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蒼竜と少年  作者: しまねこ


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ニーカの食事量と神殿への依頼

「ううん、初めて見る料理が嬉しくて、ちょっと張り切って取り過ぎちゃったかも」

 少しずつ取ったつもりだったが、最後のかぼちゃのスープをもらったところで、改めて自分のお皿に並んだ料理の数々を見て、ニーカは少し困ったようにそう呟いた。

「ええ、それで取りすぎなの?」

 その小さな声の呟きが聞こえたレイが、驚いたようにそう言って彼女の取った料理を見る。

「レイルズと私達の食欲を一緒にしないで」

 横から笑ったジャスミンがそう言って彼の腕を突っつく。

「ううん、確かにちょっと取りすぎたかもね。いざとなったらレイルズが助けてくれるから、心配しないでいいわよ」

「そうね。いざとなったらお願いします!」

 笑った二人に見つめられて、レイも笑いながら何度も頷いた。その横ではティミーも笑いながら手を挙げている。

「少しくらいなら、僕もお手伝いしますからね」

 年が明けてまた背が伸びたティミーは、最近ではかなり食欲が出てきて、ようやく年相応の食事量になってきている。

 最近では膝や踵部分に成長痛が出ていて、痛み止めをもらいながらも密かに喜んでいるティミーなのだ。

「ありがとう。じゃあ、いざとなったらお願いね。ええと、あとはカナエ草のお茶ね」

 空いた場所にトレーを置いたニーカは、ジャスミンと一緒にカナエ草のお茶を取りに行った。

 トレーを置いたレイ達も、顔を見合わせてその後に続いた。



 しっかりと食前のお祈りを済ませてから食べ始めたニーカは、初めて食べる料理の数々に目を輝かせて大喜びしていた。

 しかし、本人が言った通りにさすがに多すぎたらしく、途中でレイとティミーが言っていた通りに少しずつ手伝ったのだった。

「ううん、レバーフライと燻製肉を両方取るのは私には多すぎだって分かりました。次はもう少し加減して取ります」

 ようやく綺麗に平らげたお皿を見て、苦笑いしながら首を振るニーカ。

「ジャスミンより食べないって、本当にそれで大丈夫? 途中でお腹空かない?」

 彼女の何倍もの山盛りの料理を綺麗に平らげたレイに割と本気で心配されて、ニーカは苦笑いするしかない。

「充分よ。手伝ってくれてありがとうね」

 笑って食器を下げたニーカは、そのまま当然のようにデザートを取りに行くレイ達を見て驚きに目を見開く。

「ええ、まだ食べるの?」

「え? デザートを食べないの?」

 逆にそう聞かれて驚いてジャスミンを振り返る。

「どう? まだ食べられそう?」

 苦笑いしたジャスミンの視線を追って、ニーカもデザートの並んだ場所を見る。

「今日のチョコレートタルトはおすすめなんだけど、どう?」

「魅力的なお誘いだし食べてみたいけど、あれ一つは絶対に食べられない自信ならあるわ」

 困ったようにそう言って笑うニーカに、ジャスミンも笑顔で頷く。

「じゃあ半分こしましょう。私も一つは多いけど少しは食べたいから。ね?」

「うん、お願いします!」

 笑顔で頷き合った二人は、一緒に列に並んでチョコレートタルトを一つだけ取って席に戻った。

 ティミーは一つだったが続くレイが二つ取るのを見て、また驚きに目を見開くニーカだった。

「ううん、あの体格ならあれくらい食べないといけないのかもしれないけど、あれだけ食べて横に広がらないって……ちょっと凄いわよね」

 呆れたようなニーカの呟きに、ジャスミンとティミーが揃って吹き出していたのだった。



「レイルズがいつも、甘いものは別腹だって言っているって聞いたけど、確かにそうね。あんなにお腹いっぱいだと思ったのに、案外食べられたわ」

 ジャスミンとチョコレートタルトを半分こしたニーカは、残りのカナエ草のお茶を飲みながら呆れたようにそう呟いてため息を吐いた。

「ニーカはもっと食べたほうがいいと思うな。ティミーだって、しっかり食べるようになってからぐっと背が伸びたもんね」

 笑ったレイの言葉に、ティミーも苦笑いしつつ頷く。

「男の子と女の子の違いはあると思うけど、確かに、ニーカはもう少し食べたほうがいい気がするね。でもまあ、それはこれからってところかな?」

 笑ったタドラの言葉に、ニーカとジャスミンも困ったように笑って頷いていたのだった。



 その夜、部屋に戻ったジャスミンとニーカは、もうお休みくださいと侍女達が止めに来るまで飽きもせずにトランクの中に詰める道具を用意したり、作りかけのドレスをジャスミンに教えてもらいながら嬉々として縫ったりして遊んでいたのだった。



 翌日、早々に手配された人形が本部に届けられ、午前中の会議が終わって本部に戻ってきたタドラは、言っていたように絹糸の束と人形を持って、ルークと一緒に神殿へ向かった。

 ルークが同行したのは、神殿で販売するか、あるいはどこかの商会を通じて販売するかの相談をする為だ。

 神殿に到着したところで、レース編みの上手な僧侶達を呼んでくださいとタドラが依頼して、ならばこの方達ですねと対応に当たってくれた僧侶が呼んでくれたのは年配の僧侶達だ。

 とにかく応接室に来てもらい、伝言のシルフ越しではあるがジャスミンとニーカとも話をしてもらって、作って欲しい物について詳しい説明をしてもらう。

「まあまあ、こんな人形は初めて見ます」

「でも、これに極細糸でレースのドレスを作れば……確かに間違いなく可愛くなりますね」

「確かにこれくらい細い糸で編めば、さぞかし見事なレースになるでしょうね」

「それに、これだけ手足が動くのなら人と変わらないような服を作っても着せられますね」

「まあまあ、楽しそう!」

「編みがいがありそうですね!」

 初めて見る人形を前に、僧侶達は興味津々だ。

 それどころか、先を争うようにして人形を持っては動かしてみて、何を作ろうかと目を輝かせながら相談を始めている。

 その様子は、人形遊びをしているニーカやジャスミンと変わらない。

 予想以上の食いつきに、もう笑うしかないタドラとルークだった。

 相談の結果、とにかくまずは幾つか試作を作ってもらい、ジャスミンやニーカ、それからクローディアやアミディアにも見てもらって意見を聞く事になった。

 出来上がるまでは相当な時間がかかるだろうと思われていたレース編みだが、人用とは違ってとても小さいのであっという間に出来上がってしまい、本部に届けられた予想以上の見事な出来栄えのレースのリボンや総レース編みのドレスの数々に、少女達は歓喜の悲鳴を上げる事になったのだった。

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