4.レッツアストガス!
「そういえば、この視界の端っ子に写ってるのはなに?」
次の日に訓練を始める前に思ったことなのですが、視界の端っ子になにやら数字等が写ってるのです。
「ああ、それですか?それは、簡易ステータスです。HPやMPなどが直ぐ分かります!」
なんか、ファンタジーよりも、ゲームっぽくなってきたぞここ。
そんなもやもやを抱えつつ、訓練を始めるのですが…
「疲れた!もう動けない!」
「体力《HP》あっても、体力はないですね。
これては持久戦で負けてしまいます。
そうですね…一時間耐久レースをしましょう!」
実は友音は難関校に受かるため、この3ヶ月の間勉強にしか、力を使ってないので、体力が全然無いのだった。
「イィィィィィヤァァァァァ!!!!!!」
◇
「さあ、もう訓練も終わりです。では、異世界に行ってもらいましょう。」
この時友音は思ったのです。仕事に対する報酬がないことに。
でないようであれば、サボっても構わないのでは?と。
「そういえば、もし魔王を倒して王様に成ったとして、私に報酬はあるの」
「はい、民の尊敬、絶対的な地位、金、法、の自由などですよ。」
友音は思った。いらねー!と。だって、王様に成ったとして、民に誠実な政策を立てなければ信用されないし、
それを考えるための疲労もある、
批判されたら精神的疲労もある、
管理のための疲労が報酬にみあわない。
それに、倒すまでの疲労も考えると、大赤字まっしぐら。
「いらないね。そういう自己顕示欲は基本的に男性の方が強いとされているの。
私は女の子だからいい自己顕示欲とかあんまりないし、管理するときの精神的疲労と肉体的疲労の方が多い。」
今は、SNSなどで女子も自己顕示欲が高くなってきてはいるのですが、友音にはあまり関係なく、むしろめんどくさいと感じるものの一つであった。
「王様になるの意外に報酬が必要ですか?」
あと、これは予測でしかないのだが、琳明達の一族、つまり紅一族は面倒ごとを報酬と言って私に押し付けるつもりなのではということも考えていたのです。
友音はただのバカではなく、ただ抜けてるだけなのです。
「ええ、私はやりもしたくない仕事を強制的にやらされ挙げ句の果てにいらないものを押し付けられ管理しろと理不尽を言われているのよ。
嫌に決まっているでしょ。」
友音は安請け合いこそはするものの、実のところは、結構損得感情で動いているのです。
この従業員一人で社長大勢に向かってストライキなんて無謀なことはわかっているのですが少しは改善したいので頑張るのでした。
「報酬はのちに伝えます。それよりもいち早く世界を救っていただくことを優先してもらいたい。」
お、話をそらしやがった。しかし、それもまた正論なので返す言葉がなかった。
「しょうがないですねー。でも、普通はこんな風には動きませんよ私は。
もっと事前調査をすべきでしたね。
残念です。
まあ、今回はこれでかんべんします。
…必ず連絡して下さいね。」
諦めはしたものの、最後に釘を刺しておく。
完璧に交渉はできたのではないだろうか。
こんな非力な女の子一人で最善な所まで持っていけたのだから。
そして密かに考える。
もっと強くなろうと。
「分かりました。
では、最後に説明をします。ここでもそうなのですが、経験値は最後のトドメをさした方に入ります。
なので、モンスターや魔人などを殺して行かないと強くはなれません。
強くなってください。
では、異世界へ出発して頂きます。」