表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/52

第19話:決戦、スカルナイト


 聖堂の冷たい空気が、青白い眼光に照らされる。


スカルナイトは、身の丈を超える巨大な黒剣を軽々と振り上げ、大介(エイミー体)に向けて咆哮なき圧力を放った。


「エイミーさん、下がって! 初手は私が受け持ちます!」  


ハルトが二振りの直剣を抜き、前に出ようとする。だが、大介はその肩を銀髪の一房で制した。


「言ったはずよ。そこで見てなさいって」


 大介(エイミー体)の右腕には、数万本の銀髪が螺旋状に巻き付き、巨大な円錐形の槍――**「ドリル」**を形成していた。


エイミーから教わった「絞り出す」魔力が、その先端で超高速の回転を生んでいる。


「……何ですか、その魔法。属性も付与せずに、髪の剛性だけで戦うつもりか!?」  


ハルトの驚愕を背に、スカルナイトが動いた。


漆黒の大剣が空気を切り裂き、大介の脳辺りへと振り下ろされる。


「(遅えんだよ。――先手必勝、だろ?)」


 大介は、空手の足運びでスレスレの回避を行いながら、スカルナイトの懐へと一気に踏み込んだ。


狙うは、ボスの絶対防御を誇る巨大な盾の中心だ。


「喰らいなさい。――『シルバースパイラル』!」


 大介が勝手に名付けたその技が、スカルナイトの盾に接触した。  


ギギギィィィィィィン!!  


鼓膜を劈くような金属摩擦音。超高速回転する銀髪のドリルが、どんな物理攻撃も通さないはずの魔力コーティングされた盾を、強引に削り取っていく。


「なっ……盾を削り負かしているのか!? どんな出力だ……!」


 スカルナイトが剣を戻そうとするが、もう遅い。


ドリルは盾の中央にひびを入れ、次の瞬間、粉々に粉砕してその深奥へと突き刺さった。


 ――ドォォォォォン!!


 貫通した魔力の余波が、ボスの背後の壁までをも円形に抉り取る。


スカルナイトの巨大な体が仰け反り、胸の魔核が剥き出しになった。


「(……仕上げだ。エイミー、お前の魔力はマジで最高だぜ)」


 大介はドリルの回転を止め、今度はそれを鋭い一本の「針」へと瞬時に再構成した。  


髪の先が閃光のごとく走り、ボスの心臓部を完璧に貫通する。


 スカルナイトの青白い炎が消え、巨大な鎧が音を立てて崩れ落ちた。


「……ふう。……終わりね」  


大介(エイミー体)は、乱れた銀髪を指で整え、何事もなかったかのように手鏡を取り出した。


耳が隠れていることを確認し、冷たい目でハルトを振り返る。


「……記録、できたかしら?」


「…………」  


ハルトはボードを抱えたまま、粉々になった盾と、崩れ落ちたボスの残骸を交互に見ていた。  


魔法使いが、魔法を「魔弾」としてではなく、「物理的な質量と回転」で運用し、ボスを真っ向から粉砕した。  


ギルドの常識が、今、目の前の「天才魔女」によって跡形もなく書き換えられていた。


「……完璧です。エイミーさん。あなたのランクアップは……疑いようもありません」


 ハルトの震える声を聞きながら、大介は内心でガッツポーズを決めた。

(よし! これで高報酬クエストが受けられる! 悠々自適な生活も見えてきたぜ……!)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ