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蒼竜と少年  作者: しまねこ


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竜騎士の到着

「おお、見えてきたなあ。あれがそうなんだよなあ?」

 カウリが前方に見えてきた目印の大岩を指差しながらルークを振り返る。

「そうそう。あれが石の家の上の草原にある大岩だよ。かなり遠くからでも見えるから、空からの目印だけじゃあなくて、レイルズによると森の中にいる時でも目印になっているらしいよ」

 笑ったルークの言葉にマイリーも頷いている。

「さてと、昼食の時間はすっかり過ぎてしまったな。一応、準備はしてくれてあると聞いているが、遅くなって申し訳ない事をしたな」

 マイリーの呟きにルークとカウリも揃って頷く。

 かなりの速さで飛んできたが、さすがにオルダムから蒼の森までは遠い。頂点にあった太陽は、少し傾き始めている。

「オルダムにいれば少し早い午後のお茶会の時間ですね。だけど、ここでのお茶会なら喜んで参加させてもらうなあ」

 笑ったカウリの言葉に、ルークとマイリーも苦笑いしながら同意する様に何度も頷くのだった。




 朝食の後、家畜と騎竜達を上の草原へ上げてやり厩舎の掃除を終えたレイ達は、そのまま上の草原へ上がって来ていた。

 途中ニコスが昼食の準備の為に家へ戻り、一通りのブラシを終えたレイはまたお手製のラプトルじゃらしを手にして、バルテン男爵も参加して子竜達と一緒に草原を走り回った。

 しかし楽しそうに遊ぶシャーリーとヘミングの子竜達を見ていて我慢出来なくなったベラやポリーの母親コンビだけでなく、ヤンとオットーの父親コンビまでもが嬉々として追いかけっこに乱入してきてしまい、ラプトルじゃらしは強奪され、途中からは子竜達とベラとポリー対ヤンとオットーによるラプトルじゃらし争奪戦に変わってしまい、疲れ果てたレイ達は早々に争奪戦から離脱して、ブルーの脚に座って大騒ぎするラプトル達を大笑いしながら見ていたのだった。

 そして最後には、とうとうラプトルじゃらしが崩壊してバラバラになってしまい、そこでラプトルじゃらしの争奪戦は強制終了になったのだった。

「あはは、残念だったね。また作ってあげるからそんな顔しないでよ」

 バラバラになってちぎれ飛んだ破片をシルフ達に集めてもらったのだが、シャーリーとヘミングは心底残念そうに集めた破片を咥えては放り上げ、ハラハラと落ちてくるのを見ては悲しそうな声で鳴いていたのだった。

 しかし、それを見たシルフ達がまた一瞬で破片を集めて子竜達の目の前へ置いたのものだから、そこからはシルフ達が子竜達と遊んでくれて、それを見てまた皆で大笑いになったのだった。

「では街へ戻ったら、手持ちの半端な革で同じようなおもちゃを作って届けて差し上げましょう。これは確かに楽しそうじゃなあ」

 笑ったバルテン男爵の言葉に、レイは笑顔でお礼を言ったのだった。


『ルークです』

『お待たせレイルズ』

『そろそろ目印の大岩が』

『見えて来たところだよ』


 その時、レイの膝の上に数人のシルフ達が現れて笑顔で手を振りながら話し始めた。

「いらっしゃい! お待ちしてたよ」

 目を輝かせて応えたレイは、慌てて東の空を見る。

「あ! 見えたよ。あれだね」

 笑顔でそう言って立ちがると、自分を見つめているブルーを見上げて頷くと、その場から思い切り飛び上がった。

 何も言わないのに、周りにいたシルフ達が当然の様にそれを支えて押し上げ、レイの体をブルーの背中まで跳び上がらせた。

 側で地面に座っていたバルテン男爵をはじめタキス達も驚いて立ち上がる。

「迎えに行ってくるね!」

 元気な声が耳元で聞こえた直後、ブルーがその巨大な翼を大きく広げてゆっくりと上昇した。

「おお……間近で見ると、本当に美しい……」

 バルテン男爵が感極まった声で小さくそう呟く。

「確かに、ラピス様の大きさと美しさは別格ですよね。俺もロディナで様々な竜を見て来ましたが、ラピス様程の美しい竜を見た事はありませんね」

 無言で何度も頷くバルテン男爵の隣で、アンフィーも笑顔で一緒になって飛んでいく巨大なブルーの姿を見つめていたのだった。



「いらっしゃい!」

 すぐにルーク達のところへ到着したレイは笑顔で手を振る三人に手を振って、一緒に草原へ戻ったのだった。

「へえ、ここは雪が積もっていないんだな」

 上空から下を見下ろして感心したようにカウリが呟く。

「ここの草原は、北側の竜の背山脈から吹きおろす早朝の風がすっごく強いんだ。だから草原に積もった雪は全部吹き飛ばされちゃうの。ほら、あっちの林の方は雪が積もってるでしょう」

 レイが指差しているのは、ギードが作ってくれた林の訓練場所だ。だけど今は吹き寄せられた雪のせいで木の半分以上が雪に埋もれた状態になっている。

「ああ、成る程ね。それにここならそれなりに日当たりもあるから、冬でも草原には草が生えていて、家畜達を連れて上がって来られるんだな」

 納得したようなカウリの呟きに、レイは笑顔で何度も頷いた。

「こっちの方は草があんまり生えていないから、降りるのはこちら側へどうぞ」

 レイが示したところへ、三頭の竜達がゆっくりと降りていく。それを見てからレイを乗せたブルーもその隣へゆっくりと降りていった。

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