表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼竜と少年  作者: しまねこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2254/2489

お茶の時間

「わあ、すごいわ。美味しそうなお菓子がたくさん!」

 レイの案内で隣の部屋に入ったところで、壁面に並んだテーブルいっぱいに並べられた様々なお菓子を見たニーカが嬉しそうな声をあげる。

「もちろん、好きなだけ食べてくれていいよ。でもお腹と相談してね。飲み物はカナエ草のお茶でいい? えっと、こっちには冷たいジュースもあるよ」

 様々なお菓子や、綺麗なガラスのピッチャーに入れられたジュースの上にはウィンディーネ達が座っている。彼女達がいれば、ジュースは冷たいままで、お菓子も焼きたての状態を長時間保持出来るのだ。

「じゃあ僕は喉が渇いているからまずはジュースをもらおうっと。えっと、これはリンゴジュースだね」

 笑って手を振るウィンディーネ達に手を振ったレイは、控えていた執事からグラスをもらって自分でグラスにたっぷりとジュースを注ぐ。

「レイルズ。私もそれをもらえるかしら。カナエ草のお茶は後でいただくわ」

 ニーカの言葉に、執事が即座にもう一つグラスを渡してくれる。

「はい、どうぞ」

 笑顔のニーカがグラスを手にしたところで、レイは執事の真似をして彼女のグラスにゆっくりとリンゴのジュースを注いだ。

「ありがとうね。凄いわ。レイルズったら本物の執事さんみたい」

 大喜びのニーカに、レイは笑顔でゆっくりと一礼した。それを見た控えていた執事がレイに合わせて一緒に一礼するのを見て、ニーカだけでなく隣にいたジャスミンまで吹き出していた。

 空のお皿を手にしたマークは、楽しそうに笑うジャスミンを見つめてとてもいい笑顔になっている。

 そんなマークを横目で見たキムは、こちらはため息を吐いてから知らん顔でデザートを選びに行ったのだった。



 各自それぞれに好きなだけデザートを選び、ジュースやカナエ草のお茶も用意してから椅子に座る。

 用意されているテーブルはかなり大きめの楕円形で、座り心地の良さそうな椅子がいくつも並べられている。

 しっかりとお祈りをしてから、ニーカが焼き菓子をナイフで半分に切る。それをもう一回半分に切ってから器用にフォークに軽く突き刺してから口に入れた。

 焼き菓子を手で掴もうとしたマークとキムも、そんなニーカを見て小さくため息を吐いてから、それぞれ手にしたナイフとフォークでそれなりに器用に焼き菓子を半分に切り分けてから、ちゃんとフォークを使って食べ始めた。

「ううん、美味しいんだけど……美味しいんだけど、俺はいつものようにもうちょっと気軽に食べたい!」

 レイとマークとキムだけの時は、焼き菓子はほぼ手掴みで食べている。

 しかし、ジャスミンやニーカが見ている前ではさすがにそうもいかず、諦めてカトラリーを使う三人だった。

「もう、マークったら。こういうのは慣れなんだから、頑張ってカトラリーに慣れてちょうだい」

 笑ったジャスミンに呆れたようにそう言われて、無言で顔を覆うマークだった。



「えっと、マークとキムは今夜も泊まってくれるんだよね?」

「おう、一応今日と明日は予定を空けてきたから大丈夫だよ」

「そのあとは丸一日がかりの精霊魔法の合成に関する講義があるから、二人とも大学まで行かないといけないんだ」

「だけどその後は月末までしっかり予定を空けたから、何か緊急事態でも起こらない限り、後半の本読みの会にも参加させてもらうよ」

「そうなんだね。頑張れ。じゃあ、ジョシュア達にも会えるね」

「おう、楽しみだよ」

 笑って頷くマークとキムを見て、ジュースを飲んだレイはジャスミンとニーカを見た。

「私達は、今日は夜には本部に戻らせてもらうわ。明日は礼儀作法の講義の予定があるからね。でも後半の二日間、ニーカと一緒に一泊でもう一度参加予定だからよろしくね」

 ニーカもジャスミンもまだ自分で予定を組む事など無いが、言われるがままのニーカと違い、ジャスミンは自分の予定はある程度把握している。

「そうなんだね。礼儀作法のお勉強頑張ってください」

 笑ったレイの言葉に、ニーカが大きなため息を吐く。

「礼儀作法を教えてくださるベルナー夫人って、正直に言うとちょっと苦手だわ。なんて言うか……すっごく言い方が怖いの」

「そこ、もっと背筋を伸ばしなさい! 顔を上げて顎を引く!」

 笑ったジャスミンが、普段と違う口調でそう言いニーカの腕を軽く叩く。

「はい、失礼しました!」

 そう言ったニーカが、慌てたように椅子に座り直して背筋を伸ばして顔を上げる。

「ね、こんな感じで何から何まで厳しく言われるのよ。練習でお菓子をいただいても、全然味がしないんだから」

 もう一度大きなため息を吐いたニーカを見て、堪えきれないように小さく吹き出したジャスミンがもう一度ニーカの腕を今度は力一杯叩く。

「何を言っているんですか。私は貴女の為を思えばこそ厳しくしているのですよ」

「はい! ありがとうございます」

 背筋を伸ばしたニーカが顔を上げて前を見たままそう言い、振り返って隣に座ったジャスミンと顔を見合わせて揃って吹き出した。

「もう、今くらい自由にさせてちょうだい!」

 ジャスミンの腕にすがるニーカの言葉にレイ達も揃って吹き出し、ここからは礼儀作法は一旦忘れていつものように自由にお茶とお菓子を楽しんだのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
気になる点 しかし、ジャスミンやニーカが見ている前ではさすがにそうもいかず、諦めてカトラリーを使う三人だった。 「おう、マークったら。こういうのは慣れなんだから、頑張ってカトラリーに慣れてちょうだい…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ