第31話:魔女たちの同窓会と二人の潜入
入れ替わり直後、新宿と王都を繋ぐダンジョンの境界部屋。
新装備の感触を確かめていた大介(エイミー体)の耳に、エイミー(大介体)の悲鳴が響いた。
「あーーーっ!!」
「うおっ、なんだ!? どうしたエイミー、急に大声出して」
大介が隣を見ると、エイミー(大介体)は屈強な指で自らの(大介の)頭を抱えて絶望していた。
「わ、忘れてました……! 今日、魔法学校の同窓会があるんです!」
「同窓会? ……そんなに行きたかったのか?」
「いえ、逆です! 行きたくないんです! でも、欠席したらまた『落ちこぼれのエイミーは顔も出せないほど落ちぶれた』って、あの人たちに一生馬鹿にされ続けて……それが怖くて……」
学園時代、魔力操作が苦手だったエイミーにとって、そこはトラウマの巣窟だった。
大介は自分の体で縮こまっている彼女を不憫に思い、首の骨をボリボリと鳴らした。
「仕方ねえな。今は俺がその『エイミーの体』なんだ。俺が代わりに行って、文句の言えない戦果を見せつけてやるよ。お前は大人しくしてろ」
「えっ……でも、大介さんを一人で行かせるのは……。……あ!」
エイミーが何かに気づき、おずおずとリディア側への一歩を踏み出した。
「そういえば、今まで試してませんでしたけど……この部屋、普通に行き来できるんですよね?」
二人は顔を見合わせた。魂が入れ替わった状態で、肉体ごと相手の世界へ入る。
「……行けるな。よし、じゃあ作戦変更だ。俺が表立って同窓会に出る。お前は俺の体(大介体)のまま、外からこっそり見守ってろ。何かあったら合図しろ」
「……分かりました。大介さん、よろしくお願いします……!正直心配ですけど」
王都の高級サロン。そこには、着飾った若き魔導士たちが集まっていた。
かつてエイミーを馬鹿にしていた連中が、ワインを片手に談笑している。
「あら、見て。あの落ちこぼれのエイミーが来たわよ」
「見てなさいよ、あんな無骨な杖を持って。相変わらずセンスがないわね」
ヒソヒソ話が聞こえる中、大介(エイミー体)は背負った「暴君の杖」を**ドカッ!**とテーブルに置き、椅子を逆向きに跨いで座った。
中身が大介のエイミーは、かつての気弱な彼女とは正反対の、ふてぶてしいほどの余裕を漂わせている。
「……よお。同窓会だってな。たっぷり楽しもうぜ、お前ら」
その様子を、会場の外の茂みから、巨躯の大介(中身はエイミー)が忍び足で追跡していた。
「(だ、大介さん! 言葉遣いが! 椅子への座り方も! 淑女らしく、もっとお淑やかに……!)」
茂みからガサゴソと音がするたびに、周囲の警備員が「なんだあのデカい不審者は……」と怪訝な顔を向ける。
最強の「脳筋杖」を持つ美少女と、それを見守る「乙女な格闘家」。
リディアの歴史に類を見ない、奇妙で痛快な潜入作戦が始まった。




