第16話:放置クエストと銀光の雨
ギルドに戻ったところで北川に声をかけられる。
北川がそっと差し出したのは、ギルドの掲示板の隅で埃を被っていた依頼だった。
内容は、地下三層の広大な空洞に異常発生した「ニードル・バグ」の駆除。
数万匹という絶望的な数に対し、報酬は雀の涙。おまけに虫の体液は装備を腐食させるため、誰もが見向きもしない**『放置クエスト』**だ。
「エイミー様なら、魔法一発で『お掃除』できるでしょう?
素材の損傷も気にしなくていい、あなたにぴったりの練習台ですよ」
言いくるめられた気がするが、北川の強欲な微笑みに背中を押され、大介(エイミー体)は地下三層へと足を踏み入れた。
空洞に辿り着くと、そこは地獄のような光景だった。
天井、壁、地面。視界のすべてを、不快な羽音を立てる魔虫が埋め尽くしている。
「うわ……マジかよ。これ、普通なら魔法一発で自分ごと消し飛ばしたくなるレベルだな」
だが、今の大介にはエイミーから教わった「制御」がある。
大介は空洞の中央に立ち、銀色の長い髪をふわりと広げた。
「出すんじゃない。針の穴から……『絞り出す』!」
指先から魔力を放出するのではない。
全身を覆う銀髪の一本一本に、魔力の導火線を繋ぐイメージ。
エイミーの膨大な魔力が、大介の精密なコントロールによって極限まで圧縮され、数万の「針」へと変貌する。
「『髪を操る魔法』――いや。……喰らえ、『シルバースパイク・レイン』!」
大介が勝手に名付けたその技が放たれた。
鋼鉄化した銀髪が猛烈な勢いで伸長し、空洞全体を覆う銀色の雨となって降り注ぐ。
――シュシュシュシュシュッ!!
凄まじい連続貫通音。
爆発は一切ない。ただ、精密に狙い撃たれた銀の針が、数万匹の魔虫だけを正確に、一匹残らず撃ち抜いていく。
数分後、静寂が戻った空洞には、傷一つない壁と、完璧に仕留められた魔虫の山だけが残っていた。
「ははっ……すげえ。本当に、思った通りに動くぞ!」
大介(エイミー体)は、自分の手のひらを見つめて震えた。
エイミーの持つ「圧倒的な出力」と、大介が培った「勝負の勘と制御」。
この二つが合わさった今、彼は単なる『天才魔女』を超えた、異次元の戦闘能力を手に入れつつあった。
ふと見ると、返り血や虫の体液が少し服に飛んでいた。
大介はニヤリと笑い、エイミーから教わった「あの魔法」を試す。
「ええっと……『クリーン』!」
一瞬で光が体を包み、汚れが霧散した。
「……マジで一瞬だな。風呂いらずかよ、これ。エイミーが自慢するわけだぜ」
完璧な成果と、一切の汚れのない姿。
大介(エイミー体)は、異次元の手応えを感じながら悠々とギルドへと戻っていった。
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