表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら無職で追放されたけど、実はチートだったので、とりあえず、魔王というやつをこの目で確めて来ます  作者: @SsRay
玉座なき魔王編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/91

ep2.玉座なき魔王編 玉座なき魔王

 創夜たちの意識が深く沈み込んだその瞬間、彼らが座る鏡の間は、全く異なる光景へと変貌した。

「――ここは、時間の外側。観測者の精神領域」

 耳の奥に響く、電子音のような、しかし神々しい声。彼らの周囲は、無限の星々が瞬く深遠な宇宙に置き換わっていた。目の前には、座禅を組んでいたはずの光の人が、巨大なホログラムのように拡大している。


「一体、誰アルか?」リンが声を上げようとしたが、声は出ない。ここは精神世界――思考そのものが言葉になる領域だった。

 光の人は、ゆっくりと、彼らにしか聞こえない声で語り始めた。


「我は、お前たちの精神に刻まれた『未来の可能性』を具現化した存在。今から、お前たちを待ち受ける真の試練について、解説を始める」


 光の人は、まず創夜の胸元に輝くクリスタル状の剣の柄に視線を向けた。

「お前たちは、つい先日、時空を繋ぐ門――『ヨグ=ソトース』を討ち、世界を救った」

 周囲の宇宙空間に、巨大なヘキサグラムの魔方陣が出現し、創夜たちが6人で攻撃を放つ、あの激戦の映像が流れた。


「ヨグ=ソトース。彼は、無限の次元と時空を支配する者。本来、お前たちごときが触れることすら許されない存在だ。だが、お前たちは、六つの魂の調和と、鍛え抜かれた精神力、そしてその“瞬殺の剣”によって、彼の『門』としての機能そのものを、一瞬で停止させた」


 創夜は、その言葉に内心で舌を巻いた。「やはり、俺たちの神々の武器は、概念的な敵に対しても有効だったのか……」


 だが、光の人の映像は、すぐに恐ろしい次の話へと移る。

「しかし、お前たちが倒したのは、『ヨグ=ソトース』という『機能』。彼の『核』は、未だこの宇宙のどこかに存在している。そして、その『核』こそが、今、お前たちが向かおうとしている玉座なき魔王の“従者”に他ならない」

 セリアが心の中で問う。「玉座なき魔王……それが、一体?」


 ホログラムが変わり、宇宙の背景が、巨大な不定形のカオス、渦巻く狂気の塊へと変貌した。そこから、凄まじい圧力が精神へと押し寄せてくる。

 フィーリアは思わず恐怖に震えるが、光の人の声がその恐怖を打ち消した。


「玉座なき魔王――彼の名は、『アザートス』」

「彼は、魔王というよりも、『宇宙の根源』だ。今、この宇宙を形作っている時間、空間、法則、そしてお前たちの『存在そのもの』――全てが、アザートスが見ている一つの『夢』に過ぎない」

 ミーナが驚愕の念を抱く。「宇宙が夢……じゃあ、私たちが今まで戦ってきたこと、全てが、彼の夢の中の出来事ってこと?」


「その通り。彼は生まれたばかりの未熟な『概念』であり、玉座など必要としない。なぜなら、『玉座なき混沌』こそが彼の居場所だからだ」

 ミリィが戦慄する。「じゃ、じゃあ、攻撃なんて意味がないんじゃない?夢を壊しても、彼はまた見始めちゃうわ……」


「その疑問こそが、お前たちが持つべき真実だ。アザートスは『無我の神』とも呼ばれる。彼は何も考えていない。ただ、赤子のように本能のままに『夢』を見ているだけだ」


 リンが戦慄しながら考える。「つまり、倒すには、アザートスを『夢』と『存在』の概念から引き剥がして、虚無に帰すしかないアルか……?」

 光の人は深く頷いた。


「そうだ。方法はこの二つしかない」

「一つ、お前たちの力を全て使い、彼の『夢』を、安らかな『眠り』へと誘い、宇宙の存続を延命させること」

「二つ、お前たちが持つ『最強の魔法』『最強の剣』、そして『絆の剣』の力を究極まで連携させ、彼という『概念』そのものを、根源から消滅させること。すなわち、滅ぼして終わらせることだ」

 創夜は、静かに結論を下す。


「俺たちの選択は、決まっている。延命なんて、次の世代に問題を先送りするだけだ。やるなら、完全に終わらせる」


 創夜の強い意思に呼応するように、彼らのクリスタル状の武器が、再び激しく輝き始めた。光の人の周囲のホログラムが再び神鳴りの洞窟へと戻っていく。


「よかろう、選んだのはお前たちだ。真の試練を突破する準備をせよ。その鏡は、お前たちの精神の深層、『人が一番嫌う真逆の自身』を映し出している。これからお前たちは、自身とは真逆の『才能』と戦い、それを乗り越えなければならない」


 最後の言葉と共に、創夜たちの意識は、急激に現実世界へと引き戻され始めた。

「そして、忘れるな。アザートスは知性を持たない。故に、お前たちの攻撃に対し、彼が放つのは……『お前たち自身が最も恐れる過去の亡霊』だ」


 意識が完全に浮上する寸前、創夜は、鏡の中に映っていた、威圧的な白い服のもう一人の自分の顔を見た。その表情は、今、創夜が抱く『絶対に滅ぼす』という決意と同じ、冷たい怒りを湛えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ