表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら無職で追放されたけど、実はチートだったので、とりあえず、魔王というやつをこの目で確めて来ます  作者: 真柴 零
バベルの塔編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/116

ep.22 バベルの塔 七階 欲望の試練 (仲間編)

――リンの鏡

リンは静かな山の中に立っていた。

故郷――龍族の里。

懐かしい修行の音、父の声。


「リン、強くなれ。

 誰にも頼るな。

 お前は龍の血を継ぐ者だ。」


リンはうつむき、拳を握る。

「でも……今は違うアル。

 頼れる仲間がいる。守りたい人もいるネ。」


その言葉に応じて、周囲の山々が崩れ、鏡のように砕け散った。


――セリアの鏡


そこは豪華な舞踏会だった。

拍手と喝采の中、ドレスを纏ったセリアが中央で微笑んでいる。

彼女の周囲には、貴族たちの称賛と羨望。


『これがあなたの欲望――“承認”。

 他人より上であること、認められること。』


セリアはグラスを持ち上げ、苦笑した。

「ふふ、まあ……否定はしないわ。

 でもね――私はもっと面白いものを見つけたの。

 “仲間と笑う自分”よ。」


ワイングラスが割れ、赤い液体が光へと溶けた。


――ミリィの鏡


暗い部屋。

未来視の瞳に映るのは、終わり続ける未来。

誰かが死ぬ。

また誰かが消える。

彼女は、何度もそれを見た。


『望むのは“終わりのない平和”。

 けれど、未来を知る者は、常に孤独だ。』


ミリィは首を振った。

「違うよ。孤独なんて怖くない。

 だって、今は――みんながいる。」


鏡が砕け、未来の光が溶けていった。


###ミーナの鏡


炎と叫び。

剣を構える兵士たち。

その中心で、傷だらけの自分が震えている。


『悪魔だ! 殺せ!』

その声を聞いて、ミーナは目を閉じた。


「私は……悪魔じゃない。

 でも、人間にもなれなかった。

 ――けど、創夜たちは違った。」


涙が頬を伝う。

「助けてくれた。笑ってくれた。

 だから、私は……人間でいたいの!」


炎が消え、世界が静かに光へと変わった。


そして、全員の視界が再び重なる。

五人が元の金の宮殿に戻ると、中央でラミアが微笑んでいた。


『欲を否定せず、受け入れる……

 それが、真の“自由”でもあるのね。』


彼女の金色の瞳が柔らかく輝き、

その身体が静かに砂のように崩れた。


『欲とは、悪ではない。

 それを支配する心を持つ者だけが――次へ進む資格を得る。』


黄金の宮殿が光に包まれ、

足元に新たな転移陣が現れる。


エジスが前へ出て、皆を見回した。

「全員、無事……よかった。

 “欲望の試練”を越えたあなたたちは、もう迷わない。」


創夜が小さく笑う。

「俺たちは、欲を力に変えたんだ。」


リンが拳を突き上げる。

「次の階層もいくアルよ!」


光が彼らを包み、黄金の迷宮は消え去った。


――第七階層、試練突破。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ