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転生したら無職で追放されたけど、実はチートだったので、とりあえず、魔王というやつをこの目で確めて来ます  作者: 真柴 零
無職転生

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ep8.温泉

黒茨の森での討伐から一息ついた創夜たちは、ギルドからの報告を終えると、北の丘にある温泉街へ向かうことになった。夕陽が町を赤く染め、細い路地には湯けむりが漂っている。


「はぁ……やっと一息つけそうだな」

創夜は肩の荷を下ろし、深く息を吐く。


「ふふ、創夜くん、ちょっと楽しみでしょ?」

セリアがからかうように微笑んだ。杖をくるくる回しながら、どこか挑発的な視線を送る。


「いや、別に……」

創夜は少し顔を背ける。そんな彼に、リンが手を叩いた。


「アルカ……また変なこと考えてるでしょ。あたしたち、普通に温泉入りたいだけなんだから!」

リンは赤くなりつつも、少し意地悪そうに言う。


「うふふ、そうね。でも魔法使いのあたしとしては、温泉の魔力の流れも確認したいところ♡」

セリアはそう言いながら、微妙に肩をすくめる。その表情はどこか遊び心に満ちていた。


「……ミリィは恥ずかしがってるみたいだな」

創夜が小声で言うと、ミリィは顔を赤くして、慌てて肩まで羽織り物を引き上げた。


「そ、そんなことないです……!」

小さな体に似合わず、動きは素早く、あっという間に準備を整えてしまう。ビキニアーマー姿でも、戦場で鍛えたしなやかさとキレのある動きが際立っていた。


「さぁ、いくわよ」


3人がはしゃぎながら先に温泉に行くといい、創夜は一人部屋に取り残されていた。


「さて、俺もこの世界に来て初めてまともな温泉に入れるぜ」


創夜は何も考えずに部屋から直接つながっている温泉の通路を歩き、脱衣所へ入った。


「キャー!」

少女ミリィの声が響いた。


そこには、ダイナミックな体つきのセリアがこちらにどうだとばかり体を見せて来ていた。

リンはこちらをまたかと言わんばかりの目で睨んでいた。

そして、ミリィのかわいらしい肌がタオル越しに見えそうになっていた。


「いつまで見てるアルカ!」


リンの正拳とミリィのビンタが創夜にクリティカルヒットするかという勢いで2人が突進してきたが、

疲れからか、つまずいた。

「きゃーーーー!!!」

創夜にやわらかい感触がのしかかった。


(よく考えてみれば、通路から温泉に向けて、男湯や女湯の分かれているような作りが全く見られなかった。団体用の温泉だったのか・・・・)


セリアが杖を片手に、湯気の立つ温泉の方へ歩き出す。創夜とリン、ミリィも後に続いた。湯けむりの中で、三人の笑い声が柔らかく響く。


湯船に浸かると、温かい湯気と心地よい熱が体を包む。創夜は少し離れた位置から、仲間たちのリラックスした様子を見守る。


「はぁ……やっぱり温泉は最高ね!」

リンが思い切り体を伸ばすと、肌を流れる湯の感触に小さく笑みを浮かべた。


「魔力の巡りも良くなるわ。ふふ、これで次の冒険も安心ね♡」

セリアは楽しげに言い、ちょっと得意げな表情を浮かべる。その仕草に、創夜は少し苦笑した。


ミリィも静かに湯船に浸かり、柔らかく息を吐いた。「うん……疲れが取れる気がします」


三人の女の子たちの表情や声の雰囲気から、創夜は温泉の穏やかさを心から感じた。決して過激ではなく、彼女たちの自然な息遣いや小さな仕草が、ほっとした空気を作る。


しばらくの間、誰も戦いや陰謀のことを口にせず、ただ温泉のぬくもりと湯気の中で静かな時間を過ごした。


「……やっぱり、こういう時間も必要だな」

創夜は肩の力を抜き、遠くの山々を眺める。


「ええ、疲れも取れたし、また次の依頼に備えられるわね」

セリアが微笑み、リンも小さく頷いた。


湯けむりに包まれた温泉街の夜、三人の冒険者たちはほんのひととき、王国の影や戦いのことを忘れ、静かな癒やしの時間を味わったのだった。

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