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フラワー  作者: 望月唯
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透明な朝。白い満月。

月曜8時02分。今日も一日が始まった。あたしはミルクを飲みほして、一息ついた。ドアの外で母親が声をかける。朝から小言言える無神経さに驚きをかくせない。


時間割を最終確認すると鏡をみて部屋をあとにする。




いつものバス停に向かう。道路脇の緑が鮮やかすぎて目を細める。手を空に翳す。雲の合間に、絶対絵の具じゃ表現できない空の青さ。



空気が水分を含んでしっとりとみずみずしい。ああ、昨日の夜は雨だった。



正直いってあたしはバスが電車が苦手だ。



人と人の近すぎる距離。馴れれば平気。そんなわけない。今は平気で居れても、あとからくる嫌気。


通学鞄をさぐり、iPodをとりだす。誕生日に買ってもらったばかりの。お気に入りの。白とピンクのラインストーンで飾ってある。



音楽がないとやってられない。



耳から音楽をチャージし、見馴れた通学路。かわいい犬のいる家。電信柱のへんなポスター。やけに鉢植えが多すぎる家。それらが、あきらかに優しいきらきらした目で見渡せる。



いつもの景色が違って見えるってこのこと。



音楽が人に与える影響についてあたしは感謝せずにいられない。



一人のときや部屋にいるときは音楽が必要。



空気が変わり、空間がたちまち色付きになる。心と身体にあきらかに影響を感じる。



学校に着いてもやることなど特にない。どうせ、家についたら開くことのないノートを書き写し、ああそうですか。って感じの話をきくだけなのだ。



あたしはロッカーに鞄を置きオーザックをとりだす。



それを食べながら英単語をノートに写して覚える。英語は好きだから真面目にやる。することもないし。学校は一人でいると本当にすることがない。だから退屈しのぎグッズがどうしたって要るのだ。


iPod、DS、雑誌、少年ジャンプ、手帳、お菓子。あたしのロッカーは風紀検査があってもたいしたことにはならないだろう。



絵里が話し掛けてくる。



「ちょうだいオーザック。偉いね。今日あたるの?」



「うん。。」



あたしは曖昧に返事する。いつもはこんな真面目にやらないんだけど。することがないからとはなんとなく言いそびれてしまう。



絵里はいいこだ。顔もかわいい。笑うととまらないところもすき。この間なんて、床に転がって笑っていた。おもいのほか笑いの坪だったらしい。


パタンとノートを閉じ片手で頬杖をつく。



教室は平和だ。それでいて何か起こりそうな、何かおもしろいことを起こしたくてうずうずするような。



立ち上がり体育館脇の自販機にジュースを買いにいく。



午後。今日も平和にすぎ。帰り支度をする。校門に向かう。



運動場のフェンスごしにサッカー部が練習してるのが見える。



あ、内山先輩だ。笑った。



ガシャン


あたしはフェンスを両手で掴んだ。



内山先輩楽しそう…



いいな。あたしも運動部にでも入ってればよかったかな。



もう少し見ていたかったけど、これ以上フェンスを掴んでいたら、不審者になる。



あたしは内山先輩に会えた動揺で早足で校門に向かった。



内山先輩、彼女いるのかな。多分いるよね。かっこいい人は大抵彼女はいる。



「内山先輩?今いないみたいだよ彼女」



「それ本当っ?!」



「いやちょっと…すごい近いから」


いつものお昼



実果はいきなり信じられないことを言い出した。


あたしはいきおいあまって実果に詰め寄る。紙パックのいちご牛乳を握りつぶす。



「ちょっとこっち、跳んだんだけどーいちご牛乳」



だって…絶対いると思ってた。



彼女



「ちょっとー?聞いてる??」



ガタン



あたしは立ち上がり教室をでた。


「っ内山先輩!」



学食の窓際。いた。いつもここでお昼食べてるの知ってる。



内山先輩とその友達。誰って感じの雰囲気流れた。



「うっ、う、内山先輩にお話がありまして」



しまった。いきおいあまった。



一瞬、まがあって


「何、どうしたの」



「来て頂けますか?」



「うんわかった」



学食を出て廊下にでる。



どうしよう。今緊張してきた。



「どうしたー?」



内山先輩は、あたしが背の低いから少し覗くようにいつも話す。低くて優しい。心配してる声。


その声がとてもすきで。



「内山先輩。彼女いないって本当ですか…」



「ん?どうしたの?」



「ええと友達が…。」


内山先輩は少し笑う。



「内緒」



「内緒って何ですか」



内山先輩はなんだか楽しそうに笑い、あたしの頭をぽんと触った。


びっくりした。同時にふわっと優しい空気が流れた。なんだか内山先輩は楽しそうに笑うからあたしはようやくほっとする。



今はとりあえず話せるだけでもいいかな…



疑惑は消えないまま。わからないまま。でもあたしは内山先輩に彼女がいてもいなくてもすき。



多分、嫌われてもすき。



内山先輩は優しい。優しくて真っ直ぐ。




こんな風に話せるようになったのは最近。




内山先輩は生徒会もやっててサッカー部で皆かっこいいって言っていた。



でも、あたしは正直ふーんって思ってた。



なんでもできて目立つタイプのよくいる人だと思ってた。



雨の日だった。4月。新学期になったばかり。地面に桜の花びらがくっ付いて汚れていた。泥とみずたまり。少し肌寒いけど暖かい春の雨。水色とグレーのまだら模様みたいな空。


図書室で本読んで、急に降ってきた夕立。置き傘で帰るところだった。


グラウンドからサッカー部の人たちが部室に入るところ。あ、内山先輩。何か話してる。部室の脇を通りすぎながら何気無く耳をすます。



何話してるんだろう。



そのとき話してることは聞こえなかった。内山先輩はいつも楽しそうに笑う。




「ただいま」



「お帰り、お姉ちゃんアクアタイムズでてるよ」



何気無くみると今日のMステはアクアタイムズがでてる。TVのボリュームを上げる。タモさんと話す大志くん。



「これは〜どんな曲?」



「この曲は身近な人や周りの人へ感謝の気持ちをうたった曲です」


「ふ〜ん。。」



タモさん…もっとよく聞いて大志くんの話を。



「一曲目だからってトーク短かいね」



隣でるなが言う。曲が流れる。一曲聴き終わった感動に包まれる。大志くんは素敵で、でもこの良さを解らない人も確実にいるだろう。



新曲で気分が上がっているのを感じ、お風呂の蛇口を思いきり捻る。入浴剤を流し入れ、手のひらをお湯に沈める。冷えていた両手がたちまち赤くなる。さっきの曲が頭に流れ小さな声で歌う。



窓の外に月が白く光り何かを確実に照らしている。





いつもどうりの日常に降りてくる気になる人の存在。日常が少し違ってみえたり…もっと話したいって思う気持ちとか。自分の生活を前向きに気持ちに素直に生きる人を書きました。話がまとまってませんが読んで頂けたらうれしいです。

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