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Lost memo

 

 あれは、いつだっただろうか....

 キミはだれだっただろうか......





 













 僕がはじめてキミに出会ったのは、大嫌いな『検査』から始めて逃げた日だったね。


 あの時の僕は『検査』する処の職員に捕まらないように必死に逃げてる最中だった。

 

 人混みに紛れて逃げて、人の気配がない細く暗い裏道で僕は息を殺してたっけ....


 あの時、後ろからキミが話しかけてくるから僕、心臓止まっちゃうかと思ったよ。

 

 勢いよく振り返った僕に驚いて、キミは大きな目をこれでもかってくらいまで見開いてたっけ。

 

 あの頃の僕はまだ『女の子』のことが良く分からなくって、キミを見たときビックリしたんだ。

 あぁ、これが『女の子』かって....

 あまりにもいきなりのことだったから、僕はしばらく声が出なかったんだ。キミも黙ってたから、何分か見つめあいの状態が続いたよね。


 けど、多分、僕はその時とっても間抜けた顔をしていたと思う。

 初めてみるキミに対しての対応の仕方が分からなくって、その時、僕がどんな顔をしていたのかは分からないけれど...


 キミはそんな僕の顔をみて、小さく笑ったよね。

 人に笑われたことがなかったから、僕はまたビックリしたんだよ?


 謝りながらも笑い続けているキミの笑顔は、細くて薄暗いところなのに不思議とはっきり覚えているんだ。

 暗くて色の判別はつきにくかったけれど、笑いを隠そうとして揺れる肩が折れそうなほど細くて、口元にあてている手も同様に折れそうなほど細くて、とっても白かった。

 最初は僕と同じように、『検査』をしていたのかと思ったけれど、違うかった。


 『検査』を受けているかと聞くとキミは僕とは違って『検査』は受けていなかった。


 けどキミは目を伏せて辛そうに、前は受けていたと言ったよね。


 僕は『検査』が嫌いだから、『検査』を受けなくてよくなったキミが羨ましいと言ったんだ。

 そしたら、キミはやっぱり辛そうな目で僕を見て、羨ましくないって言ったんだ。


 今でも、僕はその意味が分からない。

 キミは『検査』が好きだったのだろうか...?

 『検査』が好きなんて、考えられない...

 毎日、毎日、繰り返し繰り返し色々なことをやらされて、真っ暗な部屋で誰かも分からない声に従って受ける『検査』


 『検査』の後は必ず、体中がぞくぞくして、口から食べたものを吐いてた。

 頭がくらくらして、体が一つも動かないことだってよくあった。


 だから、そんな『検査』を受けなくていいなんて僕にとっては羨ましすぎるのに...

 なんで、キミはそんなに辛そうな顔で僕を見るの?

 

 

 その後も、僕たちはしばらくそこで話してね。

 お互いのことをたくさん、いっぱい。

 

 僕は、自分自身のことがまだよく分からなかったから、僕からキミに話せることはほんの少ししかなくてキミがたくさん話してくれたよね。

 キミとの話が楽しくて、自分が追われているってことを忘れてたよ。


 出会った頃は薄暗かったのに、いつの間にか真っ暗でもうお互いの顔や居場所すらも分からなくて、分かることがしゃべっている二人の声とお互いにそっとただ重ねているだけの手の感触だけになってしまったときに

 キミから、ばいばいって言われたっけ...


 お別れをしなくちゃいけなくなって、僕はとっても寂しかったけど、キミが僕としゃべれて嬉しいと言ってくれたから、僕は我慢して別れたんだ。


 軽い足音がどんどん小さくなるのを聞き、完全に聞こえなくなってから僕もキミが歩いていった方向と逆の方に、歩いていったっけ。



 キミと会った後、追われていることを忘れていた僕は、追ってきた職員にその後捕まって結局『検査』を受けることになった。


 やっぱり、しんどくて、口から吐いてしまうし、僕は『検査』が嫌いだけど、キミと会った後から『検査』を受けるとき必ずキミを思い出すようになったよ。






 僕は今でも『検査』を受けている。

 僕は一生『検査』を受けるんだって。

 キミのように『検査』をしてくてよくなることはないらしい...

 嫌だなぁ....したくないなぁ....


 ねぇ...

 僕はまたキミとしゃべりたいよ。

 キミとしゃべると僕も嬉しいんだ。

 楽しいんだ。幸せなんだ。

 

 キミと僕の『検査』は少し違うみたいで、キミの『検査』は色んなものを飲んだり、打ったり、僕のよく知らないもので体中を調べるんだってね。

 僕は毎日毎日、ずっとずっと『検査』を受けているけれど、君はたまにしか『検査』を受けないって聞いていいなぁって思ったよ。


 僕と一緒で、『検査』中にたまに吐いちゃうこともあるらしいし『検査』を受けてたころは僕と同じで、『検査』が大嫌いだったらしい。


 『検査』を受けなくなってから、キミは受けたいと思いはじめたと聞いたときは、ちょっと安心したよ。僕だけが辛がってるんじゃないって分かったから...



 あの時、キミとしゃべったときは僕は全然キミに自分のことを話せなかったよね。

 だから、今はちゃんと話せるまで僕は頑張ったよ。

 大嫌いな『検査』もちゃんと受けて、キミのような『女の子』ってものよくわかったし......


 だから、またいつかしゃべろうね?


 あの時、キミはもう出会えないっていってたけれど。

 僕は、キミに会えると

 出会うことが出来ると


    し ん じ て る か ら

これは、訳ありの一人の少年と一人の少女が巡り合った物語


 曲を聴きながら、さらっと書きました。

 最初は意味が分からないと思いますが、一つ一つの言葉の意味を色々と考えて読んでください。


 そうすると、この少年がいったい何者なのか。

 少女が何故ここにいたのか。

 少年と少女が巡り合ったのか。


 二人の謎が隠れていますし、二人の今までとこれからの人生も隠れています

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