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蒼竜と少年  作者: しまねこ


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今日の予定と寝過ごし組

「おはよう。皆早起きだね」

 レイ達が食事を終え、ティミーも一緒に食後のデザートとお茶をのんびりといただいていたところへ、身支度を整えたタドラが少し眠そうな顔をしながら部屋に入ってきた。

 即座にそれを見て直立するマークとキム。

「おはようございます」

 レイとティミーは、笑顔でタドラを見て手を振っている。

「ああ、構わないから楽にしてください。言ったでしょう。ここでは身分は忘れてくださいって」

 笑ってマークとキムを座らせたタドラも、壁面にぎっしりと並べられた料理を見て嬉しそうな顔になる。

「うん、こういうのがいいよね。じゃあ僕も取ってこようっと。ああ、食べ終わったら先に書斎へ行ってもらって構わないよ。僕も食べたら行くからね」

 デザートのお皿もほぼ空になっているのを見たタドラの言葉に、笑顔で元気よく返事をする一同だった。



「ごちそうさまでした。それじゃあ先に書斎へ行ってますね」

「はあい、いってらっしゃい」

 笑顔で立ち上がったレイの言葉に、デザートのミニパイと果物を取ってきたタドラが笑顔で手を振る。

「お先に、失礼します!」

 改めて直立したマークとキムはタドラに向かって敬礼してからそう言い、苦笑いしたタドラが敬礼を返してくれたのを見てから、一礼して部屋から出ていった。

「ううん、なかなかレイルズと話をするみたいには打ち解けてくれないねえ」

 その後ろ姿を見送ったタドラは、ため息を吐きながら小さくそう呟いて、取ってきたミニパイを一つ摘んで口に放り込んだ。

「それにしても、ロベリオとユージンはまだ起きてきていないんだ。昨夜は二人とも本を部屋に持ち込んでいたから、もしかして夜通し読んでいたのかな?」

 誰もいなくなったテーブルを見て小さく笑ったタドラは、一つため息を吐いてからカナエ草のお茶をゆっくりと飲み干した。

 彼の周りでは、退屈したシルフ達が隙あらば遊んでもらおうとして集まって来ていて、後頭部でくくった彼の長い髪をこっそり引っ張ったり、果物に刺さっている楊枝を引っこ抜こうとして、何人かで取り合いっこを始めていたのだった。



「えっと、ところで今日のお天気はどうなんだろうね?」

 書斎へ続く廊下を歩きながら、レイがふと思いついてそう呟く。

「確か朝は、良い天気で日が差し込んでいたけどな? 今はどうなんだろう?」

「ああ、そう言えば寝癖事件のおかげで、外の天気を確認しなかったな」

 後ろを歩いていた二人も、レイの呟きを聞いて笑っている。

「今朝は確かに良いお天気でしたが、今は少し雲が出てきているようですね。ですが今のところ雨や雪の気配は無いようです」

 横にいた執事が軽く一礼して教えてくれる。

『今日は少し曇るようだが雨は降らんから安心しなさい』

 執事の言葉に続いて、レイの右肩に座っていたブルーの使いのシルフが笑って教えてくれる。

「そうなんですね。ガンディが来てくれたら、ちょっと外で実技もやってみたいんだけど、どうなるかなあ」

 小さく笑って、到着した書斎の本棚を見上げる。

 昨夜読んだ本は、全てきれいに片付けられているので、机の上にも、ソファーの横に置かれた移動式の本棚にも何も置かれていない。

「じゃあ、二人の講義用の資料作りも一段落した事だし、とりあえず午前中はゆっくりと好きなを読む、本読みの時間にしようか。もし何か気がついた事があれば、それはその時って事で!」

「ああ、いいな。じゃあ俺は……よし、これにしよう」

 新しい本棚の前へ走っていったマークが、まだ読んだ事のない光の精霊魔法に関する古い論文が載った分厚い本を取り出して両手で抱えると、近くにあった一人用の椅子に座って読み始めた。

「じゃあ僕は何にしようかなあ」

 それを見て小さく笑ったレイも、新しい本棚の前に立って本を選び始めた。

 キムは、昨日読みかけていた精霊魔法の失敗談が載った古い本を改めて手に取ると、移動階段に座ってその場で昨日の続き部分から読み始めた。

「キム、中身を確認するくらいならいいけど、そこでずっと読んでいたら絶対に腰が痛くなるからやめた方がいいよ」

「お、おう。そうだな。確かにその通りだ」

 いくら綺麗で豪華でも、移動階段は固い木製だ。

 レイの指摘に苦笑いして顔を上げたキムは、もう一冊、本棚にあった同じような内容の本を手に取ると、一つ深呼吸をしてから移動階段から降り、そしてそのまま近くのソファーに座って本を読み始めた。

「よし、これにしよう」

 レイも、気になっていた光の精霊魔法に関する考察本を手にすると、広いソファーの端に座って真剣な様子で読み始めた。

 しばらくして書斎にやってきたタドラも、笑顔のレイから午前中は好きに本を読む時間にしたのだと聞かされて笑顔で頷き、新しい本棚の前で真剣に読む本を物色し始めたのだった。



「う、うん……ああ、寝過ごしたなあ」

 一方、レイ達が書斎での本読みを開始してしばらくした頃、ようやく目を覚ましたロベリオは大きな欠伸をしてからベッドから起き上がった。

 隣には、分厚い本を抱えたユージンがまだ熟睡中だ。

「お〜き〜ろ〜〜」

 笑ってこめかみの辺りを指で突っついても、熟睡中のユージンは起きる気配もない。

「もしかして、俺が寝た後もずっと読んでいたのかよ。目を悪くするぞ」

 呆れたようにそう言って、抱えたままの分厚い本を取り上げて近くにあった椅子の上に置く。

「おはようございます。ユージン様がお休みになられたのは、夜が明ける少し前でしたので、もう少しお休みになられても良いかと」

 控えていた執事の言葉に苦笑いして頷く。

「そっか。まあそれなら好きなだけ寝るといいさ」

 昨夜は、部屋に戻って湯を使った後にユージンが分厚い本を数冊抱えて部屋にやってきて、二人でかなり遅い時間まで本を読んでは、思いつくままに魔法理論の討論をしたのだった。

 改めて精霊魔法訓練所へ研究生として学びに行く事を決めて以来、こんな風に若竜三人組で、もしくは二人で集まってはおすすめの本を交換しあったり、思いつくままに魔法理論について話をしたり、時には新しい魔法陣を描いたりする事が以前よりも多くなった。

「今になって、勉強するのが面白いと思えるなんてな」

 学生時代、それほど真面目に勉強しなかったロベリオは、不真面目だった自分を思い出して小さく吹き出してから立ち上がった。

 その場で思いっきり伸びをして凝り固まっている背筋を伸ばして肩を回す。

「ううん、本読みも良いが、俺はちょっと出来れば体を動かしたいなあ。午後からでも本部に戻って、第二訓練所を開けてもらってもいいかも」

 ゆっくりと首を回して肩周りを伸ばしながら小さくそう呟き、とりあえず顔を洗いに洗面所へ向かったのだった。

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[気になる点] 「今朝は確かに良いお天気でしたが、今は少し雲あっnkkkvが出てきているようですね。ですが今のところ雨や雪の気配は無いようです」のnkkvって何ですか?
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