた段取りを忘れそうだ」

 一応、一般兵に向けた講義は主にキムが行い、マークは資料を配ったり魔法陣の展開図を黒板に描いて説明する際にその場所を示すなど、キムの講義の補助的な部分を担当する事になっている。

 光の精霊魔法に関する部分は、あくまでも参考資料的な部分のみなので、一般兵への説明も簡単だ。これは光の精霊魔法が出来る人自体がとても少ない為で、光の合成魔法に関しては、扱えるものだけで後日特別講義を行う事になっていて、これは逆にマークが主に講義を行い、キムが補助的な部分を担当する事になっているのだ。

 この形に決まるまでは二人ともかなり苦労したのだが、互いの得意分野を担当する方が気が楽だと言う事もあり、この形に落ち着いたのだ。



「ほら、しっかりしてくれよな。もう、講義の予行演習だって何回もやってるんだから、いい加減慣れてくれって」

 からかう様にそう言って背中を叩いてやると、態とらしい悲鳴を上げてキムが走って逃げる。

「コラ、レイルズみたいな事やってるんじゃないよ。廊下は走るな!」

 笑いながら籠を抱え直したマークも、逃げるキムの後を追って廊下を走り出した。

 教室の前まで走って息を切らせた二人は、廊下の壁にもたれて息を整えた後、大きく深呼吸をしてからカゴを足元に置き互いの拳を突き出した。

「よし、行くとするか」

「おう、よろしくな」

 拳をぶつけ合った二人はカゴを抱え直してから、教授や上官達などの関係者で席が隙間なく埋まった会議室の部屋の扉をゆっくりと開いて、並んで胸を張って入って行くのだった。



 そんな彼らの様子を少し離れた窓辺に座って見ていたブルーのシルフは、満足気に小さく笑って、そのまま会議室の中にふわりと入り込んで行ったのだった。

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