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蒼竜と少年  作者: しまねこ


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明日の予定とおやすみなさい

 護衛の者達と一緒に帰って行くルークとマイリーを見送り、レイは小さくため息を吐いた。

「はあ、一日があっという間だったや」

「お疲れ様でした。初めてのお披露目会はいかがでしたか?」

 ラスティの声にレイは小さなため息を吐いて振り返った。

「すっごく緊張したし、すっごく疲れたけど楽しかったです。お世話して下さった屋敷の皆にも心からの感謝を」

「だそうですよ」

 振り返ったラスティが、控えていたアルベルトにそう言いながら笑顔になる。

「喜んでいただけたようで何よりです。皆も喜びましょう」

 笑顔のアルベルトにレイも満面の笑みで頷く。

「ですが、お披露目会は今日で終わりではありませんからね。ひとまず中へお戻りください。明日の予定を報告させていただきます」

 顔を覆って悲鳴を上げるレイの背中をラスティは笑いを堪えて叩き、中へ入るように促したのだった。




「では、明日の予定ですが、こちらをご覧になってください」

 部屋に戻ってカナエ草のお茶を入れてくれたラスティが、束になった紙を持ってきてレイの隣に座る。

 お茶を飲んでいたレイが慌てて居住まいを正すのを見て、ラスティは持っていた資料の束をレイの前に置いた。

「明日は、午前中はお疲れでしょうからゆっくりお休みください。早めの昼食のあと、午後の一点鐘の到着予定となっておられる方々がこちらになります」

 そう言って示された箇所をレイが真剣な顔で確認する。

「まずは王立大学の教授方ですが、さすがに全員お越しになるのは無理との事で、代表して天文学のアフマール教授。それから光の精霊魔法を担当なさっておられるティバル教授と精霊魔法の歴史担当のセディナ教授がお越しくださるとの事です。それから、予定の時間よりもすこし遅くなるかもしれないとの連絡をいただいておりますが、ガンディ様とガスパード先生もお越しくださるとの事です」

「そっか、教授は授業の予定やご自分の勉強の予定があるものね」

 全員は来られないと聞いて少し残念そうにしていたレイだったが、少し考えて納得したらしく苦笑いしながら渡されたリストを見た。

「ケレス学院長も来てくださるんだね。良かった」

 リストに名前があるのを見て、嬉しそうにそう呟く。



「それから、こちらが倶楽部関係でお越しいただける方々のリストです」

 もう一枚の方には、倶楽部関係で招待した方々の名前が並んでいる。

 星の友の会の会長を務めるヴェリング卿や、竪琴の会のボレアス少佐や年配のご夫婦であるウィスカーさんとシャーロットさんの名前もあって笑顔になる。

「あれ、ご主人は足がお悪くて車椅子なんですけど、大丈夫ですか?」

 思いついて慌てたようにアルベルトを振り返る。

「はい、もちろんお迎えの準備は出来ております。絨毯のある部屋でもお使いいただける車輪の大きな車椅子をご用意しており、また執事の中でも大柄で力のあるものを常駐させますので、段差のある箇所や、車椅子での移動が困難な場合には対応させていただきます」

「そうなんですね。ありがとう」

 安心したように笑うレイに、アルベルトは一礼した。

「お越しいただくお客様の事情が分かっている場合は、もちろん対応させていただきます」

 当然とばかりにそう言われて、レイはもう、尊敬の眼差しでアルベルトを見つめていたのだった。

「そっか。もてなすって言っても、単にご馳走を出すだけじゃないんだね。相手の方が快適に過ごしてもらえるようにあらかじめ分かる範囲で準備することも大事な事なんだね」

 うんうんと頷きながら招待客のリストをもう一度見て、それからちょっと考えてアルベルトを振り返った。

「あれ、じゃあ明日はお食事会はしないんだね」

「はい、明日は午後のお茶会という形を取らせていただいております」

 にっこり笑ったアルベルトの言葉にもう一度頷き、そのあとは明日の段取りやお茶会の席で出す予定のお菓子の内容を聞いたりして過ごした。




「はあ、やっと終了〜疲れたよ〜〜」

 明日の詳しい予定の報告が終わり、やっと一人になったレイは、そう叫んでベッドに突っ伏した。

「お疲れ様でした。湯をお使いになられるのなら、準備は出来ておりますよ」

 笑ったラスティの言葉になんとか起き上がったレイは、大きな欠伸を一つしてから立ち上がった。

「じゃあ、湯を使ったらもう休みますね」

 剣帯を外して上着と一緒にラスティに渡し、大きく伸びをする。

「ふああ、疲れた。貴族の人達って毎日こんな事してるの? 僕には絶対無理だよ」

 大きなため息とともにそう呟き、ラスティが用意してくれた着替えを持って湯殿へ向かった。




『お疲れさん。なかなか楽しそうだったな』

 湯を使って寝巻きに着替えて部屋に戻ってきたところで、ブルーのシルフが現れて肩に座った。

「ああブルー、もう大変だったよ。僕、今すぐに熟睡出来る自信があるくらいに疲れてるよ」

『ああ、明日もあるのだからゆっくり休みなさい』

 笑ってそっと頬にキスをくれる。

「うん、大変だったけど楽しかったよそれに色々勉強になったしね」

 嬉しそうにそう言って、ベッドに潜り込む。

 ラスティが部屋のカーテンを閉めてからベッドに潜り込んだレイのところへ来てくれる。

「それではおやすみなさい。明日も蒼竜様の守りがありますように」

「おやすみなさい。明日のラスティにブルーの守りがありますように」

 笑顔でそう答え、額にキスをもらってから目を閉じる。

 それを見て一礼したラスティが、明かりを全て消してから部屋を出て行った頃にはもう、レイは気持ちの良さそうな寝息を立てていたのだった。



 枕元や毛布の上に座ったブルーのシルフやニコスのシルフ達、そして呼びもしないのに勝手に集まってきた多くのシルフ達は、そんな彼を見てゆっくりと癒しの歌を歌い始めたのだった。

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