表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

44/53

第43話:孤独な戦略と「ポータル」の衝撃


 エイミーがリディアへと戻り、次に彼女と話せるのはまた1週間後だ。


大介は静まり返った自室で、床に開いた「ダンジョンの入口」をじっと見つめていた。


「120万じゃ、ポータル一個分にも足りねえ……。家を買い取る一億なんて、夢のまた夢だな」


 大介はスマホで現在のアパートの登記情報を調べた。


この古びた木造アパートは、新宿の一等地に建っているがゆえに、建物自体の価値はなくとも土地代が異常に高い。


「お兄ちゃん、何難しい顔して画面睨んでるの?」


 リビングから麻衣が声をかけてきた。大介は今の調査結果を正直に話した。


「この場所を買い取るのに一億、さらに入口を隠蔽するためのマジックアイテム『ダンジョンポータル』に二個で一千万必要だ。エイミーには伝えたが、あいつと次に話せるのは来週。それまでに、俺の方で具体的な算段を立てておきてえんだ」


 麻衣は兄の隣に座り、ギルドの端末を一緒に覗き込んだ。


「ダンジョンポータル……。これ、設置すればダンジョンの外殻を無視して『点と点』で繋げるやつだよね? 確かにこれがあれば、アパートの部屋からダンジョンの中層へ直通できる。外の入り口を使わなくて済むから、お兄ちゃんがエイミーさんの世界のものを持って帰ってきても、誰にも見つからない」


「ああ。だが、一個五百万は正規ルートの価格だ。今は品薄で、オークションじゃ八百万まで跳ね上がることもあるらしい」


 大介は拳を握りしめた。今のままCランクの依頼をこなすだけでは、一千万貯めるのに何ヶ月かかるか分からない。


もっと効率よく、爆発的に稼ぐ必要がある。


「……やるしかないな。麻衣、悪いが明日からメシはおごってやれねえ。俺は明日から、第十四層よりさらに下……第十五、十六層へ単独で潜る」


「えっ、一人で!? あそこはBランクパーティーが前提のエリアだよ!?」


「俺にはリディアの魔導具と、エイミーの体で学んだ魔力運用のコツがある。……一週間後、エイミーが戻ってきた時に『もう一個分の金は溜まったぞ』って笑って言いたいんだよ」


 大介は新調した「爆炎グローブ」の手入れを始めた。


エイミーと会えない一週間は、彼にとってただの待ち時間ではない。


彼女を守るための「城」を築くための、孤独な戦闘期間だ。


「……分かったよ。その代わり、死なないでよね。一億稼ぐ前に死んだら、私が大家さんに怒られるんだから」


 麻衣の冗談混じりの激励を受け、大介は静かに闘志を燃やす。  

目標は一千万、そして一億。  新宿の地下深くに眠る富を、力ずくで毟り取るための準備が整った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ