ep4.玉座なき魔王編 アザートス討伐準備(1)
創夜が精神世界から戻ると、仲間達が回りに座り目を閉じているのがわかったが、自分だけ座禅を組んでいたのに、皆は適当に座っていた。
創夜は少しがっかりしながら、仲間達が目を開けるのを待った。数秒後。
「あー、楽しかった! 皆、本当に容赦ないんだから! 特にフィーリアと創夜の攻撃は規格外だったわ」
ミリィはにこやかな笑みを創夜に向けたが、その瞳の奥には、戦闘の高揚感が残っていた。
「鏡に映る私が、わたしが認めたくない可能性とか言ってたけど、滅茶苦茶強くて最高にたのしかったわ! しかも、何度殴られても体が傷つかないなんて、修行するのには最高ね! ただ、余り潜りすぎると現実に戻れなくなりそうね」
次に、セリアが背伸びをしながら立ち上がった。
「スッキリしたネ、創夜の隠している力が見えたアル。武道大会以来アル」(リン)
「ミリィめちゃくちゃ速かったわ」(ミーナ)
「皆強いのね! マギテック・ゴーレムがかなり進化したわよ!」(フィーリア)
創夜は皆を見渡し、満足げに頷いた。
「みんな、無我の境地で避けれないような攻撃を受けたりしてたのか!」
皆が真剣な表情で創夜に問いかけた。
「ところで、修行中に、鏡像が言っていたやつ」
「アザートスには攻撃が効かないらしいけど、どうするのよ? あんなチートな魔王、一体どうやって倒すつもりなの?」
皆の視線が創夜に集まる。彼らは、創夜がこの問題に対して既に答えを見つけていると確信していた。
創夜は、左腕に装着された、フィーリアが作った通信用の腕輪を軽く叩いた。
「フィーリア。お前に頼みたいことがある」
「何かしら?」
「お前が皆の腕に付けてくれた、この次元を越えても通信したい相手と通信できるアイテム、大量に必要になるんだ。作れるか?」
創夜は、強い意志を込めて言った。
「沢山必要になる」
フィーリアは一瞬目を丸くしたが、すぐに表情を引き締め、自信に満ちた笑みを浮かべた。
「ふふ、相変わらず面白いことを言うわね、創夜。そんなの、いくらでもすぐに作れるわよ」
フィーリアは、胸を張って答える。
「メトロポリスの科学をなめないで、その場でいくらでも複製できるわ」
創夜は満足そうにうなずき、そして、皆に向き直った。彼の表情は、先ほどの飄々としたものではなく、真剣そのものだった。
「よし。皆、俺についてきてくれ」
創夜は、洞窟の出口へと一歩踏み出し、そして立ち止まった。
「これから俺がやるべきことは、ここで一人で強くなることじゃない。準備をしないといけないな。皆、協力してくれ」
リンは、最初に声を上げた。
「意味はわかんないけど、どこまでもついていくアル!」
「ええ、私もよ!」(ミーナ)
「私も行く!」(ミリィ)
「ふふ、何が起きるのか楽しみね!」(セリア)
フィーリアは、優しく微笑み、創夜の隣に並び立つ。
「どこへ行くにしても、私は貴方と一緒よ、創夜」
創夜は、仲間の信頼に少し照れながらも、決意の瞳で応えた。
「ありがとう。行くぞ。アザートスを倒す鍵がそれだけだと言うのなら……俺は、世界中を回ってやる」




