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蒼竜と少年  作者: しまねこ


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本読みの会?

「ああ、帰ってきたね」

「おかえり。どうだった?」

「おかえり。商談はうまく行ったかい」

 本部に戻ったレイとルークは、そのままいつもの休憩室に向かった。

 そこには若竜三人組が揃って手を振っていたのだ。

「ただいま戻りました!」

 元気な声に笑って、タドラがお茶を入れる為に立ち上がる。慌ててレイも駆け寄り、一緒に全員分のお茶を入れるのを手伝った。

「はいどうぞ」

 陣取り板を挟んで座っていたロベリオ達の横の机にお茶の入ったカップを並べて置き、そのまま自分のカップを持って横に座る。

「あのね、あのね!」

 カップを置いたレイの言葉に、ロベリオ達が顔を上げる。

「瑠璃の館に行ってきました。それで、あの……素敵な本をたくさん、ありがとうございました! もう、大感激です」

 頬を紅潮させた、もうこれ以上ないくらいに嬉しそうなレイの言葉に、三人は揃って笑顔になる。

「もう届いてたんだね」

「はい、花祭りの前に届いてて、アルベルトが全部整理してくれていました」

「一緒に見たけど凄かったよ。結局、俺達竜騎士隊一同だけじゃ無く、陛下やマティルダ様、ガンディや両公爵にアルジェント卿まで、揃って本を贈って下さってたんだよ」

「ええ、そりゃあすごい事になってたんじゃない?」

 目を見開いたロベリオが、面白そうにそう言って笑う。

「えっと、それでね。屋敷の整理がついたら、好きなだけ本を読むお泊まり会を瑠璃の館でやろうって思うんだけど、参加してくれますか?」

 嬉しそうにロベリオの腕に縋ったレイの言葉に、三人が揃って笑顔になる。

「やるやる!」

「絶対呼んでくれよ」

「良いね。ぜひ参加させて!」

 三人が同時に叫び、嬉しそうに手を叩き合った。



「それなら、全員揃うのは大変だから、主題を決めて集まっても良いかもな」

「主題を決めてって?」

 振り返ったレイが、不思議そうにルークを見る。

「そう、集まりに際して、どんな話題にするかあらかじめ決めておくのさ。例えば、幻獣に関する本を読むならガンディは絶対呼ばないと駄目だろう? 精霊魔法に関する場合なら、マークやキム、場合に寄ったら巫女達やジャスミンも一緒でも良いかもな。もちろんその場合は女性従者や侍女の手配も一緒にするんだよ。他には、政治経済関係、医学や薬学、逆に、あれだけ有るのなら、物語ばっかり読むって決めるの面白いかもな。お前が主催なんだから、天文学関係の話題にするなら、星の友の倶楽部の人達を招待するなんてのも良さそうだし、それこそ星系信仰の信者の人を招待するなんてのも良いんじゃないか?」

「良いねそれ。面白そう!」

 素敵な提案に目を輝かせて何度も頷くレイに、ルークも笑っている。

「な、自分の屋敷を持てるって言うのは、例えば、こういった会を自分で考えて開催出来るって事なんだよ。もちろん招待する人は、お前が考えて選ぶんだぞ」

 ルークの言葉に、レイは真剣な顔で何度も何度も頷いた。



「楽しそうだけど、これからの時期にするのなら、一の郭にある瑠璃の館じゃなくてラピスの湖に近い西の離宮でやる方が良いかもな」

「ああ、確かに」

「これからの時期の一の郭の屋敷は、暑いなんてものじゃないからなあ」

 ため息混じりのユージンの言葉に、レイも去年の夏のオルダムの暑さを思い出して、同じくため息を吐いた。屋敷の中はある程度はシルフ達が換気してくれるだろうが、気温そのものを下げてくれるわけでは無い。

「そう言えば離宮にも沢山の本が届いてるんだよ。以前、マークとキムと一緒にガンディとブルーを先生にして精霊魔法の合成と発動に関する勉強会を開いたんだけど、マティルダ様とガンディから沢山本が届けられてて、書斎の本棚が一杯になってたんだよ。確かに、あそこでも本読みの会、出来るね」

 レイが嬉しそうに目を輝かせて手を打つ。

「ああ、年明けの時に集まってたあれだな。じゃあ、夏場の本読みの会は離宮でやって、秋以降には瑠璃の館でやれば良いんじゃないか」

 ルークの提案に満面の笑みで頷くレイに、ロベリオが、何か思いついたらしく手を挙げてから口を開いた。

「なあ、それなら個人の倶楽部をお前が立ち上げれば良いんじゃないか? 不定期開催の本読みの会。会場は瑠璃の館と西の離宮でさ」

「ああ、良いんじゃないかそれ」

「確かに、それならクラウディアやニーカ、ジャスミンだって呼びやすくなるね」

 ロベリオの提案に、ユージンとタドラが同意する。



「ええ? 何ですか、それ?」

 初めて聞く話に、レイが不思議そうに首を傾げる。

「城に部室を置いて活動する倶楽部とは別に、個人の主宰する倶楽部ってのがあってね。この場合、入会は主宰者の一存なんだ。まあ、大抵は主宰者の友人関係だけどね」

「趣味の集まりが多いね。あとは単なる飲み会」

「すっかり有名になったけど、俺が入ってる独身主義や、マイリーが入ってるやもめ倶楽部なんかが、個人の主宰では代表格だな。あれは今でも部室を持たない、あくまでも個人主宰の倶楽部なんだぞ。まあ実質ただの飲み会だけどさ」

 ルークの説明に、ロベリオ達が吹き出して大笑いしている。

「えっと、この前ゲルハルト公爵閣下が仰ってた、燻製肉で飲むんだって言ってた、いぶし銀の会もそれ?」

 笑ったルークが頷くのを見て、レイも嬉しそうに笑った。

「だけどそれなら、レイルズが正式な竜騎士になってからになるから、発足するのは来年以降だな」

「ええ、早くやろうよ」

 ユージンとタドラが揃って文句を言っている。

「それならレイルズが正式な竜騎士になるまでは、俺が主宰してやるよ。会場はそのまま瑠璃の館と西の離宮で、レイルズには副主宰になってもらうよ。それで彼が正式な竜騎士になった時点で彼に主催者の地位を代わって貰って、俺が副主宰になるよ。それでどうだ?」

 若竜三人組が揃って親指を立てるのを見て、レイも満面の笑みで拳を突き出した。



『これからの楽しみが出来たな』

 ブルーのシルフが現れて、頬にそっとキスをくれる。

「うん、あんなに沢山あるんだもの。皆にも読んで欲しいものね」

 嬉しそうにそう言って、レイもブルーのシルフにキスを贈るのだった。

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