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第42話:二人の城への第一歩

 深夜、新宿のボロアパート。大介が交差ダンジョンへと足を踏み入れると、そこにはエイミーの姿があった。


「大介さん!」


エイミーが身を乗り出して声をかけてきた。


大介が贈った「すきんけあ」のおかげか、以前よりも肌の艶が良く、表情も晴れやかだ。


「おう、エイミー。……プレゼント、気に入ったか?」


「はい! 特に『ちょこれーと』、セレナと一緒に震えながら食べました。


靴もすごく歩きやすくて……大介さんがこの体で戦ってくれた証拠だと思うと、すごく勇気が出ます」


 エイミーは、大介が自分のために選んでくれた品々への感謝を、溢れんばかりの笑顔で伝えた。


大介は照れ臭そうに鼻をこすりながら、「そりゃ良かった」と短く返した。


そこへ、リビングから麻衣が顔を出した。


「はじめまして、」


 麻衣は腕を組み、真剣な顔で壁を指差した。


「ちょっとお兄ちゃん! 自分だけいい格好してずるいんだけど! ……あ、はじめまして、エイミーさん!」


「ひゃっ!? え、えええっ!?」


 突然の闖入者に、エイミーは驚いてその場から転げ落ちそうになる。


麻衣は大介の肩を肘で突きながら、満面の笑みを向けた。


「大介の妹の麻衣です! いつもこの『脳筋おっさん』が迷惑かけてごめんなさいね。エイミーさん、やっぱり本物が一億倍可愛い! 私、もうエイミーさんのファンになっちゃった!」


「え、あ、あわわ……い、妹さん!? ど、どうも、エイミー・レインです……。あ、あの、大介さんにはいつも助けていただいて……」


「硬くならないで! これからは私という『こっち側の味方』もついたからね。お兄ちゃんがデリカシーのないこと言ったら、いつでも私に言って。いつでも愚痴、聞くから!」


「おい、麻衣! 営業妨害するんじゃねえよ!」


 大介は麻衣の頭を押さえて追い払おうとするが、麻衣は「お兄ちゃん、エイミーさんの肌が綺麗になったのは私の美容アドバイスのおかげなんだから、感謝しなさいよね!」と捨て台詞を吐いて、ようやくキッチンへ下がっていった。


 大介は咳払いを一つして、交差ダンジョンでエイミーを見つめて本題を切り出した。


「……騒がしくて悪かったな。さて、本題だ。次の目標を決めよう。

『今住んでいる拠点を、土地ごと完全に買い取る』。誰にも邪魔されないように……まずは二つの世界に『自分の城』を持つ」


「次の目標を決めよう。『今住んでいる拠点を、土地ごと完全に買い取る』。こうして交差ダンジョンで話している時に、誰にも邪魔されないように……まずは二つの世界に『自分の城』を持つ」


 新宿の土地と、リディアの王都の土地。どちらも決して安くはない。

だが、今の二人なら狙える金額だ。


「……はい! 私の家も今は借家のようなものですから、いつ大家さんに追い出されるか分かりません。このお金を使って、まずはこの場所を私の『領地』にします。誰にも見られずに大介さんとお話しできる、私たちの秘密基地にするために!」


 エイミーも力強く頷いた。この場所を誰にも侵されない聖域にする必要がある。


「よし、決まりだ。俺はこっちで、新宿の土地代なんて端金に見えるくらい稼いでやる。お前がリディアで堂々と胸を張って、好きなだけ『カラテ』の修行ができる拠点を盤石にするぞ」


 大介は扉の境界まで拳を突き出し、エイミーもまた、細い指で小さく拳を作って、空中で軽く合わせた。  


二つの世界を繋ぐ拠点を、不動の「資産」へと変えるための、新たな戦いが始まった。

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