彼女の自信
この話もよろしくお願いします。
“イーワルド魔宝学院”敷地内、“学生寮の一室”――。
「俺……、まだ死にたくねえよぉ」
結局あのモメ事からズルズルと話が進み、俺とレイヴァ、幼女と闘鬼族の決闘が二日後に決まってしまった。
頼みの綱であるガリガリの教師と牛の人は、決闘を止めてくれるどころか 「では、舞台と日取りはこちらで決めますね」 と勝手に話を進めやがった。
魔宝族にとって、力の強さとは何よりも尊ばれ、重要なことであるらしく、決闘はそれを手っ取り早く確認できる行為として世間的に推奨される行いらしい。
異世界馬鹿野郎!! 日本には決闘罪ってのがあるんだぞ!! なんでお前はそんなに野蛮なんだ!!
「何を悲観することがあるんだ、安心しろ。 私達は負けない」
俺が絶望感に打ちひしがれ、日本とイーワルドのワールドギャップを感じていると、レイヴァがそんな事を言ってきた。
彼女は学生寮の部屋に付くとマントを外し、椅子に腰かけくつろいでいた。
表情は実に涼やかなもので、つい先ほど決闘の申し出を受けた人間にはとても見えない。
「……、その根拠を聞いてもいいですか?」
そもそもレイヴァはなぜこんなにも自信満々なのだろうか……。
この世界“イーワルド”では戦闘時における強さの序列があって、俺はその種族階位最底辺の“人族”だ。
それに比べて相手は、第三位の“闘鬼族”……、順位だけ見てもまったく勝ち目のない相手。
序列の数字を無視しても、一目見てアレはやばいと分かるものだ。
デカいし、角やら爪やら牙やらで尖ってるし、腕の太さとか俺の胴体くらいあったもん。 軽く撫でられただけで体がなくなりそうだ。
「ん?君は私の“隷い手”として呼ばれたのだから強いに決まっているだろう」
箸を持つ手は右手だろう?みたいなノリで返された。
何を当たり前のことを聞いてくるんだと言わんばかりに。
「え?それってどういう……」
「魔宝族に召喚される隷い手は、武器化した魔宝族を扱えるくらい強い。 君はこの私に召喚されたのだ、弱いはずがないだろう」
――言葉がでなかった。
魔宝族は、喚びだした種族で自分の才能を知る訳なのだから、普通の思考であれば一番弱い“人族”の時点で、自分には才能がないと理解するものだろう。
実際あの場にいた全ての者達は、そういう思考でこちらを笑いものにしていたはずだ。
なのに、彼女は、そう思っていない。
前提として、自分は他人と比べて優れており劣るわけがない、自分の才能に応じた隷い手が喚びだされるのであれば、種族がなんであれ“優秀”なのだ。
とどのつまり彼女は、
“超自信家”だった。
なんだか色々起こりすぎて疲れてしまった。 とりあえず今日はもう休もう。
「すんません、俺の部屋ってどこですかね?」
決闘の件は、また明日あの幼女に誠心誠意謝れば、きっと許してくれるだろう。
隷い手の闘鬼族の人は気のいいお兄さん感でてたし、イケるイケる。
「何を言っている、君の部屋はここだぞ? 最初に言っただろう、寝食を共にすると。 私と君は同じ部屋だ」
部屋に一つしかない派手な装飾のベッドが目に入った。
どこぞの石油王が寝てそうな広くて豪華なベッドではあるが、たった一つのベッドである。
「……マジ?」
父さん、母さん……ボクもう死んでもいいかもしれない。
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次話もよろしくお願いします。
魔宝族豆知識。
“武器化”と呼ばれる強力な能力を持っているが、通常時の身体能力は“人族”に毛が生えた程度であり、変身していなければ十種族の中でも脆い部類に入る。




