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蒼竜と少年  作者: しまねこ


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軍神サディアスの再来?

「おお、これは見事だなあ」

 すっかり身支度を整えたマイリーが、他の皆よりも少し時間が掛かって身支度を終えたレイを見て、半ば呆れたようにそう言って拍手をした。

「確かにこれは見事だ。いやあ、予想以上だよ」

「本当だね。これで槍を持てば軍神サディアス以外の何者でもないと思うなあ」

「レイルズすごい。本当に格好良いよ!」

 同じく身支度を整えて見ていた若竜三人組も、口々にそう言って笑いながら揃って拍手をする。

「いやあ、あの体格に赤い髪だとこうなるだろうとは思っていたけど、これは予想以上の出来だなあ」

 最初に身支度を終えてレイの準備を横で見学していたルークは、もうレイが鎧を身につけ始めた時からずっと笑い続けている。

「いやあ、お見事。どうしますヴィゴ。貴方よりあっちの方が軍神サディアスみたいですよ」

「確かにそうだなあ。いやあこれは本当に予想以上だ。では俺はもうお役御免で良いのではないか?」

 からかうように笑ったカウリの言葉に、同じく笑ったヴィゴがうんうんと何度も頷きながら肩をすくめる。

「いやいや、これ、二人並んだらすごい事になるんじゃあありませんか? ちょっとヴィゴ、ここに並んでください。それでこれを持ってください!」

 笑ったロベリオが、レイにミスリルの槍を、ヴィゴにはミスリルの盾を持たせて二人を背中合わせになるように並ばせて、上半身を少しひねらせて自分達の方を向くように立たせた。

「うわ、軍神の目覚めの場面そのままになった!」

「本当だ! 軍神の目覚めそのままの場面だ!」

 それをみたロベリオとタドラが大喜びでそう言って笑いながらすごい勢いで拍手をする。

「確かにこれは凄い!」

「いやあ、本当に軍神の目覚めそのままの場面だな」

「これ、もうこのまま神殿の祭壇横にずっと二人で立っていてもらった方がいいんじゃね?」

 ルークとマイリーとカウリも、揃って笑いながらこれまたうんうんと頷き合っている。



 精霊王の物語の半ば、大量の闇の眷属達に追われて絶体絶命の危機に陥った精霊王の青年を、物語の最初の頃から一緒に彼の側でずっと一緒に戦い続けていた戦士サディアスが、文字通り孤軍奮闘の戦いで押し寄せる闇の眷属を薙ぎ倒し、精霊王の生まれ変わりである青年を守る場面がある。

 しかし、その際に多すぎる相手に押されて大怪我を負い挫けそうになるサディアスの元に、精霊王の危機を知って精霊界から増援に駆けつけた武器の精霊の化身が彼に同化して力を与える場面があるのだ。

 武器の精霊の化身は、一旦周囲に結界を張りサディアスの怪我を癒すだけの時間を稼ぎ、その上で己が持つ全ての力を彼に与えて再び戦えるようにする。

 それは物語中盤の大きな見せ場の一つでもあり、舞台などで上映される事も多い人気の場面の一つだ。

 現れた武器の精霊の化身が、傷つき怯え膝を折りそうになるサディアスに寄り添い、お前はまだ戦えるはずだと鼓舞する。その言葉に励まされてようやく立ち上がったサディアスに背中越しに寄り添い、己の持つ力を全て彼に与え同化して消えていく武器の精霊の化身。

 そしてその際にサディアスが今まで使っていた鋼の槍と鉄の盾が、武器の精霊の力により瞬時にミスリルの槍と盾に、そして身につけていた防具も同じく全て、ミスリルの防具へと変化する。

そして力を得てさらに強くなったサディアスは見事に精霊王の生まれ変わりの青年を守りながら闇の眷属達を駆逐する。

 竜騎士達が装備しているこの鎧は、その形を模したものになっているのだ。



「えっと……」

 竜騎士達からの手放しの褒め言葉に、レイは立ったまま困ったようにヴィゴを見る。

「レイルズ、よく似合っているよ。では、せっかくなので其方には一つ祭事の際にやってもらいたい役割がある。なあに、大した事ではないから心配はいらぬ。大丈夫だよ」

 驚くレイが何か言うよりも早くヴィゴが笑いながらそう言い、準備が出来た一同はそのまま第二部隊の兵士の案内で、用意されていた馬車に乗り神殿へ向かう事になったのだった。

 その際に用意されていた馬車もこの時だけに使われる専用の馬車で、ミスリルの鎧を身につけた竜騎士達でも座れるように席が大きくて広く作られている。

 大人しく言われた席に座ったレイは、もう一台の馬車に各自が祭事の際に持つ装備一式が入った木箱が積み込まれるのを黙って見つめていたのだった。



『レイ、その装備はとてもよく似合っているよ。其方を見た城の人間達がどれほど驚くか、今から楽しみで仕方がないよ』

 右肩に現れて座ったブルーの使いのシルフの嬉しそうなその言葉に、もう苦笑いするしかないレイなのだった。

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