会計聖女の逆転勘定 ―無能とクビにされた私ですが、実はパーティの装備も宿代も私の「実家の商会」のツケでした。脱退と同時に年利25.5%の地獄へ追い込みます―
「リリア、君はクビだ。聖女のくせに回復魔法も使えず、毎日パチパチと薄汚い算盤を弾いているだけのお前など、我が『栄光の勇者パーティ』には相応しくない」
王都の高級ギルド『黄金の蹄』の特別室。
勇者エドワードは、使い古された聖剣をテーブルに叩きつけ、冷酷な視線を私に投げた。隣では新しく入った「真の聖女」を自称する令嬢が、私を嘲笑うように眺めている。
「……そうですか。エドワード様、本当に後悔しませんね?」
「ふん、後悔などするものか! お前のような地味な女がいなくなれば、無駄な経費も浮くというものだ」
「わかりました。では、こちらの『契約書』にサインを。これまでの私の“貢献”を、すべて清算させていただきます」
私は無表情に、一枚の羊皮紙を差し出した。
エドワードは中身も読まずに、乱暴にサインを書き殴った。
「さっさと失せろ、この金に汚い女が!」
私は静かに一礼し、ギルドを後にした。
外に出た瞬間、愛用の魔導算盤を取り出し、思い切り指を弾いた。
「パチッ、パチパチッ……はい、計算完了。……ナニワ商会への債権譲渡、スワイプ完了ですわ」
実は、このパーティのきらびやかな装備も、高級宿への宿泊代も、すべては私が「実家の商会の信用」を担保に、無利子で立て替えていたもの。
彼らがサインした『清算書』には、小さな注釈でこう書かれていた。
『――パーティを脱退したとき、すべての立替金は「年利25.5%」の悪徳……失礼、ナニワ特約の借金へと切り替わるものとする』
翌日。
勇者エドワードは、魔王軍の幹部デッドエンペラーを前に絶望していた。
「な、なんだ!? 聖剣が……輝かない! 魔法障壁も消えた!?」
そこへ、優雅に高級馬車から降り立った私が、拡声魔法で告げる。
「当然ですわ。その聖剣も防具も、お支払いが滞ったため『資産の差し押さえ』を執行いたしました。現在の滞納金は、利息込みで三億エリス」
私は、ナニワ商会の督促状を空高く掲げた。
「愛と正義で借金が返せるとでも? ……さあ、今日から魔王城の入り口で、ナニワ商会のアウトレットモールのビラ配り、死ぬ気で頑張ってくださいね。……ええ声で、呼び込みをお願いしますわ!」
「待ってくれ! リリア! 悪かった、戻ってきてくれ!」と叫ぶエドワードの声を、冷たく切り捨てる。
「ごめんなさい。私の愛の限度額、もう使い切っちゃいましたの」
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
剣や魔法で解決できない問題も、法と契約なら解決できる。そんな「実務的なざまぁ」を詰め込んでみました。
ちなみに年利25.5%は、リリアなりの「手切れ金」としての温情(?)です。
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