枕戦争勃発!
「まずはタキスを攻撃だ〜〜!」
「レイルズ様、お手伝いします!」
枕を振りかぶったレイがそう叫びながら満面の笑みでタキスに飛びかかり、それを見てこちらも満面の笑みになったティミーが、大声でそう叫びながら同じく枕を持ってその後に続く。
当然、即座に反応して笑顔で迎え打つタキスとの間で激しい叩き合いになり、笑い声と共にポスポスと間抜けな音が部屋に響く。
「タキスを助けるぞ!」
「おうさ!」
笑ったニコスとギードがそう言いながら駆け出し、手にした枕でレイとティミーを横殴りにする。
「うわあ〜〜」
「やられた〜〜!」
若干わざとらしい悲鳴を上げた二人がそう叫んで、重なり合うようにして床に倒れ込む。
「今だ〜〜〜!」
若竜三人組人組が、それを見てレイとティミーに襲いかかる。
お腹の上にティミーを載せたままで、レイが腹筋だけで軽々と起き上がり襲ってきたロベリオの枕を掴み返し力尽くで奪う。
「二刀流だ〜〜〜!」
笑いながらそう言って、奪った枕を両手に一つずつ持ってめちゃめちゃに振り回す。
それに叩かれて割と本気の悲鳴をあげたロベリオがユージンとタドラを巻き込みながら吹っ飛び、遅れて二人の悲鳴が重なる。タキス達がそれを見て吹き出し、見学していたマイリーとヴィゴまで揃って吹き出す。
それから、手を止めた全員揃って大爆笑になったのだった。
「待て待て、はやる気持ちは分かるがちょっと待てって。せっかくだからチーム分けしよう」
最後に入ってきたルークとカウリが乱戦の後に大爆笑になっている現場を見て揃って吹き出し、笑いながらそう言って大きく手を叩いた。
突然響いた大きな音に、その場にいた全員の視線がルークに集まる。
「一旦休戦な! せっかくだからチーム分けしよう」
笑ったルークが改めてそう言い、頷いたカウリが並んだワゴンの一つに駆け寄る。
「どうする。この人数だから三つくらいに分けたほうがいいんじゃあないか?」
「ええと、マイリーにヴィゴ、俺とルークに若竜三人組、レイとティミー、それからタキス殿とニコスとギード、じゃあ十二人なら四人ずつだな」
指を追って人数を数えたカウリが、用意されていたくじ用の棒の束から、先端に赤と青と黄色の色の付いた棒を四本ずつ取り出す。
「で、これをここに入れてっと」
そう呟きながら、木製のカップにその棒を突っ込む。もちろん色のついている方がカップの中なので外からは見えない。
「じゃあ、一本ずつ引いてくれるか。まずはチーム分けだ」
そう言って、手にしたカップを差し出す。
苦笑いした全員が一旦枕を置いて駆け寄り、それぞれ一本ずつ棒を取った。
「あ、僕は青色だよ」
笑ったレイが、手にした先が青くなった棒を頭上に掲げる。
「あ、僕も青ですね。よろしくお願いします!」
笑ったティミーが、同じく青い棒を頭上に掲げながらレイの横に立つ。
それを見て、マイリーとカウリがその隣に並んだ。二人の手にあるのも青い棒だ。
「俺は赤だぞ」
笑ったヴィゴが手にした赤い棒を掲げると赤い棒を上げたロベリオ、タキスとギードが同じく赤い棒を掲げてヴィゴの所へ駆け寄っていく。
「黄色チームはこっち〜〜」
笑ったルークが黄色の棒を掲げると、黄色の棒を手にしたタドラとユージンそれからニコスがルークの所に集まる。
「うむ、なかなかいい感じにばらけたな。よし、では棒は危ないから回収な〜」
笑ったカウリがそう言い、手にしたままだった木製のカップを差し出し棒を回収してワゴンに戻す。
その間に、皆何となくそろりそろりと動いて、置きっぱなしになっていた自分の枕をそれぞれ回収した。
「では、最後までベッドを確保していたチームが勝ちだ!」
「おお〜〜!」
満面の笑みのルークの宣言に、こちらも満面の笑みの全員の元気な掛け声が重なる。
そして次の瞬間、お互いに持っていた枕で近くの別チームの人を叩きにいく。
レイは、嬉々として両手に持っていた枕を大きく振りかぶり、こちらに背を向けていたヴィゴに突撃していった。
それを見て吹き出したマイリーとカウリがその後に続く。
「隙あり!」
レイがそう叫んで手にした枕で左右から挟み討ちにしようとした瞬間、ヴィゴが不意に消えた。
「隙ありはこっちのセリフだ!」
何とヴィゴは、殴りかかってきたレイの枕を躱してその場から飛び上がり、レイの背後に着地したのだ。
背後を取られたレイが振り返るよりも早くヴィゴが下から振り仰ぐようにして手にした枕でレイをぶん殴る。
声も上げられずに倒れるレイに、慌てたカウリが倒れるレイの下になるように手にしていた枕を投げる。
「わふう!」
仰向けにカウリが投げた枕の上に倒れ込んだレイに笑ったヴィゴが飛びかかり、その背後からマイリーが飛びかかりヴィゴを横殴りに吹っ飛ばす。直後にレイが飛び起きてそのままヴィゴに飛びかかる。
「隙あり!」
そしてこれまた満面の笑みのルーク達が戦いに乱入してきて、一気に乱戦となる。
最初こそ遠慮していたタキス達だったが、歓声を上げて枕でヴィゴと遠慮なく殴り合うレイを見て揃って吹き出し、そのあとはもうこちらもレイに倣って遠慮なく乱戦に加わり、ついにはタキスとギード対マイリーの激闘に発展して、見ていたレイは大喜びでまたタキスに飛びかかって行ったのだった。
『おやおや、これはまた大騒ぎだなあ』
面白がるようなブルーの使いのシルフの言葉に、ニコスのシルフ達だけでなく、それぞれの竜の使いのシルフ達が揃って吹き出す。
『皆楽しそうだね』
『皆笑ってるね』
『マイリーもとても楽しそう』
マイリーの竜であるアメジストの使いのシルフの嬉しそうな言葉に、ブルーの使いのシルフも笑顔で頷く。
『今回は、レイはアメジストの主殿とはお仲間だから殴り合いは無しだな』
『そうですね』
『ラピスの主殿は仲間にすれば頼もしいお相手ですね』
『でもこちらは大変だね』
『ああまた吹っ飛んだ!』
『皆遠慮がないわねえ』
ブルーとアメジストの使いのシルフがにこやかに話す横では、若竜三人組の竜達とヴィゴの竜であるガーネットの使いのシルフ達も、それからルークの竜であるオパールやカウリの竜であるカルサイトの使いのシルフ達も、楽しそうに枕で殴り合っているそれぞれの主達を見ては声を上げて笑っていたのだった。




