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第55話:ポータル設置

用事を終えた大介は、エイミーを呼びに交差ダンジョンを越え、リディアへと渡る。


 最近は商売が忙しく、当初決めていた「一週間スパンの入れ替わり」もガタガタだ。


「連絡手段が『直接会いに行く』しかないのは、令和の人間にはキツすぎるな。マジで向こうに電波塔立ててえ……」


 ぼやきながらエイミーの自室の扉を開けた瞬間、大介は硬直した。


 そこにいたのは、よりによって下着姿で鏡と格闘しているエイミーだった。 


「ひゃあぁっ!? な、ななな、なんでいるんですか大介さん! 入る時はノックしてくださいって言ったじゃないですか!」


「……ああ、悪い。いや、あれだ。……その、なんだ。似合ってるぞ。自信持っていい」


「どこを見て、何に自信を持てって言ってるんですかこのバカ!!」


 エイミーが真っ赤になって、手近にあったクッションをフルスイングで投げつけてくる。


大介はそれを片手でキャッチしながら、「いや、商談用のフォーマルな服を試してたんだろ? 向上心は認める」と、余計な追撃を加えた。


「もうっ! 乙女の部屋にデリカシーなく踏み込むのは、組織の禁忌に指定しますからね!」


 赤面したままのエイミーを連れ、二人は「合同会社リディアトレード」の心臓部となる、二基のポータル設置作業に入った。




用事を終えた大介はエイミーを呼びに交差ダンジョンからリディアへと渡る。


合同会社リディアトレードの物流インフラを整えるべく、大介とエイミーは入手した二基のダンジョンポータルの設置作業に入った。


これまでは新宿のアパートとリディアの自室、それぞれの場所にある「ダンジョンの入口」から徒歩で交差ダンジョンへ向かっていたが、このポータルがあれば運用の柔軟性が劇的に向上する。


「よし、二基は交差ダンジョンに座標を固定する。その後は指輪型にして俺とエイミーが1つずつ持つ。そしたらダンジョンの入口を塞いでしまえばいい。ポータルを使って転移できるからな」



 大介の言葉に、エイミーは力強く頷いた。  


二人は交差ダンジョンの中心、二つの世界の魔力が混じり合う地点で、それぞれのポータルに同期の魔力を流し込む。


これにより、二基のポータルは「対」となり、たとえ二人が外にいても、専用の魔力キーを使えばいつでもこの交差ダンジョンへ転移し、合流することが可能になった。


「これで、物流のスピードが格段に上がりますね。いちいち歩いて境界を越えなくても、一瞬で物資を運び込める……」


「ああ。それに、何かあってもすぐにここに逃げ込める。文字通り、俺たちの『聖域』だ」


「もう1つはどうするんですか?」

そう、ポータルはもう1つある。


そうだなもう1つは俺の方で使わせてくれ。


新宿ダンジョンに座標を固定してアパートの入口は物理的に封鎖しようと思う。さすがに派手に動きすぎた。


「そうですね、そうしましょうか」


 ポータルの開通を確認すると、大介は台車に積んだ「第一陣」の物資をエイミーの前に運び出した。


この一週間、大介が新宿ダンジョンで魔石を狩り、即日換金して白石商事から買い付けた、リディアトレードの初荷だ。


「さあ、記念すべき初陣のブツだ。エイミー、受け取ってくれ」


 並べられたのは、エイミーと麻衣が厳選した「リディア社交界攻略セット」。


高浸透シートマスク(保湿・美白) 500セット


オーガニックヘアオイル(高級感のある薔薇の香り) 200本


美顔ローラー(物理マッサージタイプ) 50台


「わぁ……! このヘアオイルの香り、リディアの貴族たちが絶対に放っておきません。それにこのローラー、魔力を使わないのにこんなに顔が引き締まるなんて……」


 エイミーは商品を大切に検品しながら、大介を見上げた。


「これらはガザル商会を通じて市場に流す。だが、一部はお前の手元に残しておけ。エイミー、『組織』の直轄品として、お前が直接恩を売りたい相手に配るんだ。金だけでなく『貸し』を作るのも、商売の鉄則だからな」


「はい、大介さん! 『組織』の威信にかけて、リディアの女性たちを虜にしてきます!」


 二基のポータルが静かに脈動し、地球の最新コスメがリディアの世界へと流れ込んでいく。  


二つの世界を繋ぐ「門」は、今や富と影響力を生み出す巨大な大動脈へと進化した。

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