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ペットボトルのミニトマト

私の価値って低くなってるのかしら…。

と、私はふと考える。


私はペットボトルに刺されて育っている。

今までは、きれいな植木に、立派な土を入れて、その中に私達の種を植えて、

水やりを毎日行い、

毎日様子を見て、

お日様が当たっているかチェックをしたり、

横に木や竹を刺して、それを支えに成長して、


それが今では、

ペットボトルの水を週に一回入れ換えるだけで簡単に育つため、

私はほったらかし。

私のご主人様は今日も彼氏とデートみたい。

朝起きてからバタバタ化粧をして、鏡を見て最終チェックしてる。

今日も棚や外に干してある洗濯物が邪魔をして、私にお日様が当たってないわよ、気づいてよ!


と伝えたいけど、もう家を出て行ってしまった。

帰りは今日も日が沈んだ頃かしら。

お日様の顔を覗きたいな。

ただ、成長期の私はお日様が当たらなくてもある程度は育つんだけど…。

うぅ、なんか悔しい。


今日も私は暗い部屋でぽつんと過ごす。

ぽつんと過ごす。


とても寂しい。

もっと大事にされたい。


そう思っていたら、

ドアが開く音がする…。

こんな時間に開くなんて泥棒かしら。


「ただいまー。あっ、あれだよ、あのトマト!ほら、もうちょっとで食べれそうでしょ!見てみてー!」

と叫ぶご主人様の姿が。

隣には男性の人がいる。彼氏かしら。

「お前がいつも写真見せて自慢してたトマトがこれかー。確かにもう少しだね。」

あら、確かにいつも写真撮ってたけど、彼氏に見せて自慢してたのね、ちょっと嬉しい。

「水変えるだけで育つから、この子すごく優秀なんだよー。大きくなるのを見てるのも楽しいし、食べるのも楽しみー。」

あら、なんだかすごく嬉しそうなご主人様の笑顔。

「確かに優秀だね。食べる時は、その優秀さに感謝しないとな。」

あら、彼氏も笑顔。


そうか、

確かに昔より楽に育てられるようになったけど、

私を大事に思う気持ちは変わってないのかー。


何よりも私が一生懸命成長することで笑顔になる人がいるのね。

私の価値、今も昔も変わってないのか。


「ごめん、戻ってきたけど、今からランチ予約してるから行ってくる!また夜ね!」

ご主人様はそう言って家を出た。


私もご主人様の笑顔を楽しみに今日も成長するよ。

そう誓った。

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― 新着の感想 ―
[一言] 読んでほのぼのとしました。こういうのもいいですね。
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