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転生したら無職で追放されたけど、実はチートだったので、とりあえず、魔王というやつをこの目で確めて来ます  作者: @SsRay
無職転生

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ep8.海の町

「最近、機械だとか王の兵士だとか、ゴタゴタに巻き込まれ過ぎたな。ここらでリフレッシュも兼ねて、海の町にでも行こうか」

 創夜がそう提案すると、仲間たちの目が輝いた。彼はチートスキルを発動し、砂煙と共に一台の乗り物を召喚した。それは6人乗りの広々とした車内を持ち、どんな悪路も踏み越えていけそうな巨大なオフロードタイヤを装備した車だった。

 それを見たフィーリアが、珍しく興味深げに首をかしげる。


「……この国の科学も、それなりに発展しているのね。知らなかったわ」

「なにそれ、創夜!?」

「なになに、この箱!?」

 セリアとミーナがはしゃぐ中、創夜は得意げにドアを開けた。

「これは『車』っていう乗り物だ。想像できない場所に瞬間移動はできないからな、これで行こうぜ!」

「相変わらずの異常スキルね……」

 セリアが呆れ半分に呟き、全員が車に乗り込んだ。

 車は自動操縦で滑るように走り出す。窓の外に流れる景色を眺めながら、創夜が尋ねた。


「ミリィ、海の町へは行ったことあるのか?」

「ないわ。方向はわかるけど、私はずっと山育ちだったから。セリアは?」

「私も研究ばかりしてたから、機械の町から外に出たことはほとんどないわ。あなた達とクエストを受けたのが初めての旅よ」

「リンも里から出たことないアル。山と森しか知らないアルね!」

 仲間たちの意外な純朴さに、創夜は笑みをこぼした。

「じゃあ、海の楽しみ方を教えてやるか。俺は前の世界でサーフィンしたり、浮き輪に乗ったりして遊んだもんだ。この世界なら、海底に神殿とかあってもおかしくなさそうだしな」


「あら、よく知ってるわね。海底神殿の伝説なら、私も本で読んだことがあるわ」

 セリアの言葉に、創夜のテンションが上がる。

「そいつは行くしかないだろ! まずは砂浜で遊んで修行して、それから海底へ突入だ!」

「……海の町というより、海底神殿が本命みたいね。創夜、冒険心が顔に出すぎよ」

 フィーリアの淡々とした分析に、車内はどっと笑いに包まれた。


 ━━


 海の町に到着した一行は、まず潮の香りに誘われて地元の料理屋へ入った。

 テーブルには、溢れんばかりの刺身の盛り合わせ、網の上で弾ける磯焼き、そして磯の香りが立ち上る潮汁が並ぶ。

 「見て、この魚、透き通ってるネ!」

 リンが器用に箸を使い、身の締まった刺身を口に運ぶ。

「んん〜っ! ぷりっぷり! 海の幸ってこんなに美味しいのね!」

 セリアも頬を落としそうな顔で感動している。

「創夜、これ、クッキーより柔らかい!」

 ミーナも夢中で貝の身を頬張り、ミリィは静かに、しかし誰よりも早いペースで焼き魚を平らげていた。


 「はは、そんなに急がなくても逃げないって。……そうだ、店主さん。このあたりで、こいつらに似合う水着を売ってる店はないかな?」

 創夜が店主に尋ねると、店主は豪快に笑って指をさした。

「それなら、角を曲がったところにある『潮風の仕立て屋』へ行きな。あそこの婆さんは目利きだぜ!」

 店を出た一行は、さっそくその店へと向かった。

 店内には色とりどりの水着が並んでおり、店員の女性があら、可愛いお嬢さんたちだねぇと、それぞれの雰囲気に合わせた水着を選んでくれた。

 セリアには少し大人っぽい露出が高い水着を、ミリィはビキニアーマーと大して変わらないような白い水着を、そしてミーナには可愛らしい肩の空いたセクシーな水着をそして、一番驚いたのはリンの水着だった

(でかいな!武道着の中はこうなっていたのか。知ってたらまともに戦えなかったかもしれないなあれた、隠れ……)

 着替えを終えた彼女たちの服を、創夜がひょいひょいとアイテムボックスの中に消していく。


「……空間隔離型のストレージね。相変わらず便利なものを持っているわね、創夜」

 フィーリアがじっとその様子を分析する。

 「まあな。……ところで、フィーリア。お前は水着に着替えないのか? てか、そもそも着れるのか?」

 創夜の問いに、フィーリアは無機質な瞳をぱちくりとさせ、不思議そうに自分の金属質なボディを見つめた。

「……水着? 私の外装は耐水・耐塩害処理が完璧に施されているわ。追加の布地を纏うことで、水中でのハイドロダイナミクスが向上するデータは見当たらないけれど……必要かしら?」

「いや……まあ、ライダースーツみたいな……なんでもない、忘れてくれ」

(既に裸ともいえなくも……嫌、違うか、うーん)

 創夜が苦笑いして流すと、一行は賑やかに砂浜へと繰り出した。


 「よし、今日はしっかり鍛えるぞ。修行の師匠はリンにお願いしようか。これから先、全員が『気』を使えた方が強くなるからな。俺の場合、スキルのせいで特殊になってるかもしれないし、基礎はリンに教わった方がいいだろ」

 水着姿の仲間たちを前に、創夜がそう提案すると、リンが腰に手を当てて創夜をジロリと見た。


 「創夜、ひとつ聞いていいアルか? さっきから当たり前のように言ってるけど……、もしかして今も出してるアルか?」

「「ああ。リンに教わったあの日、コツを掴んでからずっと張りっぱなしだ。寝てる時も無意識に維持している。おかげで全身の調子もいい。あのとき、ミリィを狙った兵士たちに寝込みを襲われても武器を弾き飛ばせたのは、この感覚のおかげだ。忘れられない体験だったなぁ」


 その言葉を聞いた瞬間、リンがげえっ!という顔をした。

「寝てる時もはってるアルか!? 信じられないネ! 普通は集中している時じゃないと、使えないアル どおりで、あの時わたしが負けたわけネ……習得が早かった理由もハッキリしたアル、創夜は人間じゃない、バケモノアルか!?」

「俺にとってはこれが『普通』のイメージなんだよ」

(アニメの主人公達の意識を頭にのせたらできたんだけど、説明はできないな)

 創夜が苦笑いしながら肩をすくめると、セリアたちも「寝てる時も……?」と引き気味に彼を見つめた。


「……まあ、そういうわけだから、皆はリンに教わってくれ。俺は少し離れた場所で、修行してくる。試したい技もあるんだ」

 そう言うと、創夜は皆とは離れた場所へ行き、氷の魔法でつくったサーフボードで遊び始めた。

 リンが皆の前に立ち、修行を開始する。

「みんな、手のひらを前に出して、まずは気というものを感じるアル!」

 そう言うと、リンが暖かい気を皆の手のひらに乗せていった。フィーリアもまた、創夜も気にはなるが、リンの気を分析しようと一緒に気を体験していた。

「わぁ!暖かいわ!」

「炎の魔法と比べるとなんだか不思議な感じね」

「すごい不思議な暖かさがあるわ!」

「わたしもお願いするわ」

 フィーリアも順番に列に並ぶ。

「もちろんアル!」

「不思議な感覚だわ、人の心を感じるわ感情の喜び、笑顔、親が子供に向けた眼差しを力で表したようなものね、他のロボットなら反応できないわね、これは、私にも使えそうだわ」


 そう言うと、まずはリンに感じさせられた気のイメージを心から皆、出そうとする。

「見えるアルか?これが全身に気をまとった状態ネ。普段は薄くて見えないけど、今回は特別に放出しているアル」

 リンの全身をオーラが覆うように光始めた。

「おお!」

 全員が驚く。

「この気を手から放出すると、こうなるネ!」

 リンの手から気が放出される

「これを応用すると、全身に気のオーラをまとったまま、防御力を上げたまま、攻撃に気を使うことができるアル。創夜はすぐにこの応用までできたアル、皆も頑張るネ!創夜がいってたんだけど、全身のオーラは防御力アップ以外にも使う方法があるとか言ってたネ、よくわからないアル、まずは全身にオーラをまとうところからスタートアル」

「はい師匠!」

「さっきの感覚の気を全身に気のオーラをまとうイメージ……」

「わあ!」

「できたわ!」

「できた!」

「ふふ、メトロポリスの最新科学をなめないで欲しいわ、ありがとう博士」

 全員が30分もしないうちに気の応用までマスターして、個々のトレーニングを始めた。


 ミリィは砂浜でダッシュし剣をすごいスピードで降っていた。

「気を剣に乗せて放出!これなら、威力はもっと上がりそうね、回避の感覚も気をまとってると違う感覚ね自然に体が反応するわ」

 彼女の動きは、水しぶきが飛び散る水滴の一瞬を完全に読み切り、最も安全な場所を瞬時に判断して移動する。

 その回避は、まるで舞踏のように優雅でありながらも、攻撃の機会を逃さない鋭さを持っていた。

 セリアは海に向かって水魔法の練習を始めた。

「魔法に気を乗せて、全身にも気を乗せて、近距離に来た時の対応をしつつ、魔法の制御を!」

 海の水を使い、水魔法を気を使いコントロールし始めた「はははっ、気を使えばこんなに安定するのね」とはしゃいでいた。

 ミーナは砂浜で気をはった状態でリンと、宙返りをしたり、リンの真似をして、武道の乱舞を踊っていた。フィーリアは、マギテック・ゴーレムに気を乗せようと努力していた。

「ダメね、マギテック・ゴーレムには使えないみたいだわ、でも、マギテック・ゴーレムじゃなく私に来た攻撃なら簡単に防げそうね、それに、創夜がなんかいっていたというのも気になるわ」

 その頃、創夜は目を閉じ、全身に集中した。イメージするのは、彼のお気に入りの『風の剣士』が使う究極の剣技。全身の神経を研ぎ澄まし、技の構成要素を完全に脳内で再現する。


斬空波ざんくうは!」

 創夜が強くイメージすると、手のひらから緑色に輝く三日月状のエネルギー波が飛び出し、遠くの岩礁に当たって砕けた。

「よし、成功! 想像通りだ」

 創夜は嬉しそうに叫んだ。そして、創夜は次に、真空波と斬空波の連携技で真空を切った。

 空間が歪み、歪んだところが黒くなっている、

 連携技だ。敵に当たったらどんな敵でもひとたまりもないだろう。

 次に創夜は、修行を面白くするために、セリアが苦手とする水魔法を披露することにした。

「水龍のトルネード!」

 創夜が強くイメージすると、海面が渦を巻き、巨大な水の竜巻が竜へと姿を変え空へと昇った。その威容に、セリアやミリィ、ミーナ、フィーリアは目を丸くした。

 さらに創夜は砂浜を蹴って飛び上がり、空中で構えた両手から青いオーラを放つ巨大な剣が現れ、創夜がそれを振り下ろす

「海割りのうみわりのつるぎ!」

 眼下の海が真っ二つに割れ、海底の砂地が露わになった。一瞬の静寂の後、海水が怒涛のように元に戻る。

「すごい! 創夜、あなたのイメージは本当に凄まじいわね!」

 セリアが感嘆の声を上げた。


「うん、すごい! ソウヤ、クッキー1枚あげる!」

 ミーナがどこからか取り出したクッキーを差し出す。

「俺のは魔法じゃなくてイメージだよ。ありがとう、ミーナ!」

 創夜は得意げに笑い、クッキーを受け取った。

 触発されたセリアは、集中して海の水を使って形を変える水魔法の練習を始めた。

「うん、いい調子アル」

 とリンがうなずく。

 そして、今度はミリィの番だ。

 2時間位たった頃には皆、三段は以上強さを身に付けていた。

「みんな、ビーチバレーやらないか?丁度6人いるから3対3に別れてビーチバレーやろう!気を全身に巡らせたまま動かないと痛いからな、町でボールを買っといたんだ。訓練にもってこいだろ」

 創夜がルールを説明し、皆でじゃんけんをして各チームに別れて三球目攻撃のバレーもどきでボールは明らかにビーチバレー用ではないがそれぞれボールに気をまとい、ボールが壊れないように強烈な威力の見えないバレーボールの球技で遊んだのだが、創夜の相手チームにミリィがいたからか、一球で夕方になるまで遊んでしまった。永遠に終らない見えない威力のバレーボールが飛び交っているのにも関わらず、それを受け止め、トスから最大の気を込めたアタックを永遠に行い、彼らにとっては点が取れなくてもものすごく楽しい運動になった。


 その夜、海の町の宿で夕食を食べながらそれぞれの成果について話し合った後、創夜が全員に声をかけた。

「皆、明日は海底に潜ってみようと思う、、今日試したんだが、海底で呼吸も普通にできたから、水着で噂の海底神殿だ!」

 全員が手を上げた。その夜、創夜が一人別部屋ということで寝ていると、夜中に体の上に何かふれたので目を覚ました。

(敵か!? ん?この長い髪はフィーリアか!?)

 フィーリアは創夜の体の上にまたがり、ロボットとは思えない柔らかい体を創夜にピッタリとくっつけてペタペタと体をさわりはじめた。

「な、何してるんだ、フィーリア?」

「何って、あなたが寝てるときも気をはったままだといっていたから、どうしてるのかを確かめに来たのよ、確かに、全身に薄い気が研ぎ澄まされているわね、なるほど」

「そろそろ、そこをどいてくれないか」

(その位置はまずい、それに、ロボットなのに柔らかいってどうなってるんだ!?)

「大体わかったわ、明日の海底神殿も楽しみだわ」

 そう言うと、創夜に最高の笑顔を見せた後、部屋から出ていった。


 そして、リンが寝ている創夜のベットに静かに乗り創夜の上からふわりとジャンプして創夜の上にまたがった。

「リ、リンか!」

「気づかれたアル、本当に寝ているときもはっているか見に来たアル」

 そう言うと、下半身を両足でロックした状態で、上半身と顔を創夜の体に押し付けて気の流れを確かめ、声をかけなければそのまま寝てしまいそうだったリンを呼び止めると、彼女は満足した様子で部屋に戻っていった。


「ふぁぁ、この展開まさか全員こないだろな……」

 少したった後、サッと風が吹きふわりと下半身を押さえつけるようにミリィがまたがり、リンと同じように体を押し付けて来た。

「ミリィもか!」

「わたしもって?寝てるときもはるってどうなのかなって考えてたら全然はった状態で寝れなくて感覚をつかみにきたの」

「いや、寝てる時はれたら便利ってだけで真似しなくてもいいだろ」

「わたしの感がなにかあるといっているわ、すこし、感覚をつかませて」

「わかった、満足したら部屋に戻ってくれよ、上で寝られると俺が寝れない」

「しかたないわ、上で寝れば何かつかめそうなのに」

 そう言うと、ミリィは部屋を出ていった。

 流石にミーナは来ないだろうと予測し、セリアを警戒してすこし起きていることにした。


 扉が開き、そっと忍び寄る影、得体の知れないものが体に降れる。目を覚ますとミーナが尻尾で体をつつき、ベットの横からのし掛かってきた。

「えい!」

「うわ!ミーナか!おまえも来るなんてどうしたんだ?」

 上に乗ったままミーナが答える。

「リン師匠の気の感覚を寝てるときもやると強くなるって考えたら気をはるのはいいけど、全然寝付けなかったの」

「おまえもかぁ、まあ仕方、って仕方なくないぞ、上に乗っても感覚はつかめないだろ」

 そういい聞かせてもミーナはどかなかった。仕方なく、創夜はよしよしとミーナの頭に気を込めたてで優しく撫でた。そうすると、ミーナは気をはったまま、すやすやと眠りについた。


(このままじゃ、俺が寝れない)創夜は瞬間移動でミーナのベットへ移動し、その後、上に乗ったミーナを寝たままベットにずらしながらゆっくりと下ろし、自分のベットへ瞬間移動で戻った。


 その後、5分もしないうちにセリアが部屋へと入ってきて、ベットに腰掛け、創夜の手をつかみ気の流れを確かめているのか暫く持ち上げられたままの状態が続いたと思った次の瞬間、柔らかい何かに触れた。創夜はとっさに腕を引き離そうとするがセリアのロックが強く、引き離せないでいた。創夜は寝たふりをやめ、セリアに声をかけた。

「何してるんだセリア?」

「あら、起きちゃったのね、寝てるときも気をはってると言うから胸でその気を確かめようとしたのよ」

「いや、やっ、やめろー!」

「他の皆は創夜の上にのって大体感覚がつかめたって寝言を言っていたわよ」

「わかった、仕方なくないが、そうしないと寝に行かないんだろ」

 そう言うと、創夜は寝たまま気をはってる状態を伝えられるように気の感覚を強め、セリアに上にのし掛かることを許可した。

 セリアは何かつかんだのか嬉しそうに部屋に戻っていった。

(これなら、寝てるときもなんて教えなきゃよかったな)

 そして、彼らの賑やかな冒険の旅は、いよいよ海の底へと向かうのだった。



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