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落ちた先は異世界!?  作者: 普通の魔法使い
プロローグ
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第5話 リリス

今回は説明回。故に中々の量になってしまった……orz

 魚を食べながら少しだが彼女の事について知る事が出来た。名前はリリス。偽名って可能性もあるが今は普通にリリスと呼ぶ事にする。彼女が倒れていた理由だが、少し事情がありこの森にやって来たが食べ物が底をつき其のまま意識を失ったそうだ。そして目が覚めると近くに俺が居て襲われるのではないかと考え先手必勝とばかりに襲い掛かったらしい。

 その事に関しては彼女――リリスの間違えであった事が発覚。直ぐ謝って来たので許す事にした。俺だって見知らぬ場所で見知らぬおっさんと2人きりだったら同じ事をしている自信はある。そしてリリスは何故初めのパンチを避けれたのかと聞いて来た為、「起きたてで体に力が入らなかったんじゃないか?」と答えたところ、顎に手を当て考え込み始めた。邪魔をするのは良くないと思いそのまま食事を続行。暫くして納得したのか食事を再開。俺とリリスはそれから終始無言で魚を食べ続けた。


 *


 ――可笑おかしい。


 そう私――リリスは考えた。あの時の一撃は完全に不意を突いたはず。身体強化も使っていた為避けられる事はまず無いと思っていた。しかし実際はどうだろう。意図も簡単に躱されてしまった。その後油断したのか組み伏せる事は出来たが彼は私の攻撃が遅く見えたと言うし、現にありえない速度・・・・・・・での回避。あんな事が出来るのは人間じゃまず無理だろう。

 もう少し彼の事を観察した方が良いだろう。そう私は決めた。


 *


「――それで寝床はどうする?」


「別に寝られればどこでも。」


「それだと困るんだけどな……。」


 女の子であるリリスが何か逞しい事を言っているが、日本で生まれ育った倞は如何した物かと頭を抱える。

 恐らくこちらの世界では普通の事なのだろう。下手に何かしてしまったらそれこそ取り返しのつかない事になりそうだ。


「……あー、分かった。だけどもし腹減ったら来ると良い。其処ら辺で取れた果物なら腐るほど有るからな。」


「――果物?」


 リリスは果物という言葉を聞いた瞬間、目がスッと細くなる。倞はまさか地雷を踏んだか? と戦々恐々としていた。


「……それは『聖果』の事か?」


「聖火?」


 倞は首を捻るがリリスは気にした素振りも見せず倞に問いかける。


「『聖果』を食べて苦しくなったりはしなかったか?」


「そうだなぁ……。あまりに美味かったから思わず食べ過ぎて気持ち悪くなった事なら1度だけかな。それよりその『せいか』って何?」


 倞はリリスに問いかけるとまるで化け物を見るような目で見てくる。ハッキリ言って倞のライフはもうゼロに近かった。


「『聖果』とはエルフや私の様なハーフエルフのみが食べられる果実だ。普通の人間ならそれに含まれている猛毒で口にしただけで死に至る物で、私たちでもそう多くは食べられない。良くて年に10個食べられれば凄い方だ。」


 倞はその話を聞いて今まで美味しい美味しいと言って食べていた物が実はかなりの猛毒である事をして愕然としていた。一方リリスは倞の身体能力に納得がいったような顔をしていた。

 それと同時に何故この様な者がこの地に居るのか疑問に思い倞に問いかける。


「ところで如何して人間であるお前が此処にいる? 恰好も少し可笑しい。何者なんだ?」


 倞はそれを聞いてピタリと動きが止まる。涼しいはずなのに心なしか汗の量が尋常じゃ無いほど流れる。

 暫しの沈黙。リリスは倞のそんな状況を見て他人には言えないような事情がある事を理解し、「すまん。無神経だった。」と謝罪した。

 そんなリリスに倞はほっとした。まさか自分は異世界から来ましたと言えば確実に頭がおかしい人と思われるかもしれない。それだけは勘弁だった。

 其処で倞は話題を変えようと話のネタを考えると不意に先程のパンチを思い出しリリスに尋ねた。


「ん? 身体強化の事か? あれ位は出来て普通だと思うが……。まさか知らないのか?」


「面目ない……。」


「……身体強化とはその名の通り魔力で体の機能を強化する魔法だ。これは魔方陣を介さなくとも出来るため殆どの者が使用できる。」


 魔法なんてあるのか、と倞は驚く。それと同時に自分には使えるのかと不安になる。


「なぁ、それって俺にも使えるのか?」


「魔力が微量でもあれば使用できるが……。恐らくお前は使用できるはずだ。」


 その言葉に倞は内心ホットした。だがその後に続く言葉を聞いた事でその気持ちも吹き飛ぶが。


「――最低でも大魔導師アーク、下手したら伝説級魔導師レジェンドにもなれるかも知れない。」


 よく分かんないけど名前的に凄い感じがしたから驚いた。と言うような倞の反応にリリスは苦笑いする。


「魔力を使い魔方陣を介して現象を発生させる事を魔法と言い、それが出来る者を『魔導師ウィザード』と呼ぶんだ。幾ら魔力が多くとも魔方陣とそれに追従する現象を理解できないと『魔導師ウィザード』にはなれない。逆に魔力は殆ど無くても理解できれば『魔導師ウィザード』になる事が出来る。」


 此処まで良いな? とリリスは目で聞いてくる。倞はそれに頷くとリリスは続きを話す。


「『魔導師ウィザード』はそれぞれ『見習魔導師ヤードバード』<『初級魔導師ルーキー』<『中級魔導師メイジ』<『上級魔導師エース』<『大魔導師アーク』<『宮廷魔導師マエストロ』<『伝説級魔導師レジェンド』と分かれていてここ数百年の間で『伝説級魔導師レジェンド』と呼ばれるまで行った者は誰もいない。神話に出てくるような奴らが『伝説級魔導師レジェンド』と呼ばれる。まさに化け物だ。」


 因みに私は『初級魔導師ルーキー』だとリリスは言う。


「まぁ、此れはあくまで目安だ。正式に学院や専門の所に行けば軽く検査をして分かる。大体の奴は『見習魔導師ヤードバード』もしくは『初級魔導師ルーキー』だが、親が『魔導師ウィザード』だったりすると『初級魔導師ルーキー』何かだったりする。『上級魔導師エース』まで行くと大体職には困らなくなり『宮廷魔導師マエストロ』まで行くと国によるがそれなりの地位を与えられるそうだ。」


 リリスは薪を焚き火に突っ込む。これはまだ有るのかと顔を引きつらせる倞にリリスは玩具を見つけたかのような表情になりそれが倞を更に怯えさせるといった悪循環に陥る事に倞は気が付かない。


「まだ座学も良いが、実際に魔法を実感して貰った方が速いからな。」


 にこやかな顔で言うとリリスは立ち上がり手を前にかざす。


「魔方陣の書き方は人によってそれぞれ違うが、一般的なやり方はこの様に手を翳し文字ルーンを魔方陣に書き込む感じでやってやる。」


 見てろよ? と言うとかざした先に直径15cm程の円が出来る。その縁の淵には「火」「球」と書かれた文字が書かれ「ファイヤーボール」とリリスが言った瞬間。魔方陣から火の玉が放出される。

 倞はその光景を見て顎が外れるのではと言うほど口をあけ驚愕していた。


「――これが魔法と言う物だ。魔方陣に送り込む魔力によって魔法の威力も変わってくる。また弱点属性のある奴に弱点の属性を当てると効果は上がり、またその逆も然り。先ずはこれが出来るように頑張ればいい。」


 それと、とリリスは今だ驚愕している倞に向かい「ではもう寝る。」と言うと近くの木にもたれ掛かる様に座りそのまま動かなくなった。

 暫くして再起動した倞はリリスの姿を見た後自分も寝床に戻った。


 *


 ――らしくない。


 倞が寝たのを確認後、体を伸ばし木にもたれ掛かる。

 何故あんな奴に親切に魔法の事を教えてしまったのだろうか。会って間も無い彼奴に何故? 幾ら自問しても答えは見つからない。


 ――倞には何か人を引き付ける力が有るのかもしれない。


 そんな事を真面目に考えてしまっている自分に苦笑いしながらゆっくりと意識を飛ばしていく。

魔導師の名称を一緒に考えてくれた先生に感謝。


聖果…エルフ、またはハーフエルフのみが食べる事の出来る果実の総称。かなり強力な毒性を持つ。聖果を食べると、食べた果実によって能力が上がる。エルフですら、その毒性の強さから一生の内に食べられる量が決まっている。


リリス  性別:女 年齢:17歳 利き手:右利き 種族:ハーフエルフ  髪:鮮やかな金色で腰まである 目:綺麗な翡翠色

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