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蒼竜と少年  作者: しまねこ


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レイの肖像画

「えっと、じゃあ肖像画のあるところへご案内しますね」

 ディレント公爵とゲルハルト公爵、そしてアルジェント卿とマークと一緒に広い廊下を歩いたレイは、あの肖像画が飾られた場所へ一同を案内していた。

「それで、どうであった? 其方達はもう見たのであろう?」

 廊下を歩きながら満面の笑みのディレント公爵に突然そう話しかけられて、咄嗟につまずきそうになったマークとキムは慌てて立ち止まりその場に直立した。

「はい! それはもう、素晴らしかったです!」

 見事に二人の答えが重なる。

「ほう、それは楽しみだ」

 嬉しそうにそう言ったディレント公爵の言葉が聞こえたゲルハルト公爵とアルジェント卿も笑顔で振り返る。

「それは楽しみだな」

「ふむ、初めての肖像画だからな。どうなるかと思っていたが、良き仕上がりになったようだな」

 二人がうんうんと頷き合いながら笑っているのを見て、ディレント公爵も笑顔で頷く。

「あまり期待しないでください! 恥ずかしすぎて頭が煮えそうです!」

 そして彼らの会話が聞こえたレイはもうすでに耳まで真っ赤になっていて、それを見た三人は揃って吹き出したのだった。



「えっと、こちらです」

 到着した肖像画の前で、真っ赤になったレイがそう言って軽く頭を下げる。

「おお、これは見事だ」

「ふむ、これは予想以上だな。素晴らしい」

 両公爵は、感心したようにそう呟いて笑顔で肖像画を見上げている。

「確かに予想以上だな。それにしても、あの背後にある肖像画は……」

 同じく肖像画を見上げていたアルジェント卿が小さくそう呟き、直後に息を呑んだ。

「レ、レイルズ。もしや、あの背後に描かれているお方は……そうなのか?」

 半ば呆然とそう尋ねたアルジェント卿の視線は、レイの背後に描かれた二人の竜人の間を行き来している。

「はい、背後に描いてもらった三枚の肖像画は僕の家族です。一番上からタキス、ニコス、ギードです」

「では、では一番上のお方が……エイベル様のお父上様、か……」

 呆然としたその呟きに、両公爵も慌てたように揃って小さなタキスの肖像画を見上げた。

「あれが、エイベル様のお父上……」

 両公爵の口から同じ呟きが聞こえ、直後に三人が揃ってその場に膝をついた。

 両公爵は、そのまま両手を握りしめて額に当てて深々と頭を下げた。

 アルジェント卿はしゃがむようにして右手を床につき、体を支えて両膝を揃えて床についてから同じく両手を握りしめて額に当てて出来る限り頭を下げた。

 それを見て、マークとキムも改めて跪いて両手を握りしめて額に当てて頭を下げた。

「えっと……」

 まさかの。タキスの肖像画を見た両公爵とアルジェント卿の反応に咄嗟に対応出来なかったレイは、困ったように小さくそう呟いてからそっとアルジェント卿の背中を叩いた。

「どうぞ顔を上げて立ってください。マークとキムも、この肖像画に描かれたタキスに同じように跪いて最敬礼してくれました。その時に言った言葉を皆様方にも話しますね」

 顔を上げたアルジェント卿に笑顔で頷いたレイは、アルジェント卿の腕を支えて彼が立ち上がるのを助けた。

 マークとキムも、慌てて立ち上がりディレント公爵とゲルハルト公爵が立ち上がるのに手を貸した。

「タキスは言っていました。もう、誰にも恨みはないって。人間への恨みも、恐怖も、そして憎しみもないって。我らは等しく精霊王の(しもべ)であり、精霊達の友だと。そしてこうも言っていました。タキスはエイベルの全てを取り戻したって。だからもう罪なんて無いんだって」

「例えそう言っていただけたのだとしても、当時の人間達があのお方に成した非道が消えるわけではない。どれだけ詫びても、過ぎるという事はない」

 真顔のアルジェント卿の真剣な言葉に、レイは困ったように笑った。

「ありがとうございます。でも、過度な感謝も謝罪もタキスは困ると思いますので、そこは程々でお願いしますね」

「そうか、程々ならば許してくださるか」

 苦笑いしたレイの言葉にアルジェント卿も苦笑いして頷いた。

 そして振り返って両公爵と頷き合ってから一つため息を吐いて改めて肖像画を見上げた。

「それにしても本当に素晴らしい出来栄えだな。もう一人レイルズがいるかのようだ」

「確かにそうだな。本当に素晴らしい」

 笑顔でもう一度頷き合った三人は、揃ってレイを振り返った。

「では、お部屋にご案内しますね」

 笑顔でそう言ったレイは、アルベルトの案内で別室へ向かった。

「ええと、それじゃあ俺達は書斎へ行っているからさ」

「だな、じゃあここで一旦お別れ……」

 昼食会なのだと気がついたマークとキムが慌てたようにそう言って下がろうとするのを見て、レイはにっこり笑って二人の腕をしっかりと掴んだ。

「では、ご案内しますね!」

 そう言ってグイグイと腕を引っ張って二人を連れていく。

「いやいや、ちょっと待ってくれ!」

「ええ、俺達も一緒に〜〜?」

 焦った声が聞こえて、前を歩いていた両公爵とアルジェント卿が満面の笑みで振り返る。

「もちろん其方達も一緒だぞ。合成魔法に関する研究の進行具合を詳しく聞かせてもらいたくてな」

 アルジェント卿の言葉に両公爵も揃って何度も頷く。

「そうなんだって。頑張って説明して差し上げてね。もちろん僕も手伝うからさ!」

 嬉しそうなレイの言葉を聞いて情けない悲鳴をあげたマークとキムが、顔を覆ってその場にしゃがみ込むのを見てその場は笑いに包まれたのだった。

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― 新着の感想 ―
えっとって言うの直すように言われてなかったっけ? ずっと使われてるけと゛誰も注意しなくなってるな
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