ep5.玉座なき魔王編 アザートス討伐準備(2)
飛空艇アストラル・ブレイカーは、次元の狭間を切り裂くように滑空していた。目的地は、かつて精霊の国と呼ばれた次元だ。魔王アザートス討伐に向け、創夜たちは勇者アレル、シオン、スーの力を借りるため、彼らに協力を仰ぐつもりだ。
操縦席には創夜が座り、フィーリアとセリアが隣で航行データをチェックしている。その後ろには、ミリィとリン、ミーナといった女性陣が、和やかな雰囲気で控えていた。
「あれ以来アル! 魂の聖地、久々アル! 異次元には行かないアルか? 師匠がいるネ!」リンが声を弾ませた。
「以前は白い俺のコピーが大量に湧いてきて、正直うんざりしたからあまり近づきたくないが、仕方がないよな。とりあえず、アレルに会おう、シオンは会うのが大変そうだからな」
「創夜が早く帰りたいとか言うからゆっくりとできなかったアル」
「ええ、あの国はすっかり生まれ変わったような場所だから。楽しみね」ミリィが微笑む。
「スーに魔法を教わろうかしら」
創夜は、彼女たちの賑やかな声に満足しながら、飛空艇を安定させた。
「よし、到着だ」
アストラル・ブレイカーが次元の壁を抜けると、以前訪れた時とは全く異なる光景が広がっていた。
空はどこまでも澄み渡り、大地からは清々しい精霊の波動が満ち溢れている。驚くべきことに、眼下には巨大な海峡を隔てていくつもの大陸が互いに連なり、繋がっているのが見えた。
「はぁ…!」創夜が思わず声を上げた。
「精霊たちが闇から完全に解放され、力が完全に回復したのよ! 次元が統合されている! 以前、個々に分かれていた大陸が、一つの精霊の大地として繋がったのね!」
精霊の力が回復し、世界が再構築されたらしい。
「では、早速アレルの城へ行きましょうか」セリアが提案した。
創夜は、アストラル・ブレイカーをそのままアレルの居城があった場所へと飛ばした。
ガッ、と城の中庭に飛空艇が着地する。
以前のボロボロだった城は、今は白亜の要塞として修復されている。城門は固く閉じられ、静まり返っていた。
「おかしいな。アレルが来ると思ったんだが」
創夜たちが城内へ入ると、使用人が走ってきた。
「創夜様ですか、ただいま、アレル様は修行に旅に出ております。勇者様全員が現在、修行の為、この世界にはおりません。連絡もつかないところにおりますじゃ」
創夜はメモを受け取った。
メモ
アレルだ。創夜達が来たらこれを渡してほしいと頼んでおいた、今、俺たちはお前らみたいに強くなるために修行中だ!俺たちはしばらく戻らないが、用があるなら一週間後に来てくれ。
「ここで一週間すごすよりも先に、和の国へ行こうか。アザートスのこともあるからな」
創夜は飛空艇のナビゲーションを操作し、新たな目的地を設定した。
「皆。次の目的地は、和の国のカエデがいる次元だ。カエデたちにも協力してもらおう」
フィーリアが創夜を見上げた。
「精霊に会うのもまた今度ね、和の国へ! また新たな次元の冒険ですね、創夜! 楽しみだわ」
飛空艇アストラル・ブレイカーは、再びその巨大な翼を広げ、精霊の国から別次元へと次元跳躍を開始した。勇者たちが不在の精霊の国を後にし、創夜一行は、玉座なき魔王アザートス討伐のため、新たな次元へと旅立つのだった。




