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蒼竜と少年  作者: しまねこ


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1882/2487

参加者達の事

「おお、よく来てくれたな。寒かったであろう。どうぞ中で暖まってくれ」

「はい、今日はよろしくお願いします」

 よく晴れた午後の日差しの下、一の郭の広い道を通って見覚えのあるアルジェント卿のお屋敷に到着した。

 アルジェント卿の出迎えに、ラプトルから降りたレイも笑顔で挨拶を交わした。

 そのまま中へ案内され、以前戦略室の会の皆と会ったあの広い部屋に通された。

「おお、やっと来たな」

 そこにはヴィゴと奥方のイデア夫人、それからタドラとカウリが揃って出迎えてくれた。

「あの、お待たせして申し訳ありません!」

 時間は聞いていなかったが、もしかしたらお待たせしていたのだろうか?

 少し心配になってそう言ったらカウリとタドラに笑われた。

「大丈夫だよ。俺たちも今来たところだし、そもそも全員一の郭の屋敷から来ているんだからお前より早いのは当然だろう?」

 笑ったカウリの言葉に笑顔で頷き、タドラの隣の空いた席に座らせてもらった。

 すぐにカナエ草のお茶と一緒に、真っ白なクリームと小さく切った果物の盛り合わせがたっぷり乗せられた三段重ねのパンケーキが出てきた。ハチミツの瓶の隣にはチョコレートソースのたっぷり入ったピッチャーも添えられている。

「もしかして、先に何か食べてきた?」

「いえ、中途半端な時間に朝昼兼用で食事をしてきたので、夕方頃にはちょっとお腹が空くんじゃあないかと思って心配していました。でも、これがあれば大丈夫です!」

 タドラの質問に無邪気な答えが返ってきて、皆笑っている。

 口元を押さえて笑っているタドラの前には、レイと同じく果物とクリームがたっぷりだけれど二段重ねのパンケーキが、カウリとヴィゴ夫妻とアルジェント卿の前には、果物が少しだけ添えられパンケーキが一枚だけのお皿がそれぞれ置かれる。

「まだあるので、足りなければ言ってくれればすぐに用意するぞ」

「それは、お腹と相談してから決めます」

 笑ったアルジェント卿の言葉に、真顔のレイがそう答え、皆で大笑いになったのだった。



「えっと、マシュー達は今日は一緒じゃあないんですね」

 パンケーキを綺麗に平らげた後に追加のビスケットを出してもらったレイは、それを食べながら応接室を見回した。

「皆、今日の劇の準備があるから、早朝から劇場へ行っているよ。マシューとフィリス、ソフィーにリーン、パスカルも一緒だよ。それから幼児の役でエルも少しだけ参加する事になった。さてエルは初めての舞台を泣かずに終えられるかのう。爺いは心配でならんよ」

 笑ったアルジェント卿の言葉に、思わず目を瞬く。

「それ以外にも、アミーとジャスミンとティミー、ゲルハルト公爵家のライナーとハーネインも参加するよ」

 笑顔のヴィゴの言葉に、驚いたレイは言葉もない。レイが知っている未成年の子供達が全員出るという事は、どうやら考えていたよりもずっと本格的な舞台のようだ。

「それから今回も城と街の各神殿から、見習いを含めた未成年の子達にも聖歌隊の役で参加してもらう事になったよ。ニーカも子供劇は初めての参加らしく、聞くところによるとずいぶんと張り切っていたそうだよ」

「へえ、それは楽しみだね。えっと、クローディアは参加しないんですね?」

 一人だけ名前が上がっていないのに気づいて不意に心配になった。もしかして、彼女は一人でお留守番しているのだろうか?

 不安になってそう尋ねると、笑ったヴィゴ夫妻とタドラが揃って首を振る。

「彼女はもう成人年齢だからね。舞台には出ないけれども、今日は裏方役で朝から一緒にお手伝いに行っているよ」

 タドラの説明に納得して頷く。

「そっか、子供劇だから舞台に上がるのは、全員が未成年なんですね」

「そうそう。だけど子供劇にしてはかなり立派な舞台だから楽しみにね」

 タドラの言葉に、満面の笑みになるレイだった。



 そろそろ時間との事で、レイはアルジェント卿とカウリと一緒の馬車に乗った。

 もう一台用意されていた馬車にはヴィゴ夫妻とタドラが乗り込む。

「ボナギル伯爵夫妻とは、劇場で合流予定になっている。まあ、レイルズは初めての体験で驚く事がいっぱいあると思うから、楽しみにしていなさい」

 笑ったアルジェント卿にそう言われて、嬉しそうに頷く。

「楽しみだなあ。どんな風なんだろうね」

 座ったレイの肩にはブルーのシルフが、そして膝の上にはニコスのシルフ達が並んで座っていて、楽しそうにこっそり窓の外を伺うレイの事を、ずっと愛おしげに見つめていた。

 しばらくして見えてきた建物の予想以上の立派さに、レイは驚きの声を上げたのだった。

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