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蒼竜と少年  作者: しまねこ


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朝練と今日の予定

「おはようございます!」

 朝練で準備運動をしていたマークとキムは、ロベリオ達と一緒に部屋に入ってきたレイルズに気がついて、駆け寄って直立して大きな声で挨拶をした。

「おはよう。じゃあよろしくね」

 二人を見て笑顔になったレイが嬉しそうにそう言い、一緒に準備運動を始める。

 剣の腕では、仮に二対一でお相手を務めたとしても到底勝負にならない彼らは、レイ本人の希望もあって、いつもレイの準備運動や荷重訓練などの基礎訓練の相手を勤めている。

 まずは一緒に体を温める為に訓練場をゆっくりと走り、それが終われば一緒に柔軟体操や荷重訓練を行なっていく。

 時折、小さな声でのいつものような口調で内緒話もこっそり楽しみつつ、後半は、タドラに木剣で相手をしてもらった。

「ううん、もうレイルズと一対一で相手をするのは僕は限界な気がするよ。本当に強くなったね」

 ほぼ互角の対戦だったが、やや守りに入ったタドラには攻め入る隙がなく、結局勝負は引き分けに終わった。

 息を切らして立てた木剣に寄りかかったタドラは、同じくらいに息を切らせて座り込んでいるレイを見て嬉しそうに笑っていた。

「ありがとうございます! でも、結局攻めきれませんでした!」

 笑顔で、それでもやや悔しそうにそう答えるレイを見て、タドラが大きなため息を吐く。

「冗談抜きで、もう一対一なら一瞬でも隙を見せれば間違いなく叩きのめされるよ。ちょっと本気で守りの型を改めて確認しておこうっと」

「ええ、そこは後輩に花を持たせてくれるところなのでは?」

「絶対にやだ〜〜〜!」

 そう言ったタドラが顔の前で大きくばつ印を作り、一緒になって吹き出したレイとタドラだった。



 朝練を終えて部屋に戻ったレイは、軽く湯を使って汗を流してからいつもの竜騎士見習いの服に着替えてタドラ達と一緒に朝食を食べに食堂へ向かった。

 ティミーと一緒に列に並び、いつものように山盛りの料理を取ってきて、並んで席に座って食べ始める。

 パンを手にしたレイはふと気がついて、首を傾げながら小さな声で呟いた。

「えっと、今日の予定を聞いていないけど、どうなっているんだろう?」

 いつもならルークが一緒なので朝食を食べながら今日の予定を聞く事が多いのだが、今日は大人組とルークは誰もここにはいない。

 困っていると、ティミーの隣に座ったロベリオが笑顔で振り返った。

「ああ、レイルズの今日の予定は俺がルークから聞いているよ。マイリー達は朝からお城へ行っているけど、そろそろ戻ってくるはずだからね。朝食が終わればレイルズとティミーは、戻ってきたルークかマイリーと一緒にニーカのところへ行ってもらうよ。もちろんタドラも一緒にね。今後についての簡単な説明や、竜の主としての役割や、与えられている特権について詳しく説明してもらうから一緒に聞いておくように。それが終われば、昼食の後は改めて本部内をニーカとジャスミンに案内するからね。その時はマイリー達と交代して俺とタドラが一緒に行くからね」

「わかりました。よろしくお願いします」

 笑顔でそう言ったレイは、手にしていた丸パンを二つに割り、間にレバーペーストをしっかりと塗ってからレバーフライを二枚重ねて挟む。

 大きな口を開けて食べ始めた横では、同じく丸パンにレバーペーストを塗ってからレバーフライを一枚だけ挟んだのをティミーも食べ始めている。

「ジャスミンも時々言っていたけど、女性は特に貧血には気をつけないといけませんからね。ニーカは、レバーは食べられるのかな?」

 半分ほど食べたレバーを挟んだパンを見ながら、ティミーが少し心配そうにそう呟く。

「ああ、女性の場合は俺達以上に貧血には気をつけないといけないだろうからなあ」

 同じように二枚重ねにしたレバーフライをパンに挟んで食べていたロベリオも、そう言ってうんうんと頷いている。

「聞くところによると、ニーカはレバーが苦手らしいんだよね。しばらく食事は部屋で食べてもらう予定なんだけど、どうだったか後で聞いておくよ」

 二個目のパンの用意をしながらタドラも心配そうにしている。

『それなら心配いらないよ』

『出されたレバーペーストもレバーフライも』

『ニーカは美味しいって言って食べていたからね』

 その時、タドラのお皿の横にやや大きめのシルフが現れて嬉しそうな声でそう教えてくれる。

「おはようクロサイト。良かったね。じゃあ料理長には、張り切ってレバー料理のレパートリーを増やしてもらわないとね」

 笑顔でそう教えてくれるクロサイトの使いのシルフを見て、レイが目を輝かせる。

「じゃあ、またニコスに、他にレバーを使ったお料理が無いか聞いておくね」

「ああ、よろしく頼むよ。レバー料理のレパートリーが増えれば俺達も嬉しい」

 このレバーフライは確かに美味しいのだが、さすがにずっと食べていると飽きても来る。出来ればもう少しレバーメニューにも種類が欲しいところだ。

 ロベリオの言葉に、タドラとティミーも真顔で頷いていたのだった。



 食堂から戻った後、休憩室で少し休んで陣取り盤の攻略本を読んでいたところにルーク達が戻ってきた。

「おはようございます。えっと、食事はどうしたんですか?」

 休憩室で、持ってきていた資料の整理を始めた彼らを見て、手伝いのために立ち上がったレイが心配そうにルークにそう尋ねる。

「おう、城の食堂で食ってきたから大丈夫だよ。それより、この資料整理を頼むよ。こっちがニーカとジャスミンに渡す分だからな」

「はあい、じゃあ順番に分けていくね」

 ルークから分厚い書類の束を受け取ったレイは笑顔でそう言い、真剣な様子で受け取った資料の中をまずは確認していったのだった。

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