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蒼竜と少年  作者: しまねこ


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ミスリルの頭蓋骨

「全く、本当に朝から呼び出されるとは思いませんでしたよ。それにしても、まさかのレイルズに勝る頭蓋骨があった事に驚きです」

 苦笑いしたハン先生が、そう言いながらレイの額に湿布を貼ってくれる。

「僕もびっくりです。冗談抜きで目の前に星が散りましたから」

 額に湿布を貼ってもらったレイは、もうさっきからずっと笑っている。

「僕もびっくりです!」

 同じく、タドラにすがり付くようにしてまだベッドに転がってずっと笑っているティミーだが、こちらは湿布もなく平然としている。

「いやあ、まさか最強と謳われるレイルズのミスリルの頭蓋骨を砕く奴がいたとは」

「だなあ。普通の頭蓋骨しか持っていない俺達なんて、もう怖くてお泊まり会に参加出来ないよな」

 真顔で腕を組んだマークとキムがそう言って頷き合う。

「砕けてないから! 確かに負けたけど、勝手に僕の頭蓋骨を砕かないでください!」

「負けは認めるのかよ!」

 笑ったレイの抗議にマークとキムが同時に言い返し、横で聞いていた竜騎士達も一緒に揃って大爆笑になったのだった。

「ほら、いい加減起きて顔を洗ってきてください」

「はあい、じゃあ後でな」

 笑ったハン先生に背中を叩かれて、ルークと若竜三人組が揃って起き上がり、それぞれの従卒達と一緒に一旦部屋に戻っていった。

「じゃあ僕も、一旦部屋に戻って着替えてきますね」

 笑って立ち上がったティミーも、そう言って起き上がったレイと手を叩き合ってから従卒のグラナートに伴われて部屋に戻って行った。

「あ、皆、枕を置いて行っちゃったね。えっと、これはこのままでいいのかな?」

 広いベッドに転がるいくつもの枕を見て、小さく吹き出したレイがラスティを振り返る。

「はい、後ほど戻しておきますのでどうぞそのままに。では、レイルズ様には湯をご用意しましたので、こちらで顔を拭いてください。マーク軍曹とキム軍曹は、洗面所へどうぞ。執事が髪のお手入れをお手伝いいたします」

 笑顔のラスティの言葉に、驚いたマークとキムは慌てて自分の髪を触ってから自分達の髪がどういう状態になっていたのかを思い出して、もう一度同時に吹き出したのだった。



 シルフ達と執事に手伝ってもらっていつもの髪に戻ったマークとキムが部屋に戻ると、レイの髪もすっかり元に戻っていて、お互いの顔を見てもう一度揃って吹き出したのだった。

「いやあ、それにしてもまさかのティミーもミスリルの頭蓋骨だったとはねえ」

「だよなあ。レイルズが起き上がってこないのを見て、驚いたなんてもんじゃあなかったよな」

 手早く着替える二人を見て、笑ったレイも立ち上がって着替え始める。

「僕も驚いたよ。冗談抜きで目の前に星が散って気が遠くなりかけたんだからね」

「あはは、いつも俺達が誰かさんの頭突きでどれくらい痛い目にあっているか、これで分かっただろう?」

 笑いながら胸元のボタンを止めるマークの言葉に、隣で同じく胸元のボタンを留めていたキムも真顔で何度も頷いている。

「本当だね。僕、上には上がいるんだって言葉の意味を身をもって理解しました!」

「そう思うなら、自分の頭蓋骨の攻撃力の高さも理解してくれ!」

 満面の笑みのレイの言葉に真顔で言い返したマークとキムだった。



「おはよう。ええ? その額の湿布はどうしたんだ?」

 着替えた三人が、朝食の用意がされている部屋へ行くと、先に来ていたマイリーが驚いたようにレイの額の湿布を見てそう言ってから、苦笑いしているマークとキムを見た。

「マイリー様、実は今朝、大変な事実が判明いたしました」

 大真面目なキムの言葉に、レイが顔をしかめて額の湿布を押さえてみせる。

「何事だ?」

 不思議そうなマイリーの言葉に、執事に促されてマイリーの隣に並んで座った三人が揃って吹き出す。

「はい、本日早朝、レイルズ様を越えるミスリルの頭蓋骨を持つ人物がいる事が判明しました」

 これまた大真面目なマークも言葉に、マイリーが驚きに目を見開く。

「はい、報告します! 今朝、ティミーとぶつかって僕の方が負傷しました!」

 自分の額の湿布を指差しながらの満面の笑みなレイの報告に、堪える間もなく吹き出したマイリーだった。



「はあ、今朝は好きに取って食べる形式だったよ〜」

「テーブルも丸いから、それほど気を使わなくていいな」

 壁際に用意された、豪華な料理の数々が並ぶテーブルを見てマークとキムが嬉しそうにそう言ってお皿を手に取る。

 レイも嬉しそうに頷いて、二人と一緒に嬉々として料理を選び始める。

 それを見たマイリーも、空のお皿を手に料理を選びはじめた。

「おはようございます!」

 ちょうどレイ達が好きに料理を取って席に戻ったところで、若竜三人組とルーク、それからティミーが揃って部屋に入ってきた。

「おはよう。朝から大騒ぎだったらしいな」

 振り返ったマイリーが、自分の額を指差しながらそう言ってルークを見る。

「そうなんですよ。聞きましたか? 驚きの事実」

「聞いた聞いた。ミスリルの頭蓋骨の持ち主がもう一人いて、しかもレイルズに勝ったらしいな」

 マイリーの言葉に、空のお皿を手にしたところだった若竜三人組が揃って吹き出し、お皿を取ろうとしていたティミーも遅れて吹き出し、部屋は笑いに包まれたのだった。

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