序章
精霊。それはマナを操り、人を超えた力を起こす存在。
『精霊石』の姿でこの世界に現れるが、そのままでは力を振るう事は出来なかった。
必要なのは、二つの契約。
一つが、精霊と精神や意思を交わらせる『精霊師』との契約。
普通の精霊は、これを行わなければ術を扱う事が出来ない。
術を扱えなければ、姿を現すことすら出来ないのだ。
しかし、これだけを行っても、そのままでは扱えるマナは極めて微量。
そのままでは、精霊師と契約しても、結局はマナが足らず術を扱えない。
扱えるマナを増やすために、この世界にある物体を『宿主』とする。
それが二つ目の契約だった。
この二つが行われて初めて、精霊は術を使う事が出来た。
精霊石には、『精霊五原色』と言われる五つの色分けがあり、色によって出来る事は変わっていた。
黄は電気を操る存在。
青は冷気を操る存在。
赤は熱気を操る存在。
土は力を奪う存在。
緑は力を与える存在。
術者がいかなる特性を伸ばそうとも、この大原則から外れた精霊術はありえない。
精霊の術を操る精霊師は、強大な力を持つ。
一人の精霊師は百人の兵隊に匹敵すると言われる程。
だが、その力を発揮するのは、何も戦場だけではない。
古くから、人々の生活に、深く根ざしていた。
それは、英雄と呼ばれる者の存在しない世界。
かつては存在したかもしれず、これから先、姿を現すかもしれない。
しかし、少なくとも今、英雄と呼ばれる者はいない世界。
例え英雄がいなかろうとも、世界は続いて行く。
アルクオーレ王国の都市、ランフォーリャ。
この物語は、そこに住む人々の物語。
同じ世界観の短編ですが、それぞれ独立しており、毛色も違います。
上から、
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となっています。
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