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第22話:リディアの「無敵の格闘戦士」


 一方、異世界リディア。大介の体に入ったエイミーは、鏡の向こうで教わった「トリセツ」を忠実に守り、修行に励んでいた。


 大介の肉体は、彼女が思っている以上に強力なポテンシャルを秘めていた。


「……直線。そして、先手必勝」  


エイミー(大介体)は、森の巨木の前に立ち、どっしりと腰を下ろす。


足の裏全体で地面を掴む感覚。教わったばかりの『正拳突き』を、一点に集中して放つ。


 ドォォォォン!!


 大介の剛腕から放たれた一撃は、巨木を根こそぎ震わせ、背後の茂みまで衝撃波を飛ばした。


「……すごいです、大介さん。この体、本当に『直線』だけで全てを解決してしまいそうです……」


 そんな彼女の活躍は、すぐにリディアの冒険者ギルドで噂になった。


「武器を持たず、素手で魔獣を屠る謎の巨漢」。その評判を聞きつけ、ある日彼女の元に一組のパーティーが近づいてきた。


「お前がダイスケか」  


声をかけてきたのは、重装鎧に身を包んだ屈強な男だった。


「お前の噂を聞いたぞ。素手で魔獣を倒す、凄腕の格闘戦士だとか」


 彼はリディアでも中堅として知られる**Cランクパーティー『鋼鉄の牙』**のリーダー、ガルガンだった。


「あ、はい……えっと、頑張ります……」  


エイミー(大介体)は、つい本来の癖で、大介のいかつい体には似合わないほど控えめに、ぺこりと頭を下げてしまった。


「……なんだ、その弱気な態度は!」  


ガルガンが大介(中身はエイミー)の肩をガシッと掴む。


「もっと堂々としろ! お前はあの巨大なオーガを一撃で沈めたんだろ? お前は強いんだから、シャキッとしろ!」


「す、すみません……。あ、いえ、申し訳ありません……」  


縮こまるエイミー。しかし、外から見れば「巨漢が謙虚に佇んでいる」という、底知れない強者の余裕にしか見えなかった。


「ははは! 謙虚な奴だな。気に入ったぞ! どうだ、次の『黒牙の洞窟』の調査に同行しないか? お前のその拳の力を、ぜひ近くで見せてくれ」


「洞窟……。分かりました。お役に立てるよう、精一杯やらせていただきます」  


エイミー(大介体)は内心で「大介さんならここでなんて言うのかな……」と考えながらも、新しい仲間と共に歩き出した。


 地球の大介が「精密な魔女」として名を上げる一方で、リディアのエイミーもまた、大介の体で「無敵の格闘戦士」としての伝説を刻み始めていた。

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